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cow はじめに

(1) 「ヨーロッパが歩んだ道」について

このレポートは、古代ローマから冷戦まで約2000年のヨーロッパの歴史を、専門書ほど深くはないけれど、教科書には書いていないようなことで、「エッ!そうだったのか!」と思うようなことを書こうとしています。

日本が軍国主義を発展させ、そして崩壊していったとき、日本がモデルにした欧米はどのようにして日本の前を進んでいったのか、それがこのコンテンツを作ろうと思った動機ですが、そうした観点で日本との比較や相対化はほとんどできていません。

内容はすべて、専門家たちの著書をもとに筆者なりの構成にしていますが、一つのテーマについて少なくとも2人以上の専門家の著書を参照しながらまとめました。

(注)このレポートの表題は、2023年8月時点では「軍国主義崩壊への道 第1部」となっていますが、近日中に「ヨーロッパが歩んだ道」に改定する予定です。

(2) ヨーロッパ史の時代区分と章立て

ヨーロッパの歴史を考える上で、古代、中世、近世、近代、現代の5つの時代区分に分けるのが一般的です。それぞれの時代区分の定義は研究者によって多少違いますが、このレポートでは次のように定義します。

・古代 古代ギリシャ・古代ローマの時代。西ローマ帝国の滅亡により終了。このレポートでは古代ローマを対象にします。

・中世 主たる社会・経済の基盤が封建制にあった時代で、西ローマ帝国滅亡(5世紀末)後、大航海時代が始まる(15世紀末)まで。中世は、前期(6-10世紀)、中期(11-13世紀)、後期(14-15世紀)に分けられます。

・近世 中世から近代への移行期。概ね大航海時代(15世紀末)からフランス革命前(18世紀末)まで。

・近代 資本主義が発達し、主権国家・国民国家が確立された時代で、概ね産業革命・フランス革命前(18世紀末)から東西冷戦終結(20世紀末)まで。このレポートでは帝国主義の開始以前(第3章)、それ以降第1次世界大戦まで(第4章)、戦間期から第2次世界大戦を経て冷戦まで(第5章)に分けています。

 図表0.1 ヨーロッパの時代区分と各章の範囲

ヨーロッパの時代区分

(3) 国名、人名、地名、用語について

・国名は、"アメリカ"、"ドイツ" … など日本で一般的に使用されている用語を使いますが、次のような漢字略語を使うこともあります。なお、イギリスは英語で“UK”(United Kingdom)と略称される連合王国をさし、アメリカは“USA”(United States of America)をさします。

: イギリス : フランス :ドイツ : ロシア : アメリカ合衆国 : イタリア :オーストリア 西: スペイン : オランダ : ポルトガル : ベルギー

・人名や地名の表記も日本で一般的に使用されている、と思われるもの(Wikipedia、コトバンク等で使用されているもの)を使います。

・(ローマ)教皇/法王について、日本では従来「法王」を使っていましたが、2019年11月、日本政府は「今後は"教皇"を使う」との声明を発表しました。このレポートでも原則として「教皇」を使いますが、原文通り引用する場合は、原文の用語をそのまま使います。

・"香料"と"香辛料"
日本語では、"香料"は香水のように芳香を添えるための物質、"香辛料"はコショウなどのスパイスを意味する言葉として使われていますが、西洋史学の文献においては、フランス語èpiceの古い意味から「人の身体によい影響を与える薬種」として、スパイスのみならず芳香料や茶、砂糖なども含めて"香料"と呼ぶことが多いです。学術上はそれが正しいと思いますが、日本の読者は"香料"≒香水のようなもの、ととらえがちだと思われること、実態としてスパイスを指す場合が多いと思われることから、このレポートでは、明らかに香辛料以外のものが含まれる場合や地名を指す場合などを除いて"香辛料"を使います。

・その他の用語については、各ページのヘッダ部にある「サポート」内の「用語集」を参照願います。

・なお、引用文中にある国名、地名、人名、その他用語は引用元のものをそのまま表示しています。

(4) 参考文献および引用について

・参考文献の刊行年、出版元などは、各ページのヘッダ部にある「サポート」にある「参考文献」に筆者の寸評とともに記しています。

・各節ごとに参考にした主要文献の著者名と文献名を各節の末尾に記します。この主要文献から要約引用した場合、引用元は省略することがあります。

・引用部分は、"{ }"でくくっていますが、引用文が長い場合、引用範囲の上下を点線で区切った段落に表示する場合もあります。いずれの場合も、原文のまま引用している場合と、要約したり現代語訳にして引用している場合もあります。

・引用元の文献名は、[編著者名][「文献名」]、[引用元ページ] の形式で記入しますが、引用頻度の高い文献は [編著者名] を略したり、[文献名称]を略称にしたりすることがあります。なお、電子書籍の場合、引用元ページはPsxxxの形式で引用部の先頭位置(Kindle版)を表示します。

・引用文中、" … "は途中省略、【 】は筆者の注釈、下線やカラー文字は筆者の追記です。 原文がカタカナ混じりの文章は、ひらがなに置きかえ、数値を表す漢数字はアラビア数字に置きかえています。

・入手しにくい資料や1次引用した著者の意思を示す場合は、"孫引き"を行うことがあります。