はしがきから引用する :
個々の内容の理解は,もちろん望ましいことではあるが,一貫して流れる‘線形性’という調べを, 本書から少しでも感じ取って頂ければ,私としては十分嬉しいことなのである.
練習問題のついている講もあり、巻末には一部の解答が載っている。
pp.158-159 では、いわゆるクラメルの公式にあたる式が示されている(ただし本書でこの名前は使われていない)。 ただ、連立方程式の解を求めるのにこの公式を実際に使うのは能率が悪い。 このことは本書には書かれていないので気を付けたい。また、pp.159-160 で逆行列を求める公式が記載されているが、 これに関しても能率が悪いことは同様である。さらにいえば、連立一次方程式の解を求めるときには、 LU 分解などが望ましく、逆行列を求めること自体がナンセンスになるのだが、 そこまでのことは書かれていない。この本に求めることは、線形代数の考え方がわかるようになることだから、 実際の数値計算のことを求めるのはお門違いというものなのだろう。
最後では固有値問題が出てくる。おそらく、この固有値と固有空間、固有ベクトルについては、 同じ著者の「固有値問題 30 講」が扱っている。
書名 | 線形代数 30 講 |
著者 | 志賀 浩二 |
発行日 | 1988 年 3 月 20 日 初版 第 1 刷 |
発行元 | 朝倉書店 |
定価 | 2300 円(本体) |
サイズ | A5 判 206 ページ |
ISBN | 4-254-11477-X |
備考 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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