米FDA ニュースリリース 2016年9月2日
FDA が抗菌せっけんの安全性と効果に
関する最終規則を発表


情報源:U.S. Food and Drug Administration
For Immediate Release September 2, 2016
FDA issues final rule on safety and effectiveness of antibacterial soaps
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm517478.htm?source=govdelivery&utm_medium=email&utm_source=govdelivery

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年9月6日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/fda/
160902_FDA_final_rule_on_antibacterial_soaps.html


 米・食品医薬品局(FDA)は本日、店頭販売(OTC)されるある一定の活性成分を含む消費者向け消毒剤(antiseptic wash products)は、最早市場に出すことができなくなるとする最終規則を発表した。それらの成分は、長期間日常的に使用しても安全であり、普通のせっけんと水に比べて、病気及びある一定の感染の拡散を防ぐのに効果があるということを製造者らは実証しなかったので、会社はこれらの成分を持つ抗菌洗浄剤(antibacterial washes)を市場に出すことができなくなる。ある製造者らは、既に彼らの製品からこれらの成分を取り除いている。

 この最終規則は、最も一般的に使用されている成分であるトリクロサンとトリクロカルバンを含んで、19種の特定の活性成分を1又はそれ以上含有する消費者向け消毒剤(antiseptic wash products )に適用される。これらの製品は、水と共に使用し、使用後はすすぎ落すことが意図されている。この規則は消費者向け手指”消毒剤(sanitizers)”又は手拭き(wipes)、又は医療現場で使用される抗菌製品(antibacterial products)には適用されない。

 ”消費者は、抗菌洗浄剤は病原菌の拡散を防止するのに、より効果があると思うかもしれないが、我々は普通のせっけんと水より良いという科学的な証拠を入手しなかった”と、FDA の医薬品評価研究センター(CDER)のジャネット・ウッドコック博士は述べた。”実際に、あるデータは、抗菌成分は長期的には、良いことよりもむしろもっと悪いことをするということを示唆している”。

 FDA は、抗菌製品中で使用されているある活性成分、例えばトリクロサン(液体せっけん)及びトリクロカルバン(固形せっけん)への長期的暴露は、バクテリア耐性又はホルモンへの影響のような健康リスクを及ぼすことがあることをいくつかのデータが示唆した後、2013年に規則案を発表した。提案されたその規則の下では、製造者は、これらの成分を含有する抗菌製品を市場に出し続けることをもし望むなら、店頭で販売される消費者向け抗菌洗浄剤中で使用される特定の成分の安全性と効果に関する追加的データを FDA に提出することが求められた。この要求は、これらの製品が人間の病気を防止する又は感染を低減することに非抗菌洗浄剤より優れていることを実証する臨床的研究からのデータを含んでいた。

 抗菌の手指及び身体洗浄剤の製造者らは、この最終規則策定で着目していた19種の活性成分について安全性及び効果を確立するために必要なデータを提供しなかった。これらの成分について、追加データは提出されず、提出されていたデータは FDA がこれらの成分は一般的に安全であり及び効果的であるとみなされている(Generally Recognized as Safe and Effective(GRAS/GRAE)ことを確認するためには十分ではなかった。産業側により提出されたコメントに応えて、FDA は、消費者向け洗浄製品中で使用されている3つの追加成分、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及びクロロキシレノール(PCMX)に関して、新たな安全性及び効果についてのデータの開発と提出を可能とするために、1年間、規則策定を延期した。これらの特定の成分を含む消費者向け抗菌洗浄剤は、データが収集されているこの期間に市場に出されるかもしれない。

 普通のせっけんで洗い水で流すことは、消費者が病気になることを回避し、病原菌を他の人に広げることを防止することができる最も重要なことのひとつである。もし、せっけんと水が利用できず、代わりに消費者が手指消毒剤を使用するなら、米・疾病管理予防センター(CDC)は、少なくとも60%のアルコールを含むアルコールベースの手指消毒剤を使用するよう勧告している。

 2013年の FDA 提案以来、製造者らはすでに、トリクロサンとトリクロカルバンを含んで、ある成分のを抗菌洗浄剤中での使用の廃止に着手している。製造者らは、これらの製品を市場から排除する、又は処方し直す(これらの製品から抗菌活性成分を排除する)ことにより、この規則を順守するために、1年の猶予期間がある。

 米・保健福祉省の傘下の機関である米 FDA は、人と動物の薬品、ワクチン、及び人の使用のためのその他の生物学的製品、及び医療機器の安全、効果及び安全確保を確実にすることにより公衆の健康を保護する。米 FDA はまた、我が国の食料供給、化粧品、栄養補助食品、及び電磁放射線を発する製品の安全と安全確保を確実にすることを支援し、タバコ製品を規制することに責任がある。


訳注:トリクロサン関連情報
訳注:当研究会が紹介したトリクロサン関連情報


化学物質問題市民研究会
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