ES&T 2008年12月31日
EPA 軽率な承認ではないか? ホルモンをかく乱すると 広く科学者に考えられている殺菌剤トリクロサン 情報源 ES&T Online News - December 31, 2008 Incautious approval of germ killer? EPA puts its stamp of approval on the popular bactericide triclosan, which is widely considered by scientists to disrupt hormones. http://pubs.acs.org/action/showStoryContent?doi=10.1021%2Fon.2008.12.29.214168 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2009年1月6日 細菌に対する大衆の恐れが殺菌剤、トリクロサン[5-chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)phenol]を含む製品数の爆発的な増大をもたらしている。トリクロサンは内分泌かく乱汚染物質であると示唆する研究が増大しているにもかかわらず、この化学物質についての米EPAの新たな評価は懸念の根拠をほとんど見ていない。
トリクロサンは大量に使用されており、親油性があり、生体蓄積するので、科学者らはこの化学物質の精査を厳しくしている。”トリクロサンが環境中に、野生生物に、そしてヒトの血漿と組織に入り込んでいるという明白な証拠がある”とノーザン・アリゾナ大学の内分泌学者キャシー・プロッパーは述べている。トリクロサンは脊椎動物のアンドロゲン(訳注:男性ホルモン物質)と甲状腺ホルモン機能に影響を与えることを示唆する研究が増大していると彼女は述べている。 ”水生動物でよく報告されているトリクロサンの内分泌への影響の多くは、最終的には飲料水供給となる水を含んで自然界の水に現在見いだされているよりも数倍も低いレベルの濃度で起きている”とフロリダ大学の生殖内分泌学者ヒーサー・ハムリンは述べている。甲状腺ホルモンは代謝をコントロールし、体内のほとんど全ての細胞に影響を与えるので、甲状腺系の機能不全は特に懸念があると彼女は付け加えた。 ”トリクロサンが動物の内分泌機能を損なうという潜在的能力があることを示す科学的な証拠が増大しているのだから、同様な結果がヒトにもに起きるという懸念が当然ある”とハムりンは述べている。 EPAは、次のラウンドである2013年までのトリクロサンの見直しプロセスを加速することを期待されているが、急がれるタイムテーブルはこのラウンドの最終決定にこの製品が反映されないかもしれないという重大な懸念があることを推察させるとプロッパーは述べている。 野生生物と実験室の動物はしばしばヒトへの差し迫る危険を知らせる歩哨であるとハムリンは言及している。”そしてこの場合、予防原則が適用されるべき十分な証拠があると私は思う”。 訳注1:登録適格決定 Reregistration Eligibility Decisions
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