原爆裁判・集団訴訟
東京原爆裁判 原爆裁判の歴史 原爆症認定裁判 集団訴訟


【桑原原爆訴訟】
 
 1969年3月広島の被爆者桑原忠男さんが、原爆症認定却下処分の取消を求めて提訴した裁判。1.3キロで被爆した桑原さんは脊椎円錐上部症候群で認定申請をしたが、1973年広島地裁は、疾病と被爆との因果関係を「合理的に推論しうる事実ならびに医学上の鑑定があらわれない以上、原告の現疾病は被爆外の原因に基づく蓋然性が高いものと認めざるをえない」として敗訴。1979年の広島高裁判決は、「現在の医学水準に照らし、現疾病が原爆の傷害作用に起因する旨の相当程度の蓋然性の立証があれば足りるものと解すべきである」とのべたが、起因性の要件を否定して原告敗訴となった。



【石田原爆訴訟】

 1973年7月広島の被爆者石田明さんが、原爆白内障の認定却下処分の取消を求めて、広島地裁に提訴した裁判。
 国は爆心地から0.7キロで被爆Lた石田さんが原爆による白内障であることは認めたが、原爆白内障の治療法は水晶体摘出の手術しかないと主張。1976年5月判決では、白内障の治療は手術だけでなく、点眼薬治療でも有効とし、石田さんの勝訴となる。この訴訟は「要医療性」が争われた裁判であった。



【原爆松谷裁判】

 長崎の爆心地から2.45キロで被爆し、右半身不自由になった松谷英子さんが、原爆症認定申請を却下した厚生省を被告に却下処分の取消を求めて1988年9月に長崎地裁に提訴した裁判。
 1993年5月長崎地裁は、「現在の疾病は、原子爆弾の障害作用によるものであり、かつ、原告の疾病は、原子爆弾の障害作用によるものであり、かつ、原告の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているために現に医療を要する状態にあることを認めることができるから、請求は理由がある」、また「DS86としきい値理論だけで、放射能の影響を否定することは科学的でない」として、国に却下処分取消を求める判決を言い渡した。
さらに福岡高裁も、1987年11月「起因性を否定できるとした原子爆弾医療審議会の調査審議及び判断の過程には看過しがたい欠落がある」として、国の控訴を棄却した。原爆松谷裁判は国が上告して最高裁で審理が行なわれた。 
 2000年7月18日、上告を棄却する判決が言い渡された。
 これにより松谷さんの疾病は「原爆症」と認定された。 裁判経過



【京都原爆訴訟】
 
 1987年広島の爆心地から1.8キロで被爆した高安九郎(仮名)さんが、京都地裁に提訴した裁判。
 高安さんは被爆直後から原爆ブラブラ病に苦しみ、白血球減少症と肝機能障害で認定申請をしたが、疾病は放射能との因果関係がないとして却下となる。1998年12月にだされた京都地裁判決は、「原爆放射能起因性の証明は他の可能性より相対的に高ければよく、却下する場合には明確に他の可能性を示さなければならない」としている。この判決に対し国が控訴したため大阪高裁で審理が続いた。2000年11月7日、大阪高裁は控訴を棄却。厚生省(現厚生労働省)は上告期限ぎりぎりまで検討したものの上告できず、判決が確定した。
 判決は、白血球減少症について「高度の蓋然性をもって放射線起因性が認められる」として原爆症と認定。肝機能障害については、ウィルスによるものだから、というだけで原爆症と認めず。一審判決にあった損害賠償についても却下した。 勝利確定



【東数男原爆症裁判】

 東京・町田に住んでいる被爆者、東数男さんが、肝機能障害による原爆症の認定を求めている裁判。
 東さんは1928年(昭和3年)10月10日生まれ。本籍高知県。長崎県立工業3年生(16歳)当時、学徒動員で三菱兵器製作所で魚雷のパッキング部品を製造中のところ被爆した。爆心地から1.3キロ。背中一面、後頭部にケガ、左手肘から下に火傷。大村海軍病院に入院。急性放射線障害で死線をさまよう。ABCC(原爆傷害調査委員会)から継続調査を受ける。その記録では81年(昭和56年)には、本人には自覚がなかったが、肝機能に異常数値が出て、要精密検査の指示を受けている。84年ごろから足がだるいなどの症状が出て、92年9月から10月まで立川第一相互病院に入院。その後も治療を受け、2週に一度の割で通院している。
 94年(平成6年)2月18日、肝機能障害で原爆症認定を申請。95年11月9日付で却下。96年1月22日に異議申し立て。97年6月口頭審査。99年3月9日付で却下。本人への通達は、1999年4月14日。
却下理由は、「肝機能障害の原因は、C型肝炎ウイルスであり、被曝線量は、C型肝炎ウイルスに対する免疫力の低下や感染の成立に影響を及ぼすほどのものとは考えられない」
 
6月29日東京地裁に提訴。2004年3月31日勝訴しましたが、国が判決を不服として東京高裁に控訴。



【安井晃一原爆症裁判】

 日本被団協代表理事で、北海道被爆者協会理事の安井晃一さん(75歳)が、99年10月1日、札幌地裁に提出した原爆症認定却下の取り消しを求める裁判。
 広島の爆心地がら1.8キロの陸軍部隊で被爆。96年に前立腺がんに冒され、原爆症認定を申請したが、97年4月却下、異議申し立ても99年5月棄却された。 

15【原爆症認定集団訴訟】

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