NEW!!
・・・010110 再編集・下段新設
 
マンション開発(大規模建築物)に関する紛争問題
 
 ・・・「私はこう思う」では有効な対応はできません!!
 


■過去3年に渡る当相談所の活動から導かれる結論
 当相談所では過去3年間の間に、全国から多数の相談を受けてきたが、これらの経験から以下の様な結論を得るに至った
 また、いくつかの地区での活動から、住民が注意を払うべきイロハ(最下段に記載)を以下にまとめる。辛辣な記載とならざるを得ない部分もあるが、現実をお伝えするためと思い、あえて率直に記載する。現実を見つめ(多くの先進地区の実状を観察し)、大事な時間を割く活動の判断に誤りのないように、このホームペイジが一助となれば幸いに思う。
(1)マンションは建設される
 いかなる紛争となろうとも建設は止められない。感覚的には99%に近い確率であろう。全面建設阻止には後述の観点(「合法なものは・・・」に対応するために)からも、極めて現実味がない。
(2)司法は単独では有効な対抗手段とはなり得ない
 裁判による「建設中止の仮処分申請」は、最も一般的な対応策の一つである。しかし、そもそもの反対運動活動の目的が、周辺地域の環境保全であるならば、たった一つの問題建築物を阻止することにどれほどの意味があるのか疑問である。
 また、司法手続き以前に設けられている開発審査会の結審を見ても、ほとんど全てに近い数の申請が「原告不適格(住民には訴える権利がない)」という理由で却下されている。本裁判に至らない(至れない)以上、仮処分申請も「手段」としての位置づけから脱することはできない。
*裁判に関わる費用について、参考資料として複数地区からのヒアリング結果を別紙にまとめる。

(3)初動期の対応が極めて重要
 この時期については建築確認申請提出前が一つの目安となる。当然、申請後でも、あるいは工事着手後でも対応が不可能ではないが、事業者が協議の席に着く可能性事業の進捗と共に薄れていく
(4)物理的・時間的集中性を有する
 各事業者の用地選定基準は同程度のものである。また、マンションの分譲には税制優遇措置当による「はやり」がある。このことは参照マップからも認識できるが、住民としては極めてやっかいな問題であると理解しなければならない。一つでも対応が難しい問題を複数抱え込む可能性が大きいからである。
(5)住民が冷静な判断力を失いやすい
 紛争状態は住民にとってはまさに異常時であり、冷静な判断力が鈍るのも仕方のないことではあるが、このような問題に多くの住民が直面したことがないという事実を厳格に受け止め、先進地区の事例や専門家のアドバイスに習うことこそ賢明といえる(詳細は後述)。

■上記(1)(2)への対応・・・「合法なものは止めようがないという現実」に対応するために
 きのう今日、しかも営利目的のために、わざわざ問題となっている土地を購入してきた事業者にも、しかし当然、地主としての権利がある。最も基本的で、しかも忘れられやすいこの権利を認識することから全てが始まる。
 すなわち、住民・事業者双方に権利があるからこそ紛争となっているのであり、紛争の解決策とは両者の折り合い点に過ぎない。
 鎌倉の旧市内を例に取れば、平成10年前後に発生した7件のマンション問題は、我が国に三つしかない古都という特殊性にも影響されず、事業者の経営に問題が生じた物件を除けば、その全てが ほぼ当初案の通りに建設されている。 (事例へ)
 また、上記(4)の集中性を示す資料として上記参照マップを提供する(上記事例とも一部重複)。
 この問題に対応するためには、住環境の保全を望む地域に住民協定等の規制誘導方策(地区計画)策定する以外に方法がない。裁判で問題物件を止められる可能性は極めて小さなものであるし、その隣や、そのまた隣で行われる開発の裁判に、仕事を持った住民がいちいち対応できるのであろうか。冷静に考えれば司法が本質的な問題を解決しないことは明白である。

■上記(3)(5)関連対応・・・「何を、どのように建てさせるか」という発想
 このことが理解されれば、次に検討すべきは「何を建てさせるか」であることが分かる。「勝ち目が無くとも闘うことに意義がある。」という主張も否定はしないが、そこから果たして得るものがあるのだろうか。
 「合法なんだから仕方がない」などというつもりは毛頭ない。大問題である。
しかしだからこそ、冷静に考えるべき時は今であり、時期を逃せばコンクリートの建物は向こう60年、あるいはもっと永く存在することとなる。問題となるのは事業採算性である。この採算性は、不動産業者の場合20%が相場(長谷工の事例)といわれているが、一部吐き出させるとしても、延べ床面積の20%以上の削減要求に、無理があることも理解できるはずである。
 しかし、事業者の採算性を向上させることを、住民がなし得れば・・・話はここから大きく変わっていく。

■活動の種類
 活動に種類がある(必要である)ことは、案外理解されていない。必要な活動の種類は二つ。①問題をこれ以上増やさないための活動
直前の問題に対処するための活動
である。時間はないが、どちらの活動をないがしろにしても良い結果は得られない。
 これを具体的な名称に置き換えれば、①街づくり協定等の規制誘導方策、②マンション建設反対運動(司法手続き等に代表される)となる。


■活動の方針
 活動の方針は以下の通り。ただし、この段階ではなにがしかの住民組織があることが前提となる。
①相手にも建てる権利があるという現実を認識
②周辺地区に規制誘導方策(ルール)を策定した後
③営利最優先の事業者でも容認しうる代案を、住民主導で策定する
 言葉で言えば簡単なことだが、なかなか組織全体のオーソライズや実行は難しい。
 またこの際に、周辺住民の理解が事業成立要件となるような提案が出来れば好ましい。(100万円程度の弁護費用を負担するつもりがあれば、住民主導型の協定策定は十分に策定可能である。)
 個別の案件により用いる事業手法は異なるため、抽象的な表現に止めるが多くの場合、少なくとも現状のまま建築行為が進行するよりも良好な状況を導くことが出来る。
 もっとも、この手法による事業者との合意は、多くの場合建築確認申請前に求められている。判断時期を逸したために、手法の適用(提案)が難しくなってしまった地区の多さに着目していただきたい。


NEW!!・・・010110 ■マンション問題三種の神器
 では、なにから手を着ければよいのだろうか・・・。まずなによりも、時間がないことがこの種の問題の特徴である。しかし、住民の多くはこうした活動が始めてで、何から手を着けて良いのかも分からない。
 そこで当面、何よりも優先して揃えることをお勧めする三つのものを提案する。
 たった、これだけの物が揃っただけで、これまで相手にしてくれなかった事業者が、交渉のテーブルにつくこともある。
反対旗あるいは横断幕・・・地域において反対の意思表示を明確にする。
ホームペイジ・・・全国から先進地区の支援(ノウハウ提供や人的ネットワーク)を仰ぐ。
専門家・・・活動の方針や具体的内容について、専門家のアドバイスを受ける。

■連絡先と費用負担
 相談は建築・都市よろず問題相談所まで。当初のEメールによる相談は無料(メールはトップ頁からお願いします)。
 その後の具体的な計画作成費は、事業者にも応分のメリットがあるため、 事業者の負担を前提に考える。


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