地区計画

・・・我が国以外の先進国では最も一般的な規制誘導方策(
地域特性住民の意向を盛り込んだルール)の一つ。都市計画の先進国であるドイツでは地区計画が定められていない場合、一般住宅の建設も許可しない場合がある(基本的に許可しないと言っても良いかもしれない)。


■概要

都市全体を規定する都市計画法←「地区計画」→個別敷地を規定する建築基準法

 建築物は都市計画法に適合していても、また建築基準法に適合していても、これらは全国一律のいわば最低限の規制であり、必ずしもその地域や地区に相応しいものとはならない場合がある。(最近は特にこの場合が多く各地で問題となっている。)
 地区計画はこの様な問題点を補完するために存在する制度である。
 都市計画的には、市町村が地区住民の意向を反映しながら策定する唯一の手法であるといっても過言ではなく(筆者私見)、この様な制度が軽視されていることは日本の都市計画の大きな特徴・問題点の一つである。

■法的根拠
 都市計画法第12条の5に基づく制度で、地区計画に定められた内容は、いわば「法律」なので、都市計画図にその内容が記載され、地区計画に適合しない建築物の建築はあり得ない

■同意について
 法的にはともかく、絶対的所有権に対する規制という構図であることを考えれば、80%程度の同意が求められているといえる。いずれにせよ大多数の同意が原則と考えるべきである。

■まとめ
 民意を反映できるのは住民が街づくり活動を行う等、主導権を握った場合である。反対運動を行うだけの労力があれば策定は十分に可能
 
しかし、策定できれば二つ目の開発を規制する意味でも裁判や反対運動よりも社会的意義は大きい。
 「策定期間が長期間となる」というは机上の一般論に過ぎず、必要な時間はほとんど全てが合意形成に掛かる時間なので、良識ある住民に適正に情報が開示され、個々人が問題意識を持って取り組めば相当の短縮が可能であろう。
 ここでの具体的な利用方法としては、問題建築物を取り囲むように策定を進めることが考えられる。このことにより購入者の注意も引けるため、条件交渉期間を概ねの分譲完了段階まで(通常は建設が完了すれば住民は相手にされない)引き延ばすことも期待できる。


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