リグ(無線機)選び

無線機は昔は送信機(トランスミッター)と受信機(レシーバー)が分かれており運用には二台必要でしたが、現在のアマチュア無線機は一台に送信機と受信機が合体した送受信機(トランシーバー)となっています。SWLなど受信愛好者向けに受信専用機もあります。
開局時に最初に買うトランシーバーを何にするか迷うところです。
まずは無線で何をしたいか(身近な仲間との連絡やおしゃべり、近県との交信、日本全国あるいは海外との交信など)を考えてバンドとモードを決めます。それと運用する環境(持ち運び・自動車・自宅など)からどのタイプのトランシーバーが適当かを考えます。あとは予算との兼ね合いです。それら様々な要素を検討して妥協すべき点も考えなければならないかもしれません。最初から欲張らずに、財布と相談しながら徐々に設備を充実させていくのもハムの楽しみです。

タイプ別のトランシーバーの特徴を大まかに説明しますので、あとはメーカーのカタログを入手したり各社のホームページで製品を比較検討して自分に最適なトランシーバーを選んでください。

バンド(周波数帯)・・・HF :1.9、3.5、7、10、14、18、21、24、28MHz帯 VHF:50、144MHz帯 UHF :430、1200、2400MHz帯など
モード(電波型式)・・・FM、AM、SSB、CWなど
ハンディ機 HANDY TRANSCEIVER
フィールドで気軽に運用、仲間との連絡に最適
特徴
最も種類が多く、価格も安く、初心者の多くが最初に入手するトランシーバーです。
なんといっても片手で持てるサイズですから、持ち運びに便利でどんな場所でもお気軽運用ができます。無線機といえば、本体の他にマイクやスピーカー、アンテナとアンテナケーブル、直流安定化電源と電源ケーブルが必要ですが、ハンディ機は単体ですべてが収まっていますので、本体のみで運用可能です。
VHFからUHFのFM専用機が主流です。最近はポケットサイズまで小さくなりました。
これ一台でも立派な無線局です。アマチュア以外の業務無線やラジオ放送など広帯域受信機能を備えた機種も増えており、情報用としても便利です。
 
バンド
*モノバンド機= [50]、[144]、[430]、[1200] があり、小型でシンプル操作、価格は低め
*デュアルバンド機= [144/430]の2バンドが主流で最も種類が多く安価。ごく少数[430/1200]もある。
*トリプルバンド機= [50/144/430] [144/430/1200]最近は小型で多バンド化の傾向があり、3バンド機も珍しくなくなり、価格も安くなりました。モノバンドを2〜3台買うよりも、デュアルバンドやトリプルバンド機を一台買った方が安くなります。
モノバンド機は小型でシンプルなものが必要なときに検討するとよいでしょう。
 
モード
ほとんどがFM専用機です。受信のみAMラジオが可能なものもあります。
例外的にCW・SSB専用機が東京ハイパワーとミズホ通信から発売されていました。
 
デメリット
パワーが小さく、最大で5W程度がほとんどです。5Wといっても別途13.8VのDC電源か専用バッテリーパックを利用した時で、アルカリ電池や小型バッテリーでは2〜3W以下というものがほとんどです。
バッテリーの持続時間が短く長時間の連続運用には不向きです。予備バッテリーを多く用意するにも充電式の専用バッテリーは高価、アルカリ乾電池だと不経済でパワーも小さい。
小型なボディには放熱板がないため5Wで運用すると、すぐに熱で持てないくらい熱くなります。だから、別に電源を取ったとしても長時間運用ができません。
付属ホイップアンテナでは限界がありますので、適当に高利得のものや外付けアンテナに交換するとよいでしょう。

その他
ハンディタイプといってもモービルや固定で使うこともできます。
モービルではモービル用の取り付けマウントを利用し、電源はシガーラーターから取ってもOKです。アンテナはモービル用を外付けします。
固定では電源は直流安定化電源(5A以上)から取り、アンテナは屋外に設置します。付属のACアダプターは容量が小さいのでお勧めできません。パワーアンプを付けて10W〜20Wで運用することも可能です。ただ、パワーアンプはそれなりの価格がありますから、パワーアンプを付けるお金があるなら、安価なモービル機を購入したほうがよいかもしれません。
とにかく小型軽量のメリットを生かして、連絡用とか山の上からの運用などパワーを必要としない用途に使う人が多いのです。だから1W未満のローパワー機種でも需要があるのです。
アンテナはワンタッチで脱着できるBNC型と超小型機用でねじ込み式のSMA型がありますので、アンテナ交換には注意してください。各種変換コネクターでの接続も可能です。
VX-7
<50/144/430> 5W
\54,800
IC-T90
<50/144/430>5W
\41,800
C501
<144/430> 0.28W
\29,800
DJ-520J
<144/430>4.5W
\34,800
DJ-C5
<144/430>0.35W
\31,800
ハンディ機の特価販売はこちら


 

モービル機 MOBILE TRANSCEIVER
自動車で走りながら運用したい。自宅からも安定したパワーで運用したい
特徴
自動車に取付けるのを前提に設計されているのでコンパクトで操作性が良いのが特徴です。ほとんどの機種は、本体とフロントパネルの分離が可能で、本体を座席下やトランクに設置して操作パネルのみダッシュボードに貼り付けることもできます。電源とアンテナが別に必要です。
モノバント、デュアルバンド、トリプルバンド、オールバンドがあります。
VHFからUHFのFM専用機が主流ですが、オールモード機やHFからUHFまでのオールバンド機も人気があります。
出力に応じた放熱板があるので、長時間でも比較的安定した運用ができます。だから車に限らず、自宅に固定して使っている局も多いのです。
 
バンド
*モノバンド機= [29]、[50]、[144]、[430]、[1200]、[2400] ・・・価格はデュアルバンド機より少し安い程度ですので、最近はあまり需要がありません。運用バンドが一つに決まっており シンプルな操作を希望する人にはお勧めです。
*デュアルバンド機= [144/430]、 [430/1200]・・・モービル機で最も種類が多いのが[144/430]のデュアルバンドです。モノバンド機とほぼ同じ大きさで価格も2台揃えるより安いので、最もよく売れています。[430/1200]は数が少なく価格が高くなります。
*トリプルバンド機= [50/144/430]、 [144/430/1200]、 [29/50/144/430]・・・一台で3バンド以上ですので、それぞれ揃えるよりお得です。
*オールバンド機= [HF/50/144/430] ・・・アイコムとヤエスから発売されているオールモード機でたいへん人気があります。

モード
FM専用機が主流です。HFを含むオールバンド機はオールモードです。
数年前まではケンウッドからモノバンド(50、144、430)のオールモード機も発売されていました。

デメリット
小型・多バンド・多機能化の傾向がありますので、一つのボタンで複数の機能を担当している機種が多いので操作には慣れが必要。

その他
自動車では電源を12Vバッテリーから直接あるいはヒューズボックスから取ることをお勧めします。シガーライターはハンディ機なら問題ありませんが、モービル機になると消費電力が大きくなりますので、容量不足による電圧低下やソケットの接触不良で不具合が起こることがあります。24V車は12Vに変換するDC-DCコンバータが必要です。
パワーは4級用の20W(HF 10W)機と3級以上用の50Wまでのハイパワー機の2種類ありますので、資格にあったものを選んでください。HFでは100W機もありますが、これは固定局として使う人のためですので移動でそのまま使うと違反(移動局は50Wまで)となりますのでご注意ください。
走行中の使用が前提なら操作性重視で選びましょう。さらにハンドマイクは片手運転になりますから、別売りのハンズフリーのフレキシブルマイクをお勧めします。
IC-2720 <144/430>
FM \59,800
DR-M50 <144/430>
FM \69,800
TM-V708 <144/430>
FM \62,800
FT-8900 <28/50/144/430>
FM \64,800
FT-857 <HF〜430>
オールモード \128,000
IC-706MKUG <HF〜430>
オールモード \138,000
モービル機の特価販売はこちら


 

固定機 BASE STATION TRANSCEIVER
アワードを狙って日本全国さらには世界中のハムと交信したい。
SSBやCWを本格的に運用したい。

特徴
自宅などの無線室に設置する据え置き型のトランシーバーです。オールモードで多機能なため本体は大型です。いかにも無線機らしく存在感があるのでハムであれば一台は欲しくなるものです。各種フィルターやデジタル機能でノイズを除去し、目的の信号をとらえることも可能です。DXやアワードハンターには欠かせない無線機です。

バンド
一昔前はモノバンドが主流でしたが、現在はHF+50あるいはHF〜UHFの多バンドが増えています。
*モノバンド機= [HF]、[50]、[144]、[430]、[1200]がありますが、HFを除き現在新品での入手は困難です。
*多バンド機= [HF+50] [HF+50/144] [HF+50/144/430] [28/50] [144/430] [144/430/1200]などがあります。現在は大きく分けて[HF+50] [HF〜UHFのオールバンド] [V・UHF 144/430(1200オプション)]の3つのグループがあるようです。

モード
オールモードがほとんどです。オールモードとは少なくともCW・SSB・FMの3モードでの送信が可能なことです。
機種によりAM、さらにはRTTYやATV、各種デジタル機能を備えたものがあります。

デメリット
当然ですが価格は高いです。10万円台の入門機、20〜30万円前後の中級機から100万円以上の高級機まであります。しかし、昔の経済感覚に比べれば、性能は遥かに向上したのに価格は低くおさえられています。
電力が大きいので、30A〜40A以上の容量の大きい直流安定化電源が必要です。200Wを超える運用にはAC200Vコンセントが必要な場合もあります。

その他
パワーは大きく分けて3段階あります。「4級用のHF10W、V/UHF20W」 「3級または上級者の移動用の50W」 「上級者の固定用100W〜200W」がありますので、自分の従事者資格と移動か固定かの違いで出力のタイプを選びます。パワーによる価格差はあまりありませんが、自分の無線従事者資格にあったものを選択しなければなりません。資格に合わない無線機では免許申請できません。内部に50Wと100Wの切り替えスイッチがある無線機で3級局が申請する場合は、50W固定改造の証明書が必要です。1級局で200Wを超える運用をしたい場合は500Wや1KWのリニアアンプを付けます。
FT-847 <HF/50/144/430>
\210,000
FT-920 <HF/50>
\198,000
FT-1000MP <HF>
\358,000
IC-7800 <HF/50>
\1,050,000
IC-7400 <HF/50/144>
\228,900
IC-910 <144/430/(1200)>
\156,450
固定機&HF機の特価販売はこちら


 

ポータブル機 PORTABLE TRANSCEIVER
山頂、キャンプなどフィールドでHF帯、SSBやCWを運用したい
特徴
ポータブル(可般型)のトランシーバーです。ハンディ機のように手で持つのではなくショルダーバックのように肩にかけるタイプです。昔はハンディ機のような小型無線機が少なかったのでポータブルタイプが多くありました。現在は機種は少ないですが、ハイキングや登山でもHFを運用したい、あるいはSSBモードで交信したいという人に利用されています。大きさはモービル機程度ですが、本体にバッテリーとアンテナが付いているのが特徴です。
バンド
昔はモノバンドでしたが、現行機種はHFからUHFのオールバンドです。
モード
CW・AM・SSB・FMなどのオールモードです。
その他
パワーは2W〜5W程度の小電力です。FT-897のような内蔵バッテリーで20W運用ができる新タイプも登場しました。
 
FT-817 <HF〜430>
オールモード 5W (AM 1.5W)
\96,800
FT-897 <HF〜430> オールモード 20W (UHF 10W)
アンテナは外付けですが、内蔵バッテリーでフィールド運用可能。固定・モービルと場所を選ばない新タイプのリグ。 \148,000 
ポータブル機の特価販売はこちら


 

直流安定化電源 POWER SUPPLY

ハンディ機ならバッテリーで使用できますが、モービル機や固定機を自宅で使うには13.8VのDC(直流)電源が必要です(一部の固定機には電源が内蔵されているAC電源タイプもあります)。一般に家庭用のコンセントは100VのAC(交流)ですから、それを13.8Vの直流にするのが直流安定化電源です。電圧が可変できるタイプが便利です。無線機の消費電力より余裕のある容量のものを選択してください。ハンディ機なら5A、モービル機なら10〜15A、固定機なら20A以上が必要です。電源は大は小を兼ねるので、将来のことも考えて20A以上できれば30Aクラスの容量の大きいものを購入すことををお勧めします。

また、安定化電源はリニアタイプと呼ばれるものとスイッチング電源と呼ばれる2タイプがあります。リニアタイプは安価ですが非常に重いです。スイッチング電源は小型軽量です。かつてはスイッチング電源はノイズが発生しやすいデメリットがありましたが、現在は性能が良く特に問題はありません。よってどちらのタイプでもかまいません。無線機メーカーの専用電源もありますが、他社製ではアルインコ、ダイワインダストリ、ダイヤモンドアンテナなどから発売されています。実売価格は30Aクラスで1〜2万円前後です。
ダイワ 30A
8.9kg リニアタイプ
アルインコ 35A 9.4kg
リニアタイプ
アルインコ 32A 2.0kg
スイッチング電源
ダイワ 30A 2.2kg
スイッチング電源
安定化電源/特価販売はこちら

 お目当てのトランシーバーがおおむね決まったら、ハムショップへ行って現物を見て触って最終判断するとよいでしょう。ハムにとってはハムショップ選びも重要です。無線機を売っている店は、ディスカウントショップのような量販店もあれば個人でやっているところもあります。なかにはトラック相手にCB無線を含めた違法商品専門のショップもあります。長い付き合いになりますので、値段ばかりではなく、アフターサービスとか、色々と相談やアドバイスをしてくれる店員がいる地元のショップがよいでしょう。値引き要求ばかりする客は嫌われB級品を売りつけられることもあるので、お互い目先の利益ではなく仲良くつき合うほうが得です。実売価格は地域や店舗ごとに異なりますが、概ね値引きは定価の15〜20%前後が多いようです。旧製品の在庫品などはさらに安くなります。

 また無線機は、パソコンとは違い古い機種でも不都合はありません。10年以内の機種なら特に問題なく使用できます。だから予算が少ない人は中古品を検討するのもよいでしょう。

 技術基準適合証明(技適シールが貼られている)がある無線機(技適機種)であれば、直接管轄の総合通信局に免許申請できます。主要メーカーの日本向け現行機種(1993年以降)は殆ど技適機種だと思ってよいでしょう。それ以外の古い無線機や自作機、また技適機種を改造したり付属装置を付けた場合はTSS経由で保証認定を受けなければなりません。保証認定には保証料として免許(開局)申請 3700円、変更申請 2000円が別途必要です。初めて開局する場合は、申請が簡単な技適機種の購入をお勧めします。購入時には念のためハムショップの店員に確認するとよいでしょう。


交信方法

アンテナ


アマ無線とは ハムの免許 周波数(バンド) 電波型式(モード) バンドプラン コールサイン
通話表(フォネティックコード) 交信方法 無線機選び アンテナ選び 給電線とコネクター
電波伝搬 アマチュア無線の本-1 本-2   HOME    
 .

ネットで買える!アマチュア無線機★秋葉原/山本無線CQ