■ 2.Confront(対面)
「・・うわ・・・!」 辺りを見回した中居は、その風景の麗しさに思わず声をあげた。 上から見た時には木立の存在しか確認できなかったが、「森」の中に入ってみると、そこには華奢な水草や儚げな水中花が、その外観 とは対照的に凛とした表情でたたずんでいる。 「・・・・・・・・」 これは、現実の世界なのだろうか。それとも・・・。 妙な恐怖感を僅かに覚えながら、中居は漠然とした面持ちでそれらを眺めていた。 だがしばらくして、彼は気が付いた。自分の後方から漂ってくる、不思議な気配。 誰かいるのだろうか。ここに、自分以外の誰かが・・・? 思わず後ろを振り返る。 「!?・・・・・お、俺・・・!?」 彼は自分の目を疑った。そこに立っていた、一人の男。その男は顔立ち、身長、体つき、どこをとっても自分そのものだった。 「驚かせてすまない。君をここへ呼んだのは僕だ。」 「・・・こ、ここ・・・・」 「心配しなくていい。すぐに元の場所へ戻れる。」 「・・・・・・・・」 「君に・・・、僕の『もう1つの姿』である君に、どうしても託したいことがあって、君を呼び寄せたんだ。」 「もう1つの姿って・・・」 「僕は、君が今の世に生まれる前の姿・・・つまり、君の『前世』の姿、とでも言うべきか・・・。」 「・・前世・・・!?」 信じられない、といった面持ちで自分を見つめる中居の顔を見ながら、男はつぶやいた。 「・・・神もいたずらなものだ、本当に一姿違わぬ姿で転生させなさるとは・・・・。」 ふっ、と1つ笑って、男は自分と全く同じ姿をした若者の前にゆっくりと腰を下ろした。