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chrysさんが書いたサイドストーリー
 「碧い肖像 〜Trust and Truth in the Blue〜」


■ 1.Guidance(導き)

「はいOK!じゃ、休憩はいりまーす」
真っ白な明光を放つライトが消されると、男はふう、と1つため息をついてしゃがみ込んだ。
その男。彼は、日本のトップアイドルグループ、SMAPのリーダーを務める中居正広、30才である。
結成して十数年。紆余曲折があったものの、今や休日など皆無に近いほど多くの仕事に恵まれるようになった。
今日は、メンバー同士なかなか合わないスケジュールをなんとか調整して行う、SMAP全員での番組の収録日である。
しかし中居の体調は思わしくなかった。日頃の疲れが出たのだろうか。
番組の一斉改編を迎えるこの時期、バラエティーの特番や歌番組が急増し、司会者としての仕事もこなす彼のスケジュールは多忙を極
めていた。
だが休むわけにはいかない。番組の収録だってまだ半分以上残っているし、今日はこの後
生放送の予定も入っている。
中居はふっ、と足に力を入れて立ち上がった。
だが一歩踏み出した途端、周囲が回りだすような感覚に襲われ、自分ではどうすることも出来ないまま、中居の体はその場に崩れ落ち
てしまった。
「中居!」
「中居さん、どうしました!?」
「大丈夫ですか!?」
立ち上がらなければという中居の思いとは裏腹に、駆け付けてくるメンバーやスタッフの声は次第に小さくなっていくのであった。

「・・どこだ?ここ・・・・」
意識を取り戻した中居の体を、一面のクリア・ブルーが優しく包み込む。
「・・?・・・・」
体がゆらゆらと揺れている。突如、彼は気が付いた。
「水の中・・・!?」
中居は水の中にいた。彼の周りには鮮やかな色彩を纏う小魚たちが遊泳し、上方からはかすかな陽の光がまるで宝石のような輝きを放
ちながら差し込んでいる。
中居の体はゆっくりと水底へ向かっていた。彼は、今自分がいる場所への疑問を抱きつつも、不思議と息苦しさも恐れも感じられず、
むしろ安心したような気分になって水の包容に身を任せていた。
体はゆっくりと落ちていく。水は次第に碧みを増し、さっきまでは自分を取り囲むように泳いでいた魚たちの姿も、今では遥か上方へ
微かに確認できるだけとなってしまった。もうだいぶ下まで来たのだろうか。
「・・?・・・何かある・・・?」
果てしないクリア・ブルーの一端に、何か揺らぐものが入り込んできた。それも1つではない。無数のものが結集し、怖いくらい静寂
な水底に大きな揺らぎを生み出している。
「・・・?・・・・・・・」
初めはぼんやりとして不明朗だったその集合体は、徐々に細部を明らかにし、まるで水の透明度を譲り受けたかのように正体を現して
いった。
「木・・・!?こんなところに・・・」
木だった。枯れた木立が無数に集結し、この透き通ったブルーの世界に白く輝く森を創り出していたのだ。水底にひっそりとたたずむ
「森」は、わずかに病的で、そして非常に美しかった。
まるで吸い寄せられるかのように、中居の体はその「森」の中へと沈んでいった


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