■ なおえおとうさん 3
ふだんはとってもげんきなおかあさんがときどき、げんきがなくなる。
そういうときは、おとうさんにすごくあいたいんだってわかる。
どうしておかあさんには、「なおえおとうさん」がみえないんだろう。
ぼくはいつもふしぎなんだ。いつもおかあさんとぼくをそばでみててくれてるのに。
「なおえおとうさん」にきいてもこまったかおをするだけでおしえてくれない。
きっと、なおえおとうさんにもどうにもできないんだ。
(陽介が元気に笑っていれば・・・おかあさんはすぐ元気になるよ・・だいじょうぶだ・・・)
おとうさんはいつもぼくにそういうんだけど・・・
そのときのおとうさんもすこしさびしそうなんだ。
おとうさんもおかあさんにすごくあいたいんだ、きっとそうだ。
ぼくの2さいのおたんじょうびのとき、はじめておとうさんのかおをみた。
それまでは、こえだけがきこえてきてたんだ。
しんごくんのパパはプロレスラーみたいに大きくておもしろかったし、ももちゃんのパパはアンパンマンみたいだった。
なおえおとうさんはどんなかおなのかなって、おもってたんだ・・・
ぼくのたんじょうびのひ、ぼくはねむくて、ねむくて、おかあさんにだっこされたままねちゃったんだ。
「陽介?ねちゃったの?・・・いま動かすとおきちゃうかなぁ・・・」
そういって、すこししてからおかあさんはぼくをだいたままテレビをつけた。
(・・・どうしても、僕の口からでる言葉で君に伝えたかった・・・)
このこえ・・きいたことある・・・・おとうさんのこえだ!!・・・
ぼくはすごくびっくりしてめをあけた!!
てれびにおとうさんのこえをしたおとこのひとがうつってた。
「陽介、おきたの?おとうさんよ・・・わかる?」
うん。しってるよ。ぼく、あったことある。
「先生、陽介は2歳になりましたよ。先生の小さい頃の写真にそっくりでしょう?」
おかあさんにおしえてあげたいけど・・・ぼくはまだうまくはなせない・・・
なおえおとうさんがここにいるよ。おかあさんのとなりでぼくをみてる。
ぼくはおかあさんにおしえてあげたくてゆびをさしたんだ。
「なあに・・・?陽介・・・?」
おかあさんはきがついてくれない。ぼくのゆびにさわってるだけ。
おとうさんがここにいるよ!!おんなじかおだよ!!おかあさん!!
(ようすけ・・・いいんだ。おかあさんにはみえないけど、ようすけがわかっていればいいんだ。おかあさんとはいつもゆめであってるから・・・だいじょうぶだ)
そうなんだ・・・よかったぁ。おかあさんもちゃんとおとうさんにあえるんだ。
いつもきこえるやさしいこえとおんなじのやさしいかおだった。
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