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はとぽっぽさんが書いたサイドストーリー 「君に伝えたいこと」


■ 陽介の誕生日

仕事が終わって倫子は、頼んでおいた陽介のバースディケーキを取りに行きながら家路についた。
陽介は甘いケーキは苦手らしく、ふだんはあまり食べたがらないのだけど、バースディケーキだけは食べたがるのだ。
変な子ねぇ・・・と、母は笑うけど、わかる気がした・・・私と先生が一度だけ一緒に食べた、いちごがのったバースディケーキ。
あの時、お腹にいたのはたしかに陽介なのだ。
一番しあわせだった私の誕生日・・・。陽介はもしかしたら覚えているのかも知れない。

私は直江先生の住んでいたあのマンションに住んでいた。
直江先生のお母様に妊娠を打ち明けていいものかも迷って、母とも一人で育てていくことの大変さを何度も話し合った。
母は最終的に応援するといってくれたけれど、先生と結婚していた訳ではないし自分の気持ちだけで産もうと決めたにすぎない。
でも先生のお葬式のあと、ショックのあまり寝込んでしまわれたというお母様の様子をきいて「陽介」のことを言わずにはいられなかった。これからの陽介の成長をみることで早く元気になっていただきたかったから。

行田病院に挨拶に見えた時にお会いしたとき、できればここに住みたいと伝えた。
その願いをお母様は快く承知してくれた。お母様もすぐに引き払ってしまうのはしのびないようだった。
でも、つらくなったりしたらいつでも解約してほしい。若いのだから死んだものに縛られてほしくないともいってくださった。
私は今はつらくても、先生の思い出の残る部屋を、そこで生まれて大きくなっていく陽介に会いに来てもらう場所としても残しておきたかったのだ。

(あれからもう3年以上がすぎたんですね。
陽介のものがたくさん増えてこの部屋もにぎやかでしょ。直江先生。
先生が見たらびっくりする、きっと。)

今日は朝から忙しくて疲れているせいかいつもより体がだるかった。
(・・・少しだけ、休もうかな。)
いつもは眠ったりしないのに、ソファーに横になっただけですぐに眠りにおちていった。

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