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■ボート乗るか。
倫子の誕生日の翌日、二人は休日だったようだ。前夜から一緒にいて、次の日は当然のごとくデートをする(それがあたりまえのことになっていることに、私はちょっと感動した)。
『今度の誕生日、私が先生のことボートに乗せてあげます』
昨夜、うれしそうにそう言った彼女の笑顔は、もちろん、その約束が叶えられないことなど想像もしていない、心からの笑顔だった。
『ボート』。あの3話の会話以来、ボートは二人にとってとても重要なものになっている。お互い、ボートと相手のことは切り離せなくなっている。だから、倫子が『先生をボートに乗せてあげる』と言ったのも、彼女が『二人でボートに乗る』ことの意味を忘れていないからだ。
直江も、その気持ちは同じで『あの約束は二人にとってとてもたいせつだ』と思っている。しかし、約束の8月まで自分は生きられないということも、彼は知っている。
だから、直江は、雨降りの中あえて言い出したんだろう。『ボート乗るか』と。『約束だっただろ』と。
そう、最初の約束は直江が倫子をボートに乗せてあげるはずだった。
皮肉にも前日倫子は『私が先生をボートに乗せてあげる』と反対のことを言った。
『楽しみにしてる』と、微笑んだ直江だったが、心の中では『いや、僕が乗せてあげる約束だった。しかし、僕には時間がない』と思う。

一見、無茶な誘い。しかし、倫子はうなづく。『先生も忘れないでいてくれたんだ』と思う。
『先生が見えるものを見て、先生が感じることを私も感じたい』と言った彼女は素直に直江を信じている。

『二人が一緒にボートに乗ることはなかった』ことに対して、吉田Dはこう言った。
『ボートは二人向き合って乗るものだけれど、直江と倫子に向き合う姿は想像できない。
あの二人は二人で同じ方向を見ているように思う。』
ラストシーンのように、直江が見ているものを倫子も横にいて見ている。そんな二人はとても素敵だ。
でも、私は思うのだけれど、そうして横にいる倫子だって、本当は直江先生と向き合いたい気持ちもあったんじゃないかな。彼女は気づいていないかもしれないけれど。
そして、直江先生が病気でもなく、生き急いでいる人じゃなかったら、きっと向き合えたんだよね。

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