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■彼女ならわかってくれます。そういう人だから僕は彼女を愛することができた。
彼女を受け入れるということ、それは直江にとっても相当の決意と勇気が必要だったろうと思う。
彼の思慮深さゆえに。
自分のわがままをわかってくれる人。『医者としての僕の生き方をわかってくれる人』
そして悲しみを乗り越える強さを持った人。『僕のために誰も不幸にはしない』
数ヶ月後に味わう悲しみと絶望に押し流されてしまうような女性ではだめだ。自分の死は誰かを巻き添えにしたものであってはならない。

客観的に考えて、直江が身近で倫子のような人に出会えたのは奇跡なのではないだろうか。
直江自身も残り少ない人生でそんな人に出会うなどとは夢にも思わなかった。だから、「もう人を愛することはない」と思っていたのだ。むしろ、「人を愛するために費やす時間など自分には残されていない」と思っていたのかもしれない。
しかし、いつの頃からか彼女に惹かれ、いけない、と思いながら、それでも二人の距離が近づく。まるで運命のように。さすがの直江もついにはその運命を信じたくらいの運命。そして、「運命」だからこその「奇跡」。
昔呼んだマンガにこんな言葉があった。『奇跡は起こるべく準備すれば必ず起こるものなのだ』
ならば、この奇跡を起こすべく準備したのはまさに「運命」なんだろう。

「もう人を愛することはないと思っていた」という直江。私はきっと長野で恋人と別れてきたのではないかと思う。
病気がわかり、一人で東京に行こうと決めたとき、直江はその女性に別れを告げた。病気は伏せたままで。
『なぜ、どうして』そう言って縋る彼女を振り切って東京に出てきた。もうそんなつらい思いはしたくないし、させたくない。もう既に一人悲しませてしまったと思っていれば、これ以上不幸にしたくないと思うのは当然だろう。
そういうことがあったからじゃないのかと思う。その女性は倫子のような強さを持っていなかったのだ。

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