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■久しぶりに北海道に帰ってみようと思ってた。一緒に行かないか。
フロノスも尽き、痛みと貧血に襲われ、もうすぐ動くこともままならなくなる。
いよいよか、と思う。最後まで医者として生きたいが、歩くこともできなくなれば、その願いもあきらめなくてはならない。それに彼女にも隠しておけなくなる。
では、自分はいつ死にに行くのか。死に場所は支笏湖と決めている。でも。。。

直江は自分の死を納得してはいるが、その心の中には「できるならもう少し」と、「もう少し彼女と生きる時間が欲しい」と願っていただろう。
支笏湖に行く日を一日延ばしにして、今日はバレなかったと、なんとかごまかせたと、そう思う日々が続いたに違いない。

あの日。。。懐かしい雪が降り、倫子が北海道のことを口にした。
雪と北海道。。。ああ、今なら言える。今なら不自然さを感じさせずに彼女に話すことができる。彼女には最後までさとられてはいけない。そして、できることなら最後まで彼女といたい。

でも、彼女はおそらく気がついている。気がついていながら自分の嘘の中に入ってきていることを、直江は感じている。嘘をついている自分を信じようとする彼女。
事実を知れば、自分の身勝手さを彼女は責めるだろう。どうして言ってくれなかったと泣くだろう。でも、彼女なら分かってくれる。自分のそばにいたいと言った彼女。自分と同じものを見て、同じことを感じたいと言った彼女。
きっと最後まで一緒にいたかった自分の気持ちを、彼女なら分かってくれる。

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