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■人間、そんな簡単に死ねないんだよ。
この言葉はこんなふうに普通の会話で出てきたものではなく、実際は
「人間はなぁ、そんな簡単に死ねねえんだよっ!」という、直江にしては珍しい語気の荒さで放たれた言葉だった。
そもそも、直江は次郎のことをよく思っていない。
定職にもつかず遊んでいるような若者。
お金がないにもかかわらず 「こっちは患者なんだから治療しろよ」と思っているような若者。
そして、写真誌にスクープ写真を売ったお金で治療代を払い、その写真で迷惑している人がいることなど考えもしない若者。
生きていることを当然と思い、ちょっとの挫折で安易に自殺しようとする若者。

直江が「博打や酒でなまけている人間と、一生懸命働いてきた人間では治療に差が出てくるのは当然」というようなことを言っていたことがある。
次郎のような『生きることに無関心』な人間を救うために自分は医者をやっているのではないし、ましてまだ生きられるのに自ら命を絶とうなどと考える人間を救うためでもない。

『自分は生きたくても生きられない』
『生きたいのに自ら命を絶とうとしている』
『そう決めているのに、それでも死が怖い』
直江は激痛のためにフロノスを注射したばかりだった。迫ってくる死の恐怖を 一番感じているときだったのだ。

 

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