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■自信持てばいい。いい看護婦じゃないか。
仕事に追われ疲れ果てている倫子を、直江は食事に誘った。
川沿いのレストランで、倫子は「川は友達」だと言う。「川は涙を流してくれる」と。
「自分が流したのは涙じゃなくて汗だった」という直江に、倫子はムキになって「私だって泣いてばかりいるわけじゃありません。そりゃ先生から見れば頼りないかもしれないけど」と言った。

それに対して、珍しく直江は真剣な口調で「自信持てばいい。いい看護婦じゃないか。」と言った。
倫子は驚いただろう。
直江先生がそんなこと言うなんて、私の仕事を認めてくれるなんて、と。人との関わりを避けている直江だから、普段は決してこんなことは言わない。

言った後、直江は眉毛をちょっとあげてビールを飲んだ。それはあたかも「言わなくてもよかったかな」と後悔しているようだった。無関心を平常心を装っていながら、彼女への気持ちを隠せない直江。
本当はもっと彼女を励ましたいし、近づきたい。でも、それはできないから、この言葉が精一杯。
こんな直江の気持ちに気がついてしまうと、彼から目が離せなくなる。

 

 

 

 

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