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■君の笑顔が、倫子の笑顔が大好きだ。だから泣かないで。愛してる。
ビデオレターの最後の言葉である。ビデオレターには、自分の病気のこと、なぜ自分が命を絶ったのか、その理由を話していた。しかし、倫子がそのビデオレターを見るのは自分の死を知った後であり、直江には彼女が悲しみに暮れ、泣いているだろうことは想像できる。だから、そんな彼女の悲しみが自分の言葉で癒すことができればという気持ちで言ったのだ。いくら彼女を慰めたくても、励ましたくても、もはや彼に残された術はビデオレターだけである。

直江はそれまで倫子のことを呼ぶことはなかった。直江が倫子をいうときにはいつも「君」だった。それが、最後の最後に彼女の名前を言う。「君の」と言った後で、「倫子の笑顔が大好きだ」と言い直す。ここに、彼の意志が感じられる。「倫子」と意識して呼んだのだということが分かる。
さらに、続けられた言葉は「泣かないで」であった。泣いていることは分かっているよ。でも、泣かないでほしい。だって、僕は君の笑顔が大好きなんだから。君には笑っていてほしい。だから泣かないで。
そして、最後の言葉は「愛してる」。これもまた、今まで直江が口にしていない言葉である。小橋に向かって『彼女を愛しているから何も言わない』 『愛する人から笑顔が消えるのが怖い』と言ったことはある。しかし、倫子に向かって『愛してる』 と言ったのはこの一度だけだ。

重みがあるからこそ言えない言葉だし、自分の限界を知っている直江にはなおさら言えるはずのない言葉である。それが彼女を縛ることになるのではないか。彼女に何も言わないと決めた以上、愛してるなんて言えるはずがない。。。
しかし、ビデオレターの中でなら、直江は素直になることができる。もはや彼女に隠すことなどない。自分の気持ちを正直に伝えることができるのだ。
そして、彼女に伝えることによって、倫子だけでなく直江自身も救われるのだと思う。
恐らく、倫子は直江が愛してるなんて言ってくれるなんて考えもしなかっただろう。彼女はそういう人だ。

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