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■僕はいつでも君と一緒にいる。君のそばにいるから。
私としては、これが彼の「遺言」 だと思っている。確かに彼は倫子にビデオレターを残した。でも、これは「僕のことは何でも君に話す」という約束を果たすために、自分の口から彼女に話したかったから残したものだと思っている。

彼の死後、倫子がつらいとき、寂しいとき、思い出すのはこの言葉なのだと思う。ビデオレターはそれこそ擦り切れるまで見るだろうが、いつも彼女の心にあるのは「僕はいつも君と一緒にいる」という言葉だろう。

悲しいことに「声の記憶」は時間が経つにつれて必然的に薄れていく。声の抑揚も思い出せなくなる。残るのは、ただ、彼があの場で自分に対して言ってくれたという事実だけ。
しかし、最期まで何も話さないと決めていた彼が、それでも自分のことを考えて言ってくれたんだと思えば、たとえ彼の声を思い出せなくなっても、彼女は生きていけるのではないだろうか。

彼女の言った言葉。
 「先生がそばにいてくれたらいいのに」
 「先生が苦しいときも悲しいときも一緒にいられればいいんです。」
 「先生のそばにいたいんです」

直江先生の言葉は彼女の言葉に対する答えなんだなぁと,改めて思う。
『僕も同じ気持ちだよ』という意味。『君が望んだように,僕も君のそばにいるよ』という意味。
彼女に本当のことは言えない。もう会えないなんてことは言えるはずがない。
嘘はつけない。でも,言っておきたかった。ビデオレターで伝えたいことは話してきたつもりけれど,何か言わずにはいられなかった。自分を信じている彼女に対して。そんな言葉。そうして言った言葉があのときの彼女に対する答えだなんて,悲しすぎる。


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