■真夜中のナイチンゲール
言わずと知れた「白い影」のテーマ曲である。ドラマが終わってかなり経つが、この曲を聴くと「あの」素晴らしいエンドロールの映像がばーっと蘇ってくる。そして、直江先生のいろんな顔が次から次へと思い出される。条件反射的に。こんなドラマの曲って今までなかったなぁと思う。
歌詞はもちろん倫子の心情を歌ったもので､倫子の気持ちがストレートに表れている。特に4話のラストで涙顔の直江先生が顔をあげたときに流れてきたあのときの倫子の気持ち。
しかし、倫子には申し訳ないけれど､私がこの曲を聴いて思い出すのはただひたすらに直江先生のことなのだ。もしかしたら、歌詞にある倫子の気持ちに私の気持ちがシンクロしているからかもしれない。

「あなたの瞳」という歌詞を聴けば、あのどこか遠くを見つめる悲しげな瞳を思い出す。
「心の裏側」という歌詞を聴けば、その心に抱えていた苦しみを思い出す。
「細く長い指」という歌詞を聴けば、倫子の背中にまわした手を思い出す。
「生き急ぐ理由」という歌詞を聴けば、医者として最期まで生きた姿を思い出す。
「微笑み」という歌詞を聴けば、倫子に笑いかける優しい微笑みを思い出す。

｢真夜中のナイチンゲール｣竹内まりや・作詞より

この曲を聴くたびに直江先生の姿を思い出し、直江先生の生き方を思い、直江先生の残した言葉を思う。

単にドラマの主題歌として使われる曲は多い。そして、多くはドラマの内容とは無関係のことを歌っている。竹内まりやさんはあえて状況設定をしないで考えたというが、ドラマとぴったり合ったこの曲は不滅の名曲だと思う。
考えてみれば、配役も、映像も、音楽も、そのすべてがぴったりと合わさって生まれた奇跡のようなドラマだったのだ。