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■嘘
直江と倫子は石倉に嘘を突き通す。
癌と告知しないで胃潰瘍だと嘘をつくこと。
開腹するだけの手術をあたかも胃潰瘍の手術だったかのように嘘をつくこと。
春にはたんぽぽの咲く土手に連れて行けると嘘をつくこと。
倫子は嘘を突き通せという直江の言葉に反発するが、『嘘をつくことで生きる希望を与える』という言葉に動かされ、そして、実際手術後の石倉がとても明るく笑っているのを見て、直江の『すべての嘘が不幸だとは限らない』という言葉を理解する。
『私だったら感謝するかもしれない。それが嘘の上に成り立っているつかの間の幸せだったとしても。』

それから、何度も石倉の前で二人は嘘をつくことになる。その度倫子は直江を見て、直江は倫子を見る。
倫子は「これでよかったんですね」と確認するように。
直江は「大丈夫だ」と安心させるように。

石倉のために他人の名前でアルブミンを調達し、宇佐美繭子のために嘘の会見をする。
すべては患者のため。その患者に対して医者としてできることをやるため。
そして、直江は倫子に対しても最後まで嘘を突き通す。
嘘をつかれたことを知ったとき耐えられない人もいるだろう。裏切られたと感じる人もいるかもしれない。
しかし、倫子は多分そうではない。既に『すべての嘘が不幸だとは限らない』と理解しているし、直江がどんな思いで嘘をついていたかを知れば、むしろ感謝するだろう。

嘘をつくことで結びついていた二人。二人の間にも嘘があったけれど、その嘘は『二人で幸せでいられるように』
直江がついた嘘だった。

 

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