★.このページは詳論です。
概論に戻りたい方はここをクリックしてください。
詳論では回路図を中心にして説明して行こうと思います。
☆.回路図

それでは、部分回路の説明に入ります。
過去のテーマと同じものや簡易なものは省略します。
1.プロテクタ回路

今回はオーディオ用のプラマイ電源なので、プラスの過電流とマイナスの過電流の両方で動作するように考えました。
プラスの過電流は研究テーマ・2と同じで、上の図の右下に書いてあるようにR980に発生した電圧がTr904に入ってTr903とともにサイリスタ動作をします。
その結果、Tr903とTr904は半永久ONとなり、D903を通して『正の極性検出出力』をLowにし、同時にインジケータD904赤色LEDを点灯させます。
検出抵抗はプラスラインとマイナスラインに入れるべきかも知れません。
しかし、オーディオの場合はスピーカー端子をショートしてもプラスの過電流、マイナスの過電流となる筈です。
よって、当回路のようにアースラインに検出抵抗を入れても良いであろうと考えます。
さて、マイナスの過電流ですが仮にR914を30kΩにすると入力はIC913で3倍に反転増幅されます。
これがD905とR904を通ってTr904に入ると言う具合です。
筆者の予想ではこれでR980から−0.7Vが来るとTr904に概略+0.7Vになって入る筈なのです。
先ず、R980から−0.7Vが来たとします。
これがTr904に入ろうとしますが動作しません。
一方IC913に入った方は3倍に反転増幅され+2.1Vなります。
これがD905を通る為に+1.4Vになります。
そしてR904を通ってTr904に入りますが、R905から−0.7Vが来ているので、Tr904には+0.7Vになる筈です。
これでプラスラインとマイナスラインがほぼ同等の過電流でプロテクタが動作する筈です。
実際に組み立てている途中でこの部分の動作試験をしたところ、R914は39kΩが適当と言う事になりました。
2.プラマイ電圧不均衡補正回路
上の図の右半分がプラマイ電圧不均衡補正回路です。
プラマイ電圧の不均衡を補正する回路が必要であると言う情報により考えました。
さて、整流平滑された電圧、65Vと−65Vの電圧はR931=R932=22kΩにて2等分され、その中間点の電圧は0Vです。
ここで、中間点は平滑コンデンサC931とC932の接続点(=E)には接続されていない事に注意してください。
この時、Tr931、Tr932はともにOFFです。
次に仮に上下の電圧に不均衡が発生し70Vと−60Vになったとします。
そうすると、R931とR932の接続点はE=0Vに対して5Vになります。
Tr931は4VでOFFからONになりますので、R935(470Ω)を通して電流が流れ70Vは低下します。
この時Tr932はOFFのままです。
これで不均衡はある程度の幅におさまると考えます。
最終の定数は種々の動作試験をしないと決定出来ないと思いますが、とりあえず良さそうです。
もしTr931、Tr932をトランジスタを使ったとすれば、ダーリントン接続の必要はあろうかと思いますが、より不均衡の少ない補正回路が出来ると思います。
3.マイナスライン出力切替回路

PchのMOSFETを2本並列にしたマイナスライン出力切替回路です。
Pchは飽和抵抗が余りにも大きい(200mΩ)ので2本並列にしました。
Nchは70mΩですから本来は3本並列にすべきかも知れません。
ドレインには逆流防止のダイオードが入っています。
ドライバですが、Pchをドライブする為と言うフォトカプラは存在しないのです。
つまり、光OFFで出力Highを出すものはないのです。
その為、立ち上がり遅延時間中やプロテクタが働いた時、光をONさせなければなりません。
☆.次の出力回路の前まで出来たので、出力の切替状況を観測しました。

画面を見やすくする為にプラス用のゼロラインは画面の一番下のラインに、マイナス用のゼロラインは画面の一番上のラインにしました。
電圧としては約±68V程度ですが、若干のプラマイ電圧不平衡が出ています。
4.出力回路
オーディオ用の電源としては上段下段の切り替え時に段差型の波形とかスパイク状の波形はまずいと思いコイル使用のフィルターを入れました。

L991、L992のコアはアモルファス鉄心でAL値が約4,000と非常に高いものです。
右側の写真は試作したコイルです。
使用した電線は1.0φで、70回巻きで約20mHになります。
☆.100W出力時のリップル波形を掲載します。

出力に直列のコイルと並列のコンデンサを入れた為、研究テーマ・2と比べると穏やかなリップルになっていると思います。
☆.最終的な回路構成は音質評価によって決定されると思います。
以上