最後の締めはロッシーニのオペラ「ウィリアム テル」第4幕からです。“Tutto cangia、il ciel sユabbella”コーラスの実力と凄さは先ほど証明済みのところへ、ソリストの歌手達の豪華かつ惜しげのない使い方でびっくり!
ソプラノのフリットーリ、テノールのサバッティ―ニ、バリトンのフロンターリなど豪勢なキャストですが各自ソロ部分はほとんどなく、後ろのコーラスと一体となって壮麗な音楽を聞かせてくれました。 恥ずかしながら、まだ「ウィリアム テル」を全曲通しで聴いた事がなかった私を、これが聴きたくて明日にも
CDを買いに走ろうと思わせる詩と音楽が美しく見事なハーモニーでした。
プログラムはこれで終了なので、当然ながら観客全員総立ちの熱狂の中で、何度も舞台で出演者達は挨拶を繰り返していましたが、いつものコンサートではアンコールをしないムーティが、コンサートマスターと短く言葉を交わした後、異例にも「最後のこの曲をもう一度聴いてもらうしかありませんが」とコメントして、再び“Tutto cangia、il ciel sユabbella”が始まり、またもや場内が感激の渦に戻りました。
それにしても、暑いだけのニューヨークの夏で緩んだ脳ミソを引き締める一服の刺激剤の役目を果たすコンサートの夜になりました。
<出演者と参考情報> 全員はとても転記でききれませんが。
Conductor: Riccardo Muti
Coro Filarmonico del Teatro alla Scala
Musicians of Europe United:
Austria: Wiener Philharmoniker, Belgium: Orchestre Symphonique du theatre royal de la Monnaie, France: Orchestre National de France, Orchestre de Paris, Germany: Berliner Philharmonisches Orchester, Symphonieorechester des Bayerishes Staatsorechester, Sachsische Staatskapelle Dresden, Philharmonisches Orchester der Standt Nurnberg, England: Philharmonia Orchestra, Royal Philharmonie Orchestra
Italy: Orchestra Filharmonica della Scala, Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI, Norway: Oslo Philharmonie Orchestra, Netherlands: Royal Concertgebouw Orchestra, Russia: St. Petersburg Orchestra, Spain: Orquesta nacional de Espana, Sweden: Royal Stockholm Philharmonie Orchestra
New York Philharmonic
Opera singers: Barbara Frittoli, Oriana Kurteshi, Marianna Kulikova,
Giuseppe Sabbatini, Roberto Frontali, Natale De Carolis
プログラム
*** Beethoven: symphony No. 3 in E-flat major メEroicaモ Op. 55
***Giuseppe Verdi メ Va Pensieroモ from Nabucco
***Gioachino Rossini メTutto cangia, il ciel sユabbellaモ from William Tell
<RAVENNA FESTIVALについて>
1997年ムーティの肝いりのプロジェクトで発足、夫人が会長を努めている。
インターナショナルなメンバーと開催地を通して「国境の無い文化と芸術の融合と世界の友情の架け橋」を目指す演奏活動をしている。
過去の公演開催地は1997年7月14日サラエボ、1998年7月26日 ベイルート、1999年 7月1日 エルサレム、2000年7月24日モスクワ、2001年7月23日エレヴァン(アルメニア)同7月24日イスタンブールとなっています。
もともとは東西の文化融合がフェスティバル発起の核となっていたようです
(ニューヨーク以外は各地ともかつての宗教、文化面でビザンチン帝国と深い関わりを持つ国々ですし、ラベンナも昔日に西ローマ帝国の都がありましたから)
ただ、今回はNYCの悲惨な事件が世界中にあまりに生々しく、これ以外の都市での演奏はあり得ないという「鎮魂」の意味を含めての決定となったようです。
ちなみに、コンサートに先だち、ムーティはスカラ座コーラスのメンバーとグラウンドゼロ地区を訪問し、そこで無伴奏でVa Pensieroのコーラス指揮をしている姿がTVニュース取材されていました。