今夜は豪華絢爛にも、あのスカラ座の帝王マエストロ ムーティのもと、ヨーロッパ一流ソリスト集団の音楽でそれは盛り上がりました。
NYCの昨年9月11日のテロの追悼コンサートで、指揮者が世界に誇るイタリア人なので当然イタリア総領事館とRAI国営放送がメインでサポートしているイベントで 偶然にも同放送TV番組でこの企画を知りました。しかも入場が無料=お金では買えないという図式で、窓口で購入する方法よりもかえってチケット入手難易度が増すという訳です。実際、チケットをお金を出して買ってでも行きたいファンはかなりの数いたはずです。招待客以外の一般参加は、1週間前の月曜の朝から先着順で並んでチケットがもらえるというシステムでした。
ニュースを知ったのが日曜で、何をさておいてもということで、翌月曜8時から並んで2枚を入手できました。 非常に稀な機会かもしれず、たまたまこの日にNYCにいる偶然に神様に感謝です。
今夜のホールは70%以上、在ニューヨークのイタリアンコミュニティの招待客達で、当然イタリア語で社交しているので、ここはほんとにNYC?という雰囲気でした。
予定の8時より少し遅れて開演。 バックに控えるスカラ座コーラスと各国のソリスト達の舞台が華やかに目をひきます。
ムーティが舞台に出て早速、アメリカ国歌、イタリア国歌、それにベートーベンの第九のコーラスの一部で盛り上がった後、ベートーベンの交響曲「エロイカ」が始まりました。 式典以外でアメリカ国歌をクラシック音楽ホールで聞くのは、 いつもはレバイン指揮でメトロポリタンオペラのオープニングぐらいなのですが、ムーティの指揮で聞くとは思いがけなく、こんな組み合わせ機会など滅多にないと冒頭から何やら熱い思いがこみあげた気がします。
実力人気とも1、2を争う世界一セクシーなこの指揮者の演奏をこの4月、ニューヨークでベルディのレクィエムで聴きましたが、その時も場内を制するかのごとく、彼の背中から発する集中力とオーラが、日頃せき、しわぶきetc悪評高いアメリカの聴衆の背筋をピンと伸ばしていました。 良い意味で非常に緊張度の高い演奏だったのが印象にまだ新しいのですが、今夜の演奏も冒頭のセレモニーからして、目が覚める音の始まり方で、それに続く「エロイカ」も滑らかな流れから、次第に重厚な音に変化していき、どんどん聴衆を引き込んでいくもので、久しぶりにベートーベンをゆっくり聴きたいなと思いました。
こういった各国の一流ソリストに混じって、一人の日本女性バイオリニスト(Tomiko Shidaさん)を発見したのも、なにか心うれしい気がしました。
そして、感無量だったのが、次のヴェルディ「ナブッコ」よりのコーラス“Va Pensiero”-金色の翼にのって-です。御本家のスカラ座コーラスはやっぱり圧巻!という音の構成で、このコーラス曲でも名高いベルデイの力作を一度は是非スカラ座で聴きたいと思っていたので、今晩奇しくも願いが叶って、本物に出会ったという感覚です。 特に、印象に残るのは、ほんとうに曲の終わりのピアニッシモの糸を引くような繊細さでした。