命題論理の自然演繹における定理・派生推論規則  【5】冪等律 idempotent law の証明 

派生推論規則と しての冪等律1-1
 「AAからAを導出(推論)してよい」は、
  命題論理における自然演繹派生推論規則
    →【証明:1-1】

 AA 

  

Aがどのような論理式であれ、
 「AA」を
 「仮定『AA』のもとで『A』」
に書き換えてよい 



 A 



派生推論規則と しての冪等律1-2
 「AからAAを導出(推論)してよい」は、
  命題論理における自然演繹派生推論規則
    →【証明:1-2】

 A 

  

Aがどのような論理式であれ、
 「A」を
 「仮定『A』のもとで『AA』」
に書き換えてよい



 AA 


定理としての冪等律
 「( AA )A。つまり、1-1.( AA ) A。1-2.A  ( AA )。(Aは任意の論理式(命題変数単体に限らない)」は、
   命題論理における自然演繹定理。 →【証明:1-1】(AA) ⇒ A /【証明:1-2】A ⇒ ( AA )  


【証明:1-1】「AAからAを導出(推論)してよい」「(AA) ⇒ A

(1) 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
  のみで、
  派生推論規則と しての冪等律1-1  



Aがどのような論理式であれ、
 「AA」を
 「仮定『AA』のもとで『A』」
に書き換えてよい 

  

 AA 

  





 A 



  が得られること 

(2) 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
    端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
  のみで、
  論理式「(AA) A」が得られること

を示す。





【文献】
 ・前原『記号論理入門』7章§1.1(p.119); 


 
   

 * 証明 → step01/step02/step03
 * トピック冒頭→ 派生推論規則と しての冪等律 / 定理としての冪等律
 * トピック一覧→ 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧

[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 論理式AA」を仮定1として、書き出す。
  
 仮定1 
 AA  



[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「∧除去則」にしたがって、
   「AA」を「A」へ書き換える。
推論規則「∧除去則」により、
 書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
 書き換え後の「A」は、仮定1「AA」 のもとにある。
・これで、推論規則「∧除去則」による書き換えによって、
 仮定1「AA」から、
 「仮定1『AA』のもとで『A』」
 が導出されたことになる。

  

 仮定1 
AA




(∧除去)


A


 ・派生推論規則と しての冪等律1-1AAからAを導出(推論)してよい」




 「AA」を
 「仮定『AA』のもとで『A』」
 に書き換えてよい 

  

 AA 

  





 A 


  は以上で得られた。
  定理となる論理式「AA A」を獲得したいときは、次のステップへ。

[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『AA』のもとでの『A』」を「AA A」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「AA A」に書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「AA」から、仮定「AA」を差し引いた分だけとなるから、   
   「AA A」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなってしまい、
    仮定なしの「AA A」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『AA』のもとで『A』」から、
  仮定なしの「AA A」が導出されたことになる。

  

 [仮定1] 
[AA]




(∧除去)


A



(⇒導入)仮定1を解消


(AA) ⇒ A





 → 派生推論規則と しての冪等律 / 定理としての冪等律
 → 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧 
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  

【証明:1-2】 「AからAAを導出(推論)してよい」「A ⇒ ( AA )」

(1) 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作 
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え  
  のみで、
  派生推論規則と しての冪等律1-2  




Aがどのような論理式であれ、
 「A」を
 「仮定『A』のもとで『
AA』」
に書き換えてよい 

  

 A 

  





 AA 



  が得られること 

(2) 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え  
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
  のみで、
  論理式A ( AA )」が得られること

を示す。





【文献】
 ・前原『記号論理入門』7章§1.1(p.119); 


 
   

 →step01
 →step02
 →step03
 → 派生推論規則と しての冪等律 / 定理としての冪等律
 → 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧 

[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 論理式A」を仮定1として、書き出す。
  
 仮定1 
 A  



[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「∧導入則」にしたがって、「A」「A」 を「AA」へ書き換える。

推論規則「∧導入則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「AA」は、仮定1「A」 のもとにある。

・これで、推論規則「∧導入則」による書き換えで、
  仮定1「A」から、
  「仮定1『A』のもとで『AA』」が、
  導出されたことになる。

  
 仮定1 
 A  
 仮定1 
  A  
 


(∧導入)


AA



派生推論規則と しての冪等律1-2AからAAを導出(推論)してよい」



Aがどのような論理式であれ、
 「A」を
 「仮定『A』のもとで『
AA』」
に書き換えてよい 

  

 A 

  





 AA 


 は以上で得られた。

 定理となる論理式「A AA」を獲得したいときは、次のステップへ。

[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『A』のもとで『AA』」を「A AA」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「A AA」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「A」から、仮定「A」を差し引いた分だけとなるから、   
   「A AA」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなってしまい、
    仮定なしの「A AA」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『A』のもとで『AA』」から、
  仮定なしの「A AA」が導出されたことになる。

  
 [仮定1] 
 [A]  
 [仮定1] 
  [A]  
 


∧導入則


AA


(⇒導入)仮定1を解消


A⇒(AA)


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