命題論理の自然演繹における定理・派生推論規則 【6】交換律1-2 の証明 

派生推論規則と しての交換律1-2

 「BAからABを導出(推論)してよい」は、
  命題論理における自然演繹派生推論規則
    →【証明:1-2】




A,Bがどのような論理式で あれ、
 「B
A」 を
 「仮定『B
A』 のもとで『AB』」
に書き換えてよい 

  

 BA 

  





 AB 


定理としての交換律1-2
 「A,Bに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、( BA ) ( AB ) 」は、
  命題論理における自然演繹定理。→【証明:1-2】

 

【証明1-2】( BA ) ⇒ ( AB )

(1)
 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え 
 のみで、
 派生推論規則と しての交換律1-1  




A,Bがどのような論理式で あれ、
 「B
A」 を
 「仮定『B
A』 のもとで『AB』」
に書き換えてよい 

  

 BA 

  





 AB 


 が得られること 
(2)
 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式「(AA) A」が得られること

を示す。
  [前原『記号論理入門』7章§1.2 (p.119)]

 * 証明 → step01 / step02 / step03 / step04
 * トピック冒頭→ 派生推論規則と しての交換律 / 定理としての交換律
 * トピック一覧→ 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧

[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
論理式BA」を仮定1として、書き出す。

  
 仮定1 
 BA  

[step2] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「∧除去則」にしたがって、
    「BA」を「A」 へ 
    「BA」を「B」 へ
   書き換える。
  ・推論規則「∧除去則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「A」「B」は、それぞれ、仮定1「BA」 のもとにある。
  ・これで、推論規則「∧除去則」による書き換えによって、
   仮定1「BA」から、
   「仮定1「BA」のもとで『A』」
   「仮定1「BA」のもとで『B』」
   が導出されたことになる。

  
  

 仮定1 
BA




(∧除去)


A

  

 仮定1 
BA




(∧除去)


B






【文献】

 ・前原『記号論理入門』7章§1.2(p.119); 
 ・野矢『論理学』1-2-2-公理系のサンプル2-問題25(p.65):一方向のみ。;1-2-3-LP-定理(p.68)
 ・林『数理論理学』例1.3(pp.25-26);例1.7(p.32)
 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) 1.4Natural Deduction - T(p.31):一方向のみ。∧除去、∧導入、⇒導入のみ利用。


 
   * テキスト間でみられる揺れ:
      戸田山『論理学をつくる』は、交換律を(A∧B)⇒(B∧A),(A∨B)⇒(B∨A)としている。

[step3] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「∧導入則」にしたがって、
   「仮定1「BA」のもとで『A』」
   「仮定1「BA」のもとで『B』」
   を
   「AB
   へ書き換える。

  ・推論規則「∧導入則」の規定により、
     書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
      書き換え後の「AB」は、仮定1「BA」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「∧導入則」による書き換えで、
   「仮定1「BA」のもとで『A』」
   「仮定1「BA」のもとで『B』」
   から、
   「仮定1『BA』のもとで『AB』」
   が、導出されたことになる。

  
  

 仮定1 
BA




(∧除去)


A

  
 仮定1 
BA



(∧除去)


B



(∧導入)


AB

派生推論規則と しての交換律1-2BAからABを導出(推論)してよい」  



A,Bがどのような論理式で あれ、
 「B
A」 を
 「仮定『B
A』 のもとで『AB』」
に書き換えてよい 

  

 BA 

  





 AB 


 は以上で得られた。
 定理となる論理式「( BA ) ( AB )」を獲得したいときは、次のステップへ。


[step4] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『BA』のもとで『AB』」を「BA AB」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「BA AB」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「BA」から、仮定「BA」を差し引いた分だけとなるから、   
   「BA AB」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
    仮定なしの「BA AB」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『BA』のもとで『AB』」から、
  仮定なしの「BA AB」が導出されたことになる。

  
  

 [仮定1] 
[BA]




(∧除去)


A

  
 [仮定1] 
[BA]



(∧除去)


B



(∧導入)


AB


(⇒導入)仮定1を解消


( BA ) ⇒ ( AB )



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