R全体を開集合と呼んでよい理由               

 ・一言で言えば、R任意のaは、どれも、R内点とよべるから。

 ・詳しく言うと、以下のようになる。

    Step1: R上の点aε近傍の定義は、Uε(a)={ b R | d(a,b)<ε } であった。 
   
    Step2: だから、点aの選び方にかかわらず、Uε(a) R 

    Step3: したがって、 a R  Uε(a)  (Uε(a)R )  
       つまり、R上の任意のaは、どれも、R内点の定義を満たす。 

    Step4: よって、R全体は開集合の定義を満たす。





 【文献】
 ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§1D(pp.145-6)




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空集合φを開集合と呼んでよい理由               

  Step1: 「AならばB」「AB」の真偽の定義により、
      常に、Aが成り立たないとき、「AならばB」「AB」は「成立する」といわれる。
   
  Step2: 空集合φの定義より、任意のaにたいして、点a φは成立しない。 

  Step3: 「a ( aφ Uε(a)  Uε(a)φ   )」は、
       Step2より、の左項「a φ」がつねに成立しなくなるので、
       Step1にしたがって、全体としては成立。

  Step4: 「 a  ( aφ Uε(aUε(a)φ )」が成り立つのだから、
        空集合φは、開集合の定義を満たす。   





 【文献】
 ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§1D(pp.145-6)





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reference

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矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版、1997年、第一章。
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小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、pp. 13; 21;36; 46;53-65; 73.
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、pp.37-48;55; 70;.75-79;
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.154-157.
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.112-113.
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学I』岩波書店、1985年、pp.261-265.
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