シリーズ部落差別 4

 

狭山事件と部落差別

 全面的な差別捜査に踏み切った警察

警察は狭山市内の全部落に総力を挙げて捜査員を投入した。地区内では刑事がはち合わせするという状況だった。また、部落出身者が経営する養豚場にも捜査の手を伸ばした。「凶悪犯罪をするのは部落民だ」と決めつけたきわめて悪質な部落差別である(江戸時代には犯罪で犯人が見つからないときには部落から犯人を出す=でっち上げるということが当然のように行われていた)。「生きた犯人を捕まえる」と追い詰められた警察による部落差別だ。マスコミもそれをあおった。百人を超す部落の青年が捜査対象者としてリストアップされ血液型や筆跡やアリバイを調べられた。石川さんもその中に含まれていた。

石川さんの住んでいた地区と死体発見現場はほんの数百メートルだ(石川さんは死体が見つかったと聞いて野次馬の一人として現場に見に行っている)。そして「殺害現場」とされた雑木林も近くである。それは偶然ではない。いずれも地元では部落とされていたのだ。警察は何か根拠があって石川さんを選び出したのではない。まさにその地区の住人であり典型的な部落青年(字が書けない、定職に就いていないなど)でありアリバイがはっきりしていない、ということで選び出したのだ。それは、逮捕が本件ではなく別件での逮捕となったことに示されている。そこには「自白」に追い込みさえすれば犯人にできる、という警察の狙いがあった。石川さんの逮捕は120%でっち上げだったのだ。
                                        

                                                                                                 つづく

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