シリーズ部落差別 3

 

狭山事件と部落差別

 


   政府中枢をゆるがす政治問題化
篠田国家公安委員長は、事件が殺人事件となったことをうけて記者会見した。
こんどの事件については@犯人は土地カンがあるということA二十万円を大金だと考える程度の生活でB知識のあまり高くない人、と予想できるので、遠からず犯人は逮捕できると期待している。(『朝日新聞』五月五日)このように、篠田は、四日までの警察の捜査報告をもとに犯人像をしめしている。捜査線上にあがっている「犯人は部落民だ」ということを再確認し、政府見解として発表したのだ。この篠田発言をもって、四日までの警察の差別捜査、デッチあげのための捜査が追認され、国家意思として確認された。治安維持のためには、部落をおそい、部落民を犠牲にし、その危機をのりきろうというのである。この時点で、「部落から犯人をだす」ことが、国家権力と捜査当局のうごかしがたい基本方針となったといえる。
さらに、国会でも、七日、衆参両院地方行政委、八日、参議院本会議、九日、衆議院本会議で警察の責任が追及されたのだ。警察の責任として、一日も早く犯人をあげることが問われた。篠田は、犯人はかならず逮捕する、失墜した警察の権威を回復するため努力すると、くりかえし答弁した。こうして、なんとしても犯人をつかまえること、そのためには、無実の部落民を「犯人」にデッチあげることが、国家権力中枢の治安上の至上命令となったのである。
                                        

                                                                                                 つづく

  01  02  03  04  05  06  07