その5

8/8(日)


標高400mほどまで下ると、標高差900mのダウンヒルも終わり。これからは長野市街までほぼフラットだ。R406から県道58号に移ると、後はこの道で長野駅を目指す。次第に交通量が多くなってきて、道幅も狭くなり、路面も荒れてきて、走りづらくなってきた。

県道58号の途中で、ヒヤッとするアクシデントがあった。微妙な下りを走っていると、いきなり「バキッ!!」という大きな音がして、後輪ににぶい感触がした。キャリアが右にぶれて、左キャリアに固定していたサイドバッグのプラスチック製の固定部分が後輪のスポークに巻き込まれ、吹っ飛んだ。

すぐに止まり、吹っ飛んだ部品を拾う。幸い、破損はしていなくて、ただ強い衝撃でとれただけだった。また元のようにレールに差し込んだ。大事には至らなかったが、一歩間違えば大事故につながり、さらにキャリアなどが破損すると旅の継続の危機だった。

これは、サイドバッグの左右の重量バランスが悪い事が原因だった。右サイドバッグには主に衣類を、左サイドバッグには空気入れや充電器など衣類以外の物を入れていたので、左サイドバッグの方が重かった。それで、左が重いから後輪側へとずれてきて、ついに後輪に接触、というわけだ。荷物の左右のバランスの重要さを痛感した。翌日からはバランスを考えて荷造りしようと思った。


上信越自動車道の下をくぐるまでは、のどかな風景が続いた。山を下っても、まだまだこういった景色を楽しめるのは嬉しい。今走っている場所は晴れているが、先ほどまでいた山の方を振り返ると、どんよりした雲に覆われていた。時折雷の音も聞こえてくる。きっと、今頃は雨が降っているのだろう。


足はクタクタだが、平坦なのでなんとか走っていける。もう時刻は17時近い。今日のコースは85kmほどと短いが、これくらいに設定しておいてよかった。あまり短くても物足りないが、無茶して長い距離を設定していたら、日が沈む前に宿に着かなかったかもしれない。着いてもかなり体に無理があっただろう。


千曲川にかかる屋島橋を渡る。西日と雲に隠れた太陽の光線がきれいだった。遠くには、長野市の西に位置する山々が連なっている。ここらは市街地だが、周りはどこを見渡しても山、山、山。


長野は、1998年の冬季オリンピック開催地。そのときに会場となった「エムウェーブ」の前を通る。当時は盛り上がったオリンピック会場も、今となっては莫大な維持費がかかる非難の対象となっている。この近くのセブンで休憩し、宿に向けてラストスパート。


県道58号をそのまま進んでいたら長野駅の東口にやってきた。しかし、ここから北口へは行けない。駅周辺は道や信号の造りが複雑で、自転車ではうまく移動できないようになっている。ちょっとウロウロした後、車の列に混じって交差点を渡り、線路の下をくぐる通路へと移動した。


やっと長野駅西口へやってきた。東口はずいぶんと立派な外観だったが、西口はずいぶんと庶民的。それにしても長野駅周辺はすごい人。さすがは主要な駅だ。ここらはもう東京などと雰囲気は変わらない。チャリダーは浮いた存在となる。

今日泊まる宿は、ビジネスホテル「ホテルニューやま」。ホテルの地図をプリントアウトしておいたのだが、この辺りは道が複雑で、現在位置がうまく把握できない。この道であっていると思うけど、なんか自信ない…。もう着いていい頃だけど、見えてこない…という感じで不安になりつつ、路地を進んでいった。

そうこうしているうちにポツポツと雨が降ってくる。ようやくホテルにたどり着くと、その直後にバケツをひっくり返したような土砂降りの雨。すごいタイミングだった。このホテルの受付の人はとてもいい感じの人で、自転車を室内に入れて欲しいと頼むと、快く承諾してくれた。自転車はフロントの前まで入れて、おれが部屋に入ると、さらに奥に保管してくれた。

一人でホテルに泊まるなんて、なかなかない。なんだかすごく贅沢な感じがしていい気分。実際はビジネスで質素で狭い部屋だし料金も5000円ほどだけど。まずは荷物を部屋に展開し、すぐシャワーを浴びる。その後ランドリーで今日汗だくになった衣類を洗濯し、選択しているうちに夕飯を食べに外へ出かけた。時間を無駄なく利用していく。


ホテルの人の話では、今日は日曜日であまり店がやっていなくて、開いている店も20時頃で閉まってしまうとか。すでに19時半を回っていたので、あまり開いている店はなかった。アーケードの商店街は、閑散としていた。


アーケードを歩いていると、目立つラーメン屋が目にとまったので、夕飯はラーメンにすることにした。よく覚えていないが、金のなんとかと銀のなんとかだかがあり、違いがよくわからなかったので店員さんに聞いて、金の方を頼んだ。この店で一番スタンダードならーめんのようだ。運動して腹が減っていることもあり、とてもおいしかった。


時間が遅かったこともあるが、おれが入ったときは他に誰も客がいなくて、貸し切り状態だった。後からカップルが入ってきたけど、落ち着いた雰囲気で、何よりおれ好みの洋楽のR&BのBGMが心地よかった。知っている曲が多かったし。マイケル・ジャクソンの「リメンバー・ザ・タイム」など流れて、このBGM集をセレクトした人は、けっこうおれと趣味が合いそうだった。店員さんもいい感じで、とても好感をもてた。


ホテルに戻ると、洗濯機から乾燥機に入れ替え、テレビを見たり地図を眺めて明日のルートを確認したり、モブログでSUNA Lifeを更新したりした。そして、1日目が終わった。初日から、なかなか内容の濃い1日だった。
地図:Map データ:Polar Data
出発:10:02 到着:19:00
走行距離 84.8km
走行時間 4h 57m 12s
平均速度 16.9km/h
最高速度 63.4km/h
上昇距離 1860m
温度(最低/平均/最高) 23℃/32℃/42℃
積算距離 5661km(ロード)
カロリー消費量 1458kcal


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