その2

8/8(日)

出発は、夏休み2日目の日曜日。前日の土曜日も、旅に向けての最後の買い物をした。前日の夕方くらいから出発の準備をし始めたが、色々やっていて遅くなり、結局ほぼ徹夜で出発することになった。出発は始発なので、下手に寝ると起きれなくなってしまうから。

4:52発の始発に乗るために、朝食を食べたり荷物をまとめたりする。いつもは余裕を持って家を出るのだが、今回はけっこうギリギリになってしまい、ホームに下りたときに丁度電車がやってきたところだった。ばっちりのタイミングと言えば聞こえがいいが、かなり危ない。

久しぶりの始発電車に乗り、横浜駅を目指す。始発なのでガラガラ。この空いていて静かな雰囲気がいい。窓の外には夜が明けたばかりのきれいな空があった。そう言えば、しばらく夜明けの空を見ていなかった。久しぶりにきれいな空を見て、一人感動していた。

横浜駅からは東海道線で東京駅を目指す。普段なら朝の通勤ラッシュなどで地獄を味わう電車だが、日曜日の早朝とあって、こちらも余裕の乗車。座れなかったけど、空いているので自転車がジャマ扱いされない。こちらも横浜駅での連絡で遠回りするような通路を通ってしまったために、出発間際に飛び込み、今回の旅の始まりはそんなんばかりだなぁとか思った。

東京駅には午前6時くらいに着いた。まだ朝早いというのに、東京駅には人がたくさん。おれが乗る予定の長野新幹線は7:28発。まだ1時間半も余裕がある。もっと早い便もあったが、朝起きれなかったことを考えて、保険の意味で少し遅めの便を予約したのだ。

実際はかなり早く着いたので、2つ前くらいの便でもよかった。早ければ早いほど、上田から走り出す時間も早まり、今日走れる時間が増える。しかし、7時半頃の出発でも、今日のコースは充分走りきれる設定なので、のんびりと待つ。

階段に腰掛け、暇なので携帯でSUNA Lifeを更新したり(モブログ更新…JUGEM版SUNA Life)、知り合いにメールを打ったりした。それでも時間が余ったので、携帯で音楽を聴きながら地図を眺め、今日のルートを確認したりした。東京駅は冷房が少しきつくて、半袖短パンでは肌寒かった。前にいたギャル系の女の子は、かなり寒そうだった。おれはウィンブレをサイドバッグから出して、それを着た。

長野行きの新幹線を数本見送り、いよいよおれが乗る「あさま1号」がやってくる時間が近づいてきた。今度こそは余裕のある行動。早めに改札へ向かう。新幹線の改札口には係員の人が2,3人いるが、そのうち女性の係員が、おれが大きな輪行袋を担いでいるのを見て、切符だけを改札を通して、おれは広い駅員窓口側の所を通してくれた。

また、改札口の中には高台に警備員が立って、怪しい人がいないか監視している。しかし、おれの持つ大きな袋は自転車が入っている物と知っているようで、特別怪しまれはしなかったようだ。エスカレーターを上ってホームへ移動する。


新幹線自体すごく久しぶりだが、こうして自分でチケットを買って一人で新幹線に乗るという事が何気に初めてだったので新鮮な感じだ。



席は指定席で、当然禁煙席。同じ車内にはツアー客と思われる集団がいた。自転車は出入り口のちょっとしたスペースに置いて、自分は座席に座った。この「あさま1号」は、他の便と違って東京〜上田の間に大宮の1駅にしか停車しないので、あまりジャマにならない。このあたりもこの便を選んだ理由だ。

1時間40分ほどで上田駅に到着。上田は初めて利用する駅。東京駅は複雑だが、上田駅はシンプルな造り。階段を下りて改札を抜けるとすぐ出口だった。空はどんより曇っていたが、雨は降っていない。さっそく駅前の広場にあったベンチ近くで自転車を組み立て始める。


組み立てていると、円形のベンチの近くに座っていた男性が声をかけてきた。「1日どれくらい走るんですか?」この旅で、この先何度も聞くことになるお決まりの質問だ。男性は地元の人で、天気の事などを聞いた。天気は、思ったよりよくないようだ。雨が降るかもしれないと言われ、レインシューズカバーをシューズにかぶせた。

キャリアをシートポストに装着する際、いきなり問題が発生。これは直接金属同士で固定してもうまく固定力が得られないため、ゴム製の板が付属していたが、それを家に忘れてきてしまった。慌ただしく準備をしてきたので何か忘れていてもおかしくないと思ったが、これがないとかなり問題だ。

何か代わりになるような物がないか探したが、なかなか見つからない。そこで、何かあったときのためにサイドバッグの中に忍ばせておいたビニールテープとラジオペンチがあった事を思い出した。そうだ、あれが使える。ビニールテープをシートポストにグルグル巻いて、ラジオペンチでカット。これで何とかシートポストを固定することができた。しょっぱなから冷や汗をかいたが、何とか乗り切った。


事前に試走をする余裕がなかったので、初めて完全な旅装備となったQ-Carbon Race。シートポストに装着するタイプのキャリアにサイドバッグを装備し、キャリアの天版の上には輪行袋。サドルバッグは普段の物をそのまま装備。コラムの付近にBENTO BOX。



駅前広場には、真田幸村公像。自転車を組み立て、駅前のローソンでドリンクなどを購入し、出発準備ができた頃には空は青空に変わり、気温が一気に上昇。涼しい気温から汗ばむ陽気に変わった。再び孫を連れたおじいさんに「これ、ロードレーサーか?」と声をかけられる。そして「1日何キロくらい走るんだ?」と。

その3へ

1 2 3 4 5  2日目へ