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活動交流と情報のコーナー 2004~2003年の記事

交通事故絶滅をめざし、交通犯罪を告発し、クルマ社会を問い直す

2004/8/17毎日新聞
新聞時評:遅過ぎる交通禍裁判開始も問題に=弁護士・青野渉

本紙の夕刊社会面には前日の交通事故死者数が毎日掲載されている。今年の死者累計は4369人(15日現在)。死者数は減少傾向にあるとはいえ、昨年も年間で7702人の方が亡くなられた。他方、負傷者は118万人と増加の一途。最近5年間は毎年100万人以上の国民が交通事故で死傷している。今年上半期の事故発生件数も過去最悪のペースという(7月22日夕刊社会面)。

◇相次ぐ重大事故

最近の大きな事故だけをみても、岐阜県の東海北陸道の事故(7月27日夕刊1面)、福島県の磐越道の事故(7月28日朝刊社会面)、兵庫県の山陽道の事故(8月7日夕刊1面)があり、あわせて16人が亡くなられている。いずれも夏休み中の子供が犠牲になっており、痛ましいかぎりだ。
7月23日夕刊1面によると、裁判の迅速化が進み、1審で2年以上かかっている刑事裁判は、ピークだった1973年の5030件から昨年は185件にまで激減したという。また、刑事裁判の第1審の平均審理期間も約3・2カ月にまで短縮された。しかし、最高裁の発表するこのデータには、裁判が始まるまでの時間は含まれていない。私の経験でいえば、死亡事故の場合、裁判が始まるまで1年以上かかることはむしろ普通だ。自分の子供をひき殺した加害者が逮捕もされずに普通に生活をしている。
「何でこんなに時間がかかるんですか」。交通事故の被害者から何度も聞いた言葉である。昨年の交通事故関係の検挙者は約90万人である。交通事故捜査は専門知識が必要で真相解明は簡単ではない。件数が膨大で手間がかかる一方、捜査担当者の数は少ないから、長期化するのは当然である。
改善のために、捜査員を増強すべきことはもちろんだが、他に、事故の真相解明や捜査の迅速化を実現する手立てはないものか。一つの方法として、フライトレコーダーの自動車版が考えられる。人間の記憶は不確かだから供述を頼りに真相を解明することは困難である。交通事故の死者数は、航空機事故の比ではないから、こういった機器の導入はむしろ当然ではないだろうか。すでに大型貨物自動車は運行中の速度などを記録するタコグラフの搭載が義務づけられているし、技術的にはドライブレコーダー自体も既に実用化されている。もちろん、データがむやみに利用されない措置(1分間サイクルで自動消去されて、事故の衝撃があった場合のみデータが保存されるシステム等)は必要だ。

◇根本をえぐって

交通事故は人災である。知恵を絞れば、事故を減らす方策は他にもいろいろあるはずだ。クルマで利益をあげる自動車メーカーには、率先して事故撲滅を推進する重大な責任がある。ところが、三菱自動車の元社長が欠陥隠しを理由に業務上過失致死容疑で逮捕された(6月11日朝刊)。事故撲滅ではなく欠陥隠しに知恵を絞ったわけである。
新聞時評の担当になって4カ月、本紙の記事を普段よりも丁寧に読んできたが、警察発表に基づく事故報道や若干の啓発記事はあったが、クルマ優先社会の問題性をえぐるような記事は残念ながらなかった。事故発生の一報を報道するだけでなく、その後の捜査の問題や、事故の抜本的な防止策についての鋭い報道を期待したい。この論評は北海道支社発行の紙面をもとにしました。

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2004/07/16北海道新聞夕刊全道
月命日払いを控訴審も認定 北広島の交通事故

北広島市で二○○一年に小学四年生の男児四人が乗用車にはねられ一人が死亡、三人が重軽傷を負った事故で、亡くなった土場俊彦君=当時(9つ)=の両親が、乗用車を運転していた同市内の女性(52)=業務上過失致死傷罪で禁固二年六カ月が確定=に約七千六百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が十六日、札幌高裁であった。末永進裁判長は、一審の札幌地裁判決を一部変更し、慰謝料を除く損害賠償額を約三千三百万円に増額する判決を言い渡した。慰謝料の「月命日払い」は一審通り認めた。
一審判決は、原告が求めた慰謝料の分割払い(金利を加えた額)を認め、被告に三十年間、土場君の月命日(十八日)に六万円を支払うよう命じた。さらに慰謝料を除く損害賠償金として、被告に約三千二百万円の支払いも命じた。
一審判決によると、女性は二○○一年八月十八日、北広島市内の市道を乗用車で走行中、アクセルとブレーキを踏み間違えるなどして歩道に乗り上げたまま約五十メートル走行し、自転車に乗っていた男児四人を次々はねた。土場君はこの事故で出血性ショックで死亡。両親は事故で尊い命が失われた事実を忘れてほしくないと、月命日払いなどを求めて提訴した。

関連記事と経過

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2004/02/02「読売新聞」夕刊
恵庭の居眠り運転死亡事故 「軽い判決」覆し実刑 札幌高裁「本人無念、遺族感情厳しい」

死亡交通事故で業務上過失致死の罪に問われた札幌市○○、無職○○被告(34)の控訴審判決が2日、札幌高裁であった。長島孝太郎裁判長は「執行猶予とする案件と認められない」と述べ、執行猶予付きの一審・札幌地裁判決を破棄し、禁固1年8月の実刑を言い渡した。
判決によると、○○被告は2002年9月25日午後11時ごろ、大型トレーラーを運転中、北海道恵庭市西島松の道道で居眠りし、停車中の穂別町、消防士橘敏幸さん(当時23歳)の乗用車に追突、橘さんを死なせた。
この公判では、橘さんの母親橘恵子さん(49)ら遺族が「一審判決は軽すぎる」と実刑を求める署名21,272人分を集め、札幌高検に提出していた。長島裁判長は、判決で、反省の態度をくんだ一審の判断は誤りと指摘し、「一方的過失で、本人の無念さはもとより、遺族の被害感情も厳しい」と判決理由を述べた。
恵子さんは判決後、「不当な判決を覆せて意味ある判決だった。署名に協力してくれた皆さんのおかげ」と涙を流した。

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2004/02/02「北海道新聞」夕刊
一審破棄、実刑に 恵庭の交通死で札幌高裁判決、居眠り運転手に

二○○二年九月、恵庭市内の道道で居眠り運転の末、トレーラーを乗用車に追突させ、胆振管内穂別町の消防士橘敏幸さん=当時(23)=を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われ、一審で禁固二年六カ月、執行猶予四年(求刑・禁固二年六カ月)の判決を受けた札幌市○○、○○被告(34)の控訴審判決が二日、札幌高裁であった。長島孝太郎裁判長は一審判決を破棄、禁固一年八カ月を言い渡した。
判決理由で長島裁判長は「何ら落ち度のない被害者の命を一方的に奪った過失は重い」と指摘。○○被告が事故直前、十九時間・九百キロに及ぶ長距離運転を強いられていた点は「会社の労務管理上の責任を指摘せざるを得ない」と述べた。
一審の猶予判決に対し、検察側は量刑不当で控訴。遺族が実刑を求めて集めた二万千二百七十二人分の署名を証拠申請したが、被告側が同意せず、採用されなかった。
判決後、橘さんの母恵子さん(49)は「元の生活に戻れるわけではないが、息子が『お母さん、もういいよ。頑張ってくれてありがとう』と言ってくれる気がする」と涙ながらに語った。

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2004/01/19「毎日新聞」夕刊
高裁、猶予判決を支持 恵庭中2死亡事故  両親「納得いかない」

中学生を乗用車ではねて死亡させた業務上過失致死の罪に問われた恵庭市柏木町、会社員○○被告(30)の控訴審で、札幌高裁は19日、禁固2年、執行猶予4年の1審・札幌地裁判決(昨年6月)を支持し、検察側の控訴を棄却した。長島孝太郎裁判長は「被告に過失があるが、無免許や酒気帯びなどの無謀運転ではなかった」と述べた。
判決によると、○○被告は02年10月4日午後5時45分ごろ、恵庭市柏木町の市道で乗用車を運転中、市立恵庭中2年、白石乃郁さん(当時13歳)をはねて死亡させた。乃郁さんの両親が実刑を求める9363人分の署名を検察に出していた。父義満さん(44)は「納得のいかない判決で悔しい。刑を厳しくしないと事故はなくならない」と話した。【立松敏幸】

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2004/01/16「北海道新聞」
実刑求める署名、証拠採用されず  恵庭死亡事故で高裁

二〇〇二年九月、恵庭市内の道道で、乗用車にトレーラーを追突させ、胆振管内穂別町の消防士橘敏幸さん=当時(23)=を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われ、一審で禁固二年六カ月、執行猶予四年(求刑・禁固二年六カ月)の判決を受けた札幌市○○運転手○○被告(34)の控訴審初公判が十五日、札幌高裁(長島孝太郎裁判長)であった。
一審判決によると、○○被告は事故当時、過労と飲酒で居眠り運転していた。量刑不当で控訴した検察側は、橘さんの遺族が実刑を求めて集めた二万千二百七十二人分の署名を証拠申請したが、被告側は同意せず、証拠採用されなかった。
意見陳述で、橘さんの母恵子さん(49)は「交通事故の刑が『過失』と軽く扱われていることに多くの人々が納得できないと賛同している」と実刑を求めた。控訴審は同日結審し、判決は二月二日。

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「毎日新聞」2004/01/16
来月2日に判決 居眠り事故 控訴審初公判

トレーラーを居眠り運転して追突事故を起こし、1人を死亡させた業務上過失致死罪で禁固2年6月、執行猶予4年の判決を札幌地裁で受けた元運転手、○○被告(34)の控訴審初公判が15日、札幌高裁(長島孝太郎裁判長)であった。控訴した検察側は「執行猶予は軽すぎて不当」と主張。弁護側は控訴棄却求め、結審した。判決は2月2日。
事故は恵庭市で02年9月にあり、胆振管内穂別町の消防署員、橘敏幸さん(23)が死亡した。橘さんの母恵子さん(49)と妹の高校3年、美香さん(18)が控訴審で実刑判決を求める署名活動に取り組み、2万1272人分を集めた。恵子さんが意見陳述し「1審判決は被告が日常的に飲酒運転していた運転態度の危険性に全く触れなかった。悲しい事故を繰り返さないためにも悪質さを重く判断してほしい」と訴えた。【立松敏幸】

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2003/12/24北海道新聞朝刊地方<札幌圏この1年 8>
2男子の交通死 悲劇伝え事故根絶を 痛む胸仏前に誓い

いすの下にしまった黒色のランドセル、小さな上履き。学習机には「四年」という自筆の丁寧な文字が残るノート。子供部屋には、そこで勉強し、サッカーが大好きで、同級生の真ん中にいた元気いっぱいの少年の息づかいがあった。
部屋の持ち主は二○○一年八月、北広島市の市道の歩道を自転車で走行中に乗用車にはねられて死亡した小学四年の土場俊彦君=当時(9つ)=。  十二月上旬、父の自営業一彦さん(45)、母の久美子さん(38)を訪ねた。事故をめぐる民事訴訟の札幌地裁判決が、乗用車を運転していた同市内の女性=業務上過失致死傷の罪で禁固二年六カ月確定=に対し、三十年間、土場君の月命日(十八日)に六万円支払うよう命じた直後だった。部屋にあった上履きは事故直前のヨサコイ踊りの練習で履いていたものだという。一彦さんは「今もいつも息子を感じている」と話した。本来なら土場君は来春、小学校の卒業式を迎える。失われた尊い命と癒えぬ悲しみ。耳の奥がじーんと熱くなった。
札幌市白石区の音喜多一さん(50)には、経営するレストランの休み時間に話を聞かせてもらった。昨年七月、長男で中学二年の康伸君=当時(13)=が市道の横断歩道を自転車で横断中、トラックにはねられて死亡した事故で、トラックを運転していた男性の禁固一年六カ月の実刑判決がこのほど確定した。
事故は、一さん念願のその店が開店して一年足らずで起きた。康伸君は閉店後に店の仕事を進んで手伝う少年だった。土場君の両親をはじめ、取材で出会った遺族が強調するのが、交通事故は「家族を失う悲しみ、そしてその後、真相を知らされないことで二重に苦しめられる」ということだ。最愛の家族の尊厳にかけて、事故の状況を知りたい。でも、警察が作成する実況見分調書などは捜査段階では見ることができない。
音喜多さんは「交通事故で、なぜ死ななきゃいけなかったのか。息子の名誉と尊厳にかけて真実は何かを知りたいと思ったら、声を上げてこなければならなかった」と振り返る。だから、遺族は調書の早期開示を求める活動を続ける。交通事故は絶えることなく新たな悲劇を生んでいる。遺族の悲痛な思いに胸が締め付けられるとともに、記者をはじめとするドライバーは被害者にも、加害者にも、なり得ることを痛感する。
交通事故の悲惨さを伝えて事故をなくしたい。記者がそう誓った土場君の仏前には、今も遊びに来る同級生が供えたおもちゃがあふれていた。(藤田香織里)

2003/12/19「毎日新聞」札幌圏版
検察側一審判決破棄を求め結審  恵庭の死亡事故控訴審初公判

恵庭市の市道で昨年10月、恵庭中2年の白石乃郁(のりか)さん(当時13歳)が前方不注意の乗用車にはねられ死亡した事故で業務上過失致死罪に問われ、札幌地裁で禁固2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた同市○○、会社員、○○被告(30)の初公判が18日、札幌高裁(長島孝太郎裁判長)であった。量刑不当で控訴した検察側は「過失は極めて悪質で重大」と一審判決の破棄を求め、結審した。判決は来年1月19日。
公判で乃郁さんの父、義満さん(44)は「無謀運転ではないと執行猶予にした一審判決は不当。人の命がこんなに軽くていいのでしょうか」と訴えた。乃郁さんの両親は6月の一審判決後、高裁での実刑判決を求める署名活動を展開。これまでに9363人分を集めた。【立松敏幸】

2003/11/20北海道新聞夕刊全道
「運転手に実刑を」地検に2万人署名 事故被害者の家族提出

昨年九月、恵庭市の道道で乗用車を停車中にトレーラーに追突されて死亡した胆振管内穂別町の消防士橘敏幸さん=当時(23)=の家族が二十日、「一審の執行猶予判決は不当」として実刑を求める二万六百八十九人分の署名を札幌地検に提出した。
トレーラーの運転手(34)は業務上過失致死罪に問われ、一審の札幌地裁は禁固二年六カ月、執行猶予四年(求刑・禁固二年六カ月)を言い渡した。橘さんの母恵子さん(49)は「過労と飲酒による居眠りで起こした事故で悪質。判決後も加害者の誠意は感じられない」として、控訴審で証拠申請するよう検察に求めた。

2003/11/20 朝日新聞夕刊全道
交通事故の遺族、実刑を求め署名 一審で執行猶予

道内で起きた2件の交通事故で死亡した被害者遺族が20日までに、控訴審を審理する札幌高裁あての実刑を求める署名を、それぞれ検察側に提出した。
署名を出したのは、昨年9月に恵庭市で停車中、大型トレーラーに追突され死亡した胆振支庁穂別町、消防士橘敏幸さん(当時23)と、恵庭市で昨年10月、車にはねられて死亡した同市柏木町の中学2年白石乃郁さん(当時13)の遺族。橘さんの遺族は2万689通を、白石さんの遺族は8882通を提出した。
いずれも運転者は業務上過失致死の罪に問われ、札幌地裁で執行猶予付きの有罪判決が言い渡され、検察側が量刑不当を理由に控訴した。橘さんの遺族は署名に添えた要請書で「交通犯罪抑止の意味からも命の重みに見合う公正な判決をお願いします」と記している。

2003/11/13北海道新聞夕刊全道
危険運転致死罪適用せずに起訴 少女事故死で札幌地検

青信号で横断中にトラックにひかれて死亡した少女の両親が、「悪質な運転だった」としてより罪の重い危険運転致死罪の適用を求めていた交通事故で、札幌地検は十三日までに、札幌市○○、食品製造作業員○○容疑者(47)を業務上過失致死罪で札幌地裁に起訴した。
起訴状によると、○○被告は昨年七月、西区発寒の国道交差点で、青信号の横断歩道を自転車で渡っていた同区発寒の真下綾香さん=当時(11)=をはねて死亡させた。道警が業務上過失致死の疑いで書類送検したのに対し、両親は昨年十二月、札幌地検に危険運転致死罪で告訴。さらに危険運転致死罪の適用を求める署名約一万三千人分を地検に提出した。
綾香さんの母登志子さん(40)は「危険運転致死罪が適用されず悔しい。交通ルールを守っていた娘が事故に遭ったのは、まさに危険運転に当たる。厳罰を求め、これからも署名活動などを続けていく」と話している。

2003/11/4 毎日新聞北海道版夕刊
中2死亡事故で被告側控訴棄却

札幌市白石区で昨年7月、自転車の中学2年生をトラックではねて死亡させた業務上過失致死罪に問われた、江別市○○、無職、○○被告(47)の控訴審で、札幌高裁は4日、禁固1年6月とした1審・札幌地裁の実刑判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。長島孝太郎裁判長は「安全確認を怠った過失は重大」と述べた。○○被告は量刑不当で控訴していた。
この事故を巡っては、死亡した音喜多康伸君(当時13歳)の両親が危険運転致死罪の適用を求め署名運動を展開したが、同罪では起訴されなかった。判決後、康伸君の父一さん(50)は「交通事故は(起きても)仕方がないという考えがなくなるよう、今後も事故の悲惨さを伝えていきたい」と話した。【立松敏幸】

2003/10/13北海道新聞朝刊全道
交通犯罪厳罰化を 2遺族、札幌で署名活動

札幌市と恵庭市で昨年、無謀運転のトラックやトレーラーによる交通事故で家族を奪われた二組の遺族らが十二日、JR札幌駅前で、「交通犯罪」の厳罰化を求める署名活動を行った。
署名活動を行ったのは、トラックにはねられて死亡した札幌市西区の小学校六年生真下(まっか)綾香さん=当時(11)=と、乗用車を停車中、トレーラーに追突され、死亡した恵庭市の消防職員橘敏幸さん=当時(23)=の家族と支援者約三十人。家族らは、それぞれの加害者に実刑や危険運転致死罪の適用を求めている。
綾香さんの父清一さん(42)は「大事な娘は殺されたのと同じ。加害者には厳罰を」と通行中の市民らに呼びかけた。橘さんの妹の美香さん(17)は「自慢のお兄ちゃんを奪った人を許すことは絶対できない」と訴えていた。集めた約千人分の署名は札幌地検などに提出する予定。

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2003/08/13 北海道新聞朝刊地方
白石の小1交通事故死 情報提供呼びかけ*無念晴らす目撃証言を
*速度、信号、ブレーキ…*両親「加害者の話に疑問」

札幌市白石区の北郷小学校の校門前の市道で七月、会社員竹田佳文さん(30)の長男響ちゃん(6つ)=同校一年=が死亡した交通事故で、竹田さんと妻の彩さんが「加害者の証言に疑問がある」とし、目撃情報を募っている。十二日には事故現場に看板を立て、情報提供を呼び掛けた。
「どうして犯人は逮捕されないの」。夫妻の長女麗ちゃん(7つ)が弟の遺影に目をやりながら問い掛けた時、佳文さんは言葉が見つからなかった。「車であれば人を殺しても罪にならないのか。響が悪かったかのように言われるのは納得できない」。佳文さんは振り絞るような声で訴える。
事故が起きたのは七月十七日午後一時ごろ。父母懇談会で授業が午前中に終わったため、事故当時、校門前は父母や下校する子供たちが多数行き交っていた。響ちゃんは市道を挟んで向かい側の北郷こども公園で姉と待ち合わせていた。札幌白石署などによると、響ちゃんは校門前の丁字路を渡ったところ、白石区内の主婦の乗用車と衝突し、数メートル引きずられたうえ、前輪に体をひかれ、間もなく死亡した。現場にブレーキ痕はなかった。
丁字路の南東側に押しボタン式信号機がある。主婦は警察の調べに対し、信号で停止し、青信号になって発進した後に響ちゃんをはねたとした。
「このままでは加害者の証言通りに事故を組み立てられてしまう」と危機感を持った竹田さん夫妻は目撃者を探しだして話を聞き、主婦にも当時の状況をただした。現場はスクールゾーンで制限時速三十キロ。複数の目撃者が「乗用車はかなりの速度だった」と証言した。夫妻によると、主婦は夫妻と会った際、「青信号を確認して信号を通過しましたが、対向車の陰にいた響ちゃんに気付かなかった」と当初と違う言い方をした。
竹田さん夫妻には「響が道路を横断した時、歩行者側の信号は本当に赤だったのか」「脇見運転はなかったのか」との疑問がぬぐえない。目撃情報を募るビラを父母らに配ろうとしたが、学校側は「子供たちのショックが大きいので、事故のことは蒸し返さないでほしい」と拒否した。警察からは「目撃者がいないと、これ以上捜査できない」と言われ、看板を立てることにした。
竹田さん夫婦は「どんなささいなことでもいいから教えてください」と呼び掛けている。目撃情報は竹田さん(電)090・6214・3100へ。
【写真説明】事故の起きた北郷小の校門前に看板を立てる竹田佳文さん。その向こうで妻の彩さんが事故現場に花を添える

【事件の第1報です】2003/07/18 北海道新聞朝刊全道
小1下校途中はねられ死亡*札幌市白石区

十七日午後一時ごろ、札幌市白石区北郷三ノ五の市道を渡っていた同区北郷三ノ六、市立北郷小一年の竹田響君(6つ)が、同区○○、主婦○○さん(31)の乗用車にはねられ、頭などを強く打ち、間もなく死亡した。
札幌白石署の調べによると、現場は同校正門近くの横断歩道のない片側一車線の直線道路で、○○さんは信号待ちをしていた交差点を発進後、約二十メートル先で竹田君をはねた。同署は、○○さんが、道路右側から渡ろうとした竹田君に気付くのが遅れたとみて調べている。この日は父母懇談があったため、通常より早く午前中で授業が終了。竹田君は給食を食べた後、下校中だった。

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2003/08/31北海道新聞朝刊全道
ひき逃げ罰則強化求め街頭署名活動 高石さん家族ら

江別で二月、野幌高一年の高石拓那さん=当時(16)=がひき逃げされ死亡した事件で、拓那さんの両親と友人たち五十人が三十日、JR札幌駅前で道交法のひき逃げの罰則強化を求める街頭署名活動を行った。拓那さんは二月十二日早朝、自転車で新聞配達のアルバイトに向かう途中、乗用車にひき逃げされ亡くなった。札幌地裁が五月、業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の罪で加害者に懲役二年十カ月を言い渡し、刑が確定している。
父弘さん(42)は「むごいひき逃げをなくすには、罰を重くし、重罪であることを多くの人々に知ってもらうことが必要」と協力を呼び掛けた。署名は全国に呼び掛けており、十月末までに寄せられた分をまとめ、法務省に提出する。

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2003/7/4 朝日新聞
車で中2はね、執行猶予 札幌地検が控訴 「一審の刑軽い」

恵庭市内で昨年10月、同市柏木町の中学2年白石乃郁(のりか)さん(当時13)が車にはねられて死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた近くの○○被告(30)に禁固2年執行猶予4年(求刑禁固2年)を言い渡した一審の札幌地裁判決について札幌地検は3日「刑が軽い」として控訴した。判決によると、○○被告は乗用車を運転し、02年10月4日5時45分ごろ、恵庭市柏木町の市道を直進中に前方の注意を怠り、道路左端を歩いていた白石さんをはねて死亡させた。

2003/7/23 朝日新聞
執行猶予判決に札幌地検が控訴 恵庭の死亡事故巡り

恵庭市の路上で昨年9月25日、大型トレーラーを運転して仮眠状態になり、停車中の乗用車に追突して男性(当時23)を死亡させたとして業務上過失致死の罪に問われた札幌市○○無職まる○被告(34)に禁固2年6カ月執行猶予4年(求刑2年6カ月)を言い渡した札幌地裁判決について、札幌地検は22日、「刑が軽い」と控訴した。

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2003/07/01 北海道新聞朝刊全道
危険運転致死で告訴 深川の事故 助手席19歳の遺族

【深川、旭川】深川市内の道道で今年四月、乗用車が街路灯に衝突、助手席の同市文光町一八、短大生山下博之さん=当時(19)=が死亡した事故で、山下さんの遺族が三十日までに危険運転致死容疑で乗用車を運転していた同市内の短大生(19)を旭川地検に告訴した。
告訴したのは父親の公務員山下芳正さん(50)=旭川市東七ノ六=。告訴状によると、短大生は四月二十三日夜、深川市音江町の制限速度四十キロの道道で、雨が降っているにもかかわらず、百キロ以上の速度で走行。このため、車両が制御不能となり、カーブを曲がり切れずに路外に逸脱、街路灯に衝突し、山下さんを死亡させたとしている。
この事故で、短大生も軽傷を負った。深川署は業務上過失致死容疑で短大生を書類送検したが、芳正さんは「事故の状況などからすると、危険運転致死罪が妥当だ」として告訴に踏み切った。北海道交通事故被害者の会によると、道内で交通事故被害者の遺族が危険運転致死容疑で運転者を告訴したのは三件目。

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2003.06.15 毎日新聞北海道地方版
適用が進まない危険運転致死罪 異議を訴える遺族たち

◇「犠牲者の命に比べて刑が軽い」

交通事故で子供を亡くした両親らが、加害者を厳罰に処すよう求めるケースが増えている。危険運転致死罪の適用を求め、署名活動に取り組む遺族もある。検察側にとって、過去の事件に比べて極端に重い求刑をすることは現実には難しい。事故抑制のため設けられた同罪は、適用範囲が限定的で、起訴された件数は少ない。遺族は「刑が軽過ぎる。突然、家族をなくす悲しみは、私たちだけでたくさん」と訴えている。【立松敏幸】

 ◇過去の判例より重い禁固1年6月

「命の重さから考えると、1年6月はあまりに軽い」。札幌市白石区の音喜多一さん(49)は、長男康伸君(当時13歳)の命を奪った元トラック運転手(47)に対する札幌地裁判決に、無念さをにじませた。
康伸君は昨年7月、横断歩道を自転車で横断中にはねられた。音喜多さんは妻真理子さん(45)とともに昨年10月、元運転手を危険運転致死容疑で札幌地検に告訴した。今年2月からは、康伸君と同じような事故で亡くなった札幌市西区の真下綾香さん(当時11歳)の父清一さん(41)、母登志子さん(40)らとともに、危険運転致死罪で起訴するよう求める署名活動を始めた。署名は1万1000通を超えている。 元運転手は今年3月、業務上過失致死罪で起訴された。危険運転致死罪の適用に必要な「故意責任が問えない」が理由だった。音喜多さんは訴因変更を求めたが、検察側は業務上過失致死罪で禁固1年6月を求刑した。
森島聡裁判官は判決で、被告が遺族に謝罪していないことや慰謝の措置を講じていないことを理由に「まじめに反省しているとは言えない」と、求刑通りの判決を下した。「まじめな反省」があれば執行猶予がついた可能性の高い事件だった。過去の同種の事件に照らせば、重い判決だった。

 ◇「『加害者天国』の現実、変わらない」

危険運転致死傷罪は刑法改正(01年12月施行)で新設された。東京都の東名高速道路で飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、幼児2人が亡くなった事故などをきっかけに、悪質で危険な運転を罰するためにできた。泥酔に近い飲酒運転や著しい速度違反などで死亡事故を起こした場合、「1年以上15年以下の懲役」に処せられる。業務上過失致死傷罪は「5年以下の懲役か禁固、または50万円以下の罰金」だ。
単なる過失ではなく「アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態」や「進行を制御するのが困難な高速度」で運転して人を死傷させたり、「赤信号をことさらに無視する」運転などが処罰の対象となる。業務上過失致死傷罪に比べて適用範囲が限定的で、検察内には「適用が難しい」という声もある。
遺族側の処罰感情の強さとは裏腹に、危険運転致死傷罪での起訴件数は少ない。法務省刑事局のまとめでは、法施行から今年6月初めまでの間に、同罪で起訴された人の数は414人。道内では、昨年1年間で13人が起訴された。
「北海道交通事故被害者の会」の前田敏章代表は「限られた事件だけが危険運転となり、それ以外は刑の軽い業務上過失致死傷罪で裁かれるという『加害者天国』の現実は変わらない」と言う。「検察は危険運転致死罪の適用をためらっている。踏み込んだ判断をしてほしい」と注文する。
業務上過失致死傷罪を重くしてほしいという声もある。音喜多さんは「業務上過失致死傷罪は刑が軽すぎるし、そもそも交通事故を裁くための罪ではない。もう少し重くしないと人の命に見合った刑にならないと思う」と主張する。

 ◇「厳罰で臨まねば、事故なくならぬ」

「加害者の運転は危険運転致死罪にあたると思ってます」。真下登志子さんは力を込める。
市立発寒小6年だった綾香さんは昨年7月、青信号の交差点を自転車で横断中、トラックにはねられ死亡した。その日から4人になった真下さんの食卓には、今も5人分の食事が並ぶ。「綾香を一人ぼっちにはできない」。納骨は済ませていない。まっ暗な部屋では寝つけなかった綾香さんを気遣い、遺影のある居間の明かりをつけたまま、家族一緒に就寝する。昨年のクリスマス、綾香さんが修学旅行先の函館市から自分にあてた配達日指定のはがきが届いた。「来年は中学だ。これからもがんばろう」と記されていた。頑張りやだった綾香さんらしい文面だった。
卒業式では、クラスの仲間が代わりに返事をしてくれた。やさしい性格で、友人の相談に応じていた綾香さんのもとには、今も毎日のように友だちがやって来る。だが、加害者は一度も謝罪に来ていない。登志子さんは、交通事故では被害者や遺族が軽く扱われていると感じている。加害者には厳罰をもって臨まないと、事故はなくならない、という。
綾香さんの事故では、加害者の処分はまだ決まっていない。近く地検の判断が出る見通しだ。■写真説明 亡くなった綾香さんの遺影を持つ真下登志子さん=札幌市西区の真下さん宅で

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2003/06/09北海道新聞夕刊全道
運転手に実刑判決  札幌・中2死亡事故

札幌市白石区で昨年七月、同区内の中学二年生音喜多康伸君=当時(13)=がトラックにはねられ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたトラックを運転していた男(47)=江別市=の判決公判が九日、札幌地裁であり、森島聡裁判官は「誠意ある謝罪も認められず、音喜多君と遺族の無念は察するに余りある」として求刑通り禁固一年六カ月を言い渡した。
判決によると、男は昨年七月二十五日午後三時ごろ、同区中央三ノ三の市道で、自転車で横断歩道を渡っていた音喜多君をトラックではね、失血死させた。男は時速約五十キロで運転し、約十メートル手前で音喜多君に気付き急ブレーキをかけたが間に合わなかった。
法廷で判決を聞いた、父親の一さん(49)は「求刑通りの判決には満足しているが、人間の命の重さと比較すれば、求刑が短かすぎる」と話した。両親らはより重い刑罰を求め、道内で初めて危険運転致死容疑で男を告訴したほか、同罪適用を求め一万人を超す署名を集めるなどしてきた。

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2003/05/02  北海道新聞朝刊全道
「危険運転致死罪に」計1万人の署名提出 遺族の両親ら

札幌市内で昨年七月、相次ぎ横断歩道上でトラックに子供の命を奪われた二組の両親らが一日、加害者に危険運転致死罪適用を求める署名四千百九十二人分を札幌地検に提出した。三月二十四日に続き二回目で、二月の活動開始から計一万八百三十二人分に上った。
提出したのは、西区でひかれ、死亡した真下綾香さん=当時(11)=の両親と、白石区ではねられ、死亡した音喜多康伸君=同(13)=の両親らでつくる「交通犯罪から子どもを守る会」。同会は「全国から一万人を超す署名が集まり、交通犯罪に対する意識の高まりを感じた」としている。いずれの事故も加害者は業務上過失致死容疑で送検され、音喜多君のケースは同容疑で起訴された。同会は今後も署名活動を続ける。同会の連絡先は前田さん(電)090・6871・6757。

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2003/04/01 北海道新聞朝刊全道
札幌の中2死亡事故 運転手を業過で起訴 地検「故意責任問えず」

札幌市白石区で昨年七月、同区内の中学二年生音喜多康伸君=当時(13)=がトラックにはねられ死亡した事故で、札幌地検は三十一日、業務上過失致死の罪で、トラックを運転していた男(47)=江別市=を札幌地裁に起訴した。遺族は危険運転致死容疑で男を告訴し、より重い刑罰の適用を求めていたが、同地検は「故意責任を問えない」と判断した。
起訴状によると、男は昨年七月二十五日午後三時ごろ、同区中央三ノ三の市道で、自転車で横断歩道を渡っていた音喜多君をトラックではね、失血死させた。男は時速約五十キロで運転し、約十メートル手前で音喜多君に気付いて急ブレーキをかけたが間に合わなかった。業務上過失致死罪での起訴について、音喜多君の父・一さん(49)は「厳罰を求める六千人分以上の署名が集まったのに残念。遺族より加害者を向いた処分だ」と話した。

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2003/03/25 毎日新聞 札幌地方版
「運転悪質過ぎる」危険運転致死罪適用を
交通事故で子供亡くした両親ら札幌地検に6640人署名

交通事故で子供を亡くした両親らが24日、子供をはねた運転手への危険運転致死罪適用を求める署名を札幌地検に提出した。提出したのは、札幌市西区の真下清一さん(41)同市白石区の音喜多真理子さん(45)らで作る「交通犯罪から子どもを守る会」のメンバー。真下さんの長女綾香さん(当時11歳、市立発寒小6年)は昨年7月に西区の国道交差点で、音喜多さんの長男康伸君(当時13歳、市立米里中2年)も同月、白石区内の市道でトラックにはねられ死亡した。
運転手はともに業務上過失致死容疑で書類送検されたが、処分は未定。2人の両親らは運転が悪質すぎるとし、罰則が「5年以下の懲役、禁固、50万円以下の罰金」にとどまる業務上過失致死罪でなく、「1年以上15年以下の懲役刑」となる危険運転致死罪の適用を求めている。今回、全国から集まった6640人分を提出した。問い合わせは守る会の前田敏章さん(090・6871・6757)。【立松敏幸】

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2003/02/12 北海道新聞朝刊
交通死2人の同級生ら*「厳罰適用を」署名呼びかけ[札幌]

昨年七月、札幌市西区と白石区の横断歩道上でそれぞれトラックにひかれて亡くなった音喜多康伸君=当時(13)=と真下綾香さん=同(11)=の遺族らでつくる「交通犯罪から子どもを守る会」は十一日、同市中央区の大通西四付近で、加害者のドライバーに「危険運転致死罪」適用を札幌地検に求める署名活動を行った。二人の同級生五十人も集まり、雪まつり見物に訪れた観光客らにも呼びかけた。  同会は「二人に落ち度はなく加害者に業務上過失致死罪でなく、より重い危険運転致死罪を適用すべきだ」としている。両遺族はドライバーを同罪で札幌地検に告訴済み。同会は集めた署名を二月末と三月末の二回に分けて同地検に提出する。

同級生たちは「亡くなった友達のために署名を」と街頭で声を張り上げた。音喜多君の母親真理子さん(45)は「同級生たちの気持ちがうれしい」。真下さんの母親登志子さん(39)は「犠牲になる子どもたちがこれ以上出ないために無謀なドライバーには厳罰を求めたい」と話していた。署名協力の連絡は前田さん(電)090・6871・6757へ。【写真説明】署名集めをする同級生たち

関連記事 その1 2003/02/20「北海道新聞」朝刊全道
危険運転致死傷罪、昨年の道内13人起訴 一審判決の全9人有罪

飲酒運転など悪質な運転で死傷事故を起こし、危険運転致死傷罪で起訴された道内のドライバーは昨年一年間で十三人に上った。一審判決が出た九人はいずれも有罪で、被害者が死亡した三件は実刑が言い渡された。危険運転致死傷罪の新設で厳罰化が進んでいるが、被害者からはなお「適用ケースが少ない」という声も出ている。
札幌高検のまとめによると、一審判決のあった九人のうち、危険運転致死罪の三人と同致傷罪の二人が実刑となった。最も量刑が重かったのは、昨年九月に函館地裁が言い渡した懲役三年六月(控訴審判決は懲役三年)。三十代の男性被告が、飲酒後に函館市内の国道で時速四十キロ制限のところを百キロ以上で運転し、カーブを曲がりきれずに街路灯に激突。同乗者が死亡した。
法務省刑事局によると、全国では昨年一年間で二百八十六人が危険運転致死傷罪で起訴された。このうち危険運転致死は四十八人で、一審判決を受けた二十四人のうち二十三人が実刑だった。危険運転致死傷罪は二〇〇一年十二月に設けられ、被害者死亡の場合は懲役一-十五年、けがの場合は十年以下が科せられる。業務上過失致死傷罪の上限は懲役五年なので、格段に重い。しかし、泥酔状態での運転や故意の信号無視など適用は限定的で、危険運転致死傷で送検されたものの、業務上過失致死傷に変更して起訴された事例が道内で三件ある。
北海道交通事故被害者の会の前田敏章代表は「危険運転致死傷罪は悪質とみられる事故でも適用されない場合がある。適用範囲が極めて狭いままでは事故抑止効果は上がらない」と話している。

関連記事 その2 (この事件が危険運転でなければ、法改正の意味はあるのでしょうか。適用拡大の世論が求められます。 BY前田)
2003/03/06 北海道新聞朝刊全道

十勝の4人死亡交通事故 法定刑上限の判決 懲役5年

【帯広】十勝管内足寄町で昨年六月、乗用車が軽ワゴン車に衝突し、ワゴン車の男性四人が死亡した事故で、乗用車を運転し業務上過失致死罪に問われた同町上螺湾三二、無職大塚純被告(23)に対する判決公判が五日、釧路地裁帯広支部であり、忠鉢孝史裁判官は、求刑通り同罪の上限の懲役五年を言い渡した。
判決理由で、忠鉢裁判官は「極めて悪質。掛け金が払えないとの理由で、任意保険も未加入」と指摘。「無謀運転による四人死亡の事実は比類なく重大だが、法定刑の上限を加重する規定がないため、この量刑とするのはやむを得ない」と述べた。
大塚被告は、重大な事故を起こす恐れのある高速度で運転した疑いが強いとみて、危険運転致死容疑で逮捕、送検されたが、釧路地検帯広支部は、被告の危険についての認識を明らかにできず、罪名を業務上過失致死罪に切り替えて起訴した。判決によると、大塚被告は昨年六月四日朝、同町螺湾の国道を制限速度を七十キロ上回る百三十キロで運転。カーブを曲がり切れず対向車線にはみ出し、軽ワゴン車に衝突して四人全員を死亡させた。

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2003/02/08北海道新聞朝刊全道
無謀ドライバーに危険運転致死罪を 被害者の親が署名活動

札幌市西区と白石区で昨年七月、横断歩道上で無謀運転のトラックに子どもを奪われた二組の両親らが七日、それぞれの加害者に危険運転致死罪の適用を求める共同署名活動を始めた。十一日には同市中央区大通西四で子どもの同級生と一緒に街頭署名も展開する。
署名活動を始めたのは西区発寒の国道交差点の横断歩道上でトラックにひかれて死亡した小学六年真下(まっか)綾香さん=当時(11)=の両親と、白石区中央のこ線橋横の横断歩道でトラックにはねられ死亡した中学二年音喜多康伸君=当時(13)=の両親が、「北海道交通事故被害者の会」代表の前田敏章さんらとつくった「交通犯罪から子どもを守る会」。三月末までに数万通を目標に全国から署名を募り、札幌地検に提出する予定だ。
いずれのケースも加害者は業務上過失致死容疑で送検されているが、音喜多さん夫婦は昨年十月、真下さん夫婦は同十二月にそれぞれ加害者を危険運転致死容疑で札幌地検に告訴した。七日、道庁で記者会見した前田さんらは「二つの事件に適用されないのであれば、危険運転致死罪の意義そのものが失われる」と訴えた。同会の連絡先は前田さん(電)090・6871・6757。
【写真説明】会見した右から前田敏章さん、音喜多真理子さん、真下登志子さん

北海道新聞朝刊 掲載日:2002/12/20(2002年の記事にも掲載
遺族が危険運転で運転手を告訴   札幌・西区の自転車小6死亡事故 

今年七月、札幌市西区で、小学六年の真下(まっか)綾香さん=当時(11)=がトラックにひかれて死亡した事故で、児童の両親が十九日、危険運転致死容疑で、トラック運転手(46)=同区=を札幌地検に告訴した。
告訴状によると、運転手は七月十九日夕、トラックで国道を右折した際、青信号で横断歩道を自転車で渡っていた綾香さんに気付きながら、時速約四十キロで交差点に進入。トラックは綾香さんをひいた後、自転車ごと約二十メートル引きずり、全身打撲で死亡させた。
両親は「危険な速度で右折したうえ、自転車の通行を妨害したのは危険運転致死に当たる」と主張。「運転手には(未必の)故意があったとしか考えられず、厳罰に処してほしい」としている。運転手は業務上過失致死容疑で送検されている。

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