◆T◆ 開 発 教 育 と は




1) 「開発教育
   (日本社会科教育学会編 『社会科教育事典』、ぎょうせい、2000)
原稿構成: 
◎成立と展開
◎内容と方法
◎課題と展望
−−

◎成立と展開
 開発教育 (development education) は、1960年代の南北問題への関心に伴い、欧米諸国で誕生した新しい国際教育である。国際協力に携わっていたNGOによって、旧植民地の抱える問題への理解とその解決をめざす教育活動として始められた。そして、70年代には、各国の援助省庁の支援を得、例えば イギリスでは多数の開発教育センター (DEC) が設立されるなどしながら学校教育へと広がっていった。日本では、1970年代後半から、国際協力NGO、青少年団体、青年海外協力隊経験者などによって、徐々に実践が進められ、1982年 (昭和57年) には、開発教育推進のための組織として、開発教育協議会が設立された。
 ・・・

2) 開発教育とその課題
   (『社会科研究集録 第35号』、埼玉県高等学校社会科教育研究会、1999)
原稿構成:
はじめに
1 開発教育と「開発」概念
   なぜ「開発」に拘るか?
   開発概念の変遷
2 今日の開発教育
   開発教育のアイデンティティ
   開発教育の基本的問題
   授業のあり方を問う
おわりに〜今日の教育課題に関連して
−−

はじめに
 開発教育は、世界認識の教育分野として、また、豊富な手法を内包する教育分野として、実践者にとって魅力あるものですが、今日では、単に世界システムの構造を「南北問題」でのみとらえるのでなく、グローバル経済の進展やアジアの経済開発を視野に入れた展開が模索されています。
 ・・・

3) 「 テーマの構造化の試み 〜教育実践のための覚え書き
   (『開発教育 第44号』、開発教育協議会、2001)
原稿構成:
1 はじめに
2 テーマの構造化の試み〜地域と地球をつなぐ学びの構想
 (1) 開発教育のカリキュラムとカリキュラムの転換
 (2) 原点としての「貧困・格差」と「国際協力」
 (3) 「剥奪」概念の導入
 (4) 剥奪の克服としての「エンパワーメント」と「参加」
3 おわりに
−−

はじめに
 開発教育協議会内のカリキュラム研究会(世話人:田中治彦)は、1998年からの3年間、新学習指導要領の「総合的な学習の時間」を意識した総合学習のカリキュラムを作成する作業を行った。その成果は 『いきいき開発教育−総合学習に向けたカリキュラムと教材』(開発教育協議会、2000) に結実した。そこでは、カリキュラムの概念を再定義し、ウェビングなど学習展開の具体的な方法を示した上で、厳選した12のテーマについてのカリキュラムを例示している。
 ・・・

4) 「学びの転換と開発教育の新しい展開
   (『つながれ開発教育〜学校と地域のパートナーシップ事例集』 、
     開発教育協議会、2001)
原稿構成:
1 なぜ、学校と地域の連携か〜学校教育の視点から
(1)学校における学びの転換
(2)総合学習の模索と地域の連携
(3)国際理解における学びの転換と地域との連携
2 子どもたちと地域の人びとが共に学ぶ開発教育
(1)学校と地域のパートナーシップの事例
(2)世界とのつながりのあり方を考える
(3)地域と地球をつなぐ学びの展開
3 新しい開発教育のカリキュラム
(1)「開かれた学校」の運営体制
(2)地域と地球をつなぐ学びのカリキュラム
(3)課題と展望
−−

1 なぜ、学校と地域の連携か〜学校教育の視点から
(1)学校における学びの転換
 近代社会における学校は、社会で役立つはずの知識の体系を教え込む教育の場であった。しかし、今日、そこには「与えられた正解」を受け身で獲得していく学習に意味を見いだせなくなっている状況が現れている。学習そのものが子どものものになっていないこと、与えられる知識が生活実感とかけ離れていることなどが要因であろう。子どもたちの多くは、何のために学ぶのかがわからなくなっている。「学級崩壊」と称される現象もこうした状況と無縁とは考えられない。規範や目標を喪失しがちで、人間同士の関係性も分断されがちな今日の社会を背景とした学校教育の混迷がここにはある。
 ・・・

5) 「貧困と開発に関する一考察〜『援助と開発』改訂タスクの中間報告 」 
   (『開発教育 第51号』、開発教育協会、2005)
原稿構成:
1 はじめに
2 「貧困と開発」に関する学びの構想
 (1) 『援助と開発』の意義と改訂の必要性
 (2) 新しい「貧困」と「開発」の概念
 (3) J. フリードマンと A. センによる新しいパラダイム
 (4) 「貧困と開発」を学ぶ視点
3 おわりに
−−

はじめに
 本稿は、旧開発教育協議会が1995年に発行した 『援助と開発』 の改訂作業から見えてきた「貧困」と「開発」についての新しい捉え方をまとめようとするものである。貧困と開発の概念は、「国際協力」と並んで開発教育のカリキュラムの中心概念と言えるであろう。2002年にスタートした改訂タスクチームは、2年間にわたる検討を重ねるなかで、「経済開発」「社会開発」さらに「人間開発」などの開発概念を総合化する見方に至った。それは、J. フリードマンや A. センの開発思想に多くを依拠するものである。
 ・・・


   
[ 戻 る ]