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「ずいぶんコミック」の時代 1979年



1979年の他の漫画家の作品

萩尾望都
「恐るべき子どもたち」「月蝕」

山岸凉子
「天人唐草」「キルケー」「黒のヘレネー」「雨の訪問者」「グール」「バンシィ 泣き女」「スフィンクス」「メドゥーサ」

大島弓子
「黄昏は逢魔の時間」「4月怪談」「赤すいか黄すいか」「綿の国星 ミルクパン、ミルククラウン」

森脇真末味
「緑茶夢(グリーン・ティー・ドリーム)」

三原順
「ルーとソロモン」

青池保子
「Z -ツェット-」


この年の吉田秋生の作品
「カリフォルニア物語」「のっぽのアリス」「楽園のまん中で」「なぜかちょっぴり 気になる話」「街の中の風景」

ずいぶんコミック Vol.2とNO.3が出ました。


Vol. 2(3以降はNO. 〜となっている)
発行日 1979年8月6日
発行部数 100部

表紙を入れて16ページ(中綴じなので、4の倍数)
・ 表紙の次のページに、スタッフから下宿人への暑中見舞。まん中に、「ファンクラブ特製 2度と見られぬ「バラを背負ったヒース」」の絵
・ P3〜P7 「感想評論コーナー」
・ P8、P9 「ズイブンずいぶんなおたよりコーナー」
・ P10、P11 「THE INTERVIEW PART3」
(PART1、2は創刊号に載ってたということだろうか)
回答に内容があるものだけ抜粋

Q.大学での専攻は?
A.シニック・デザインです。

Q.いちばんはじめに描いた作品のタイトルと内容は?
A.無題。ベトナム戦争の話です。

Q. カラーページも含めて、ペーパー、インク、絵具、ペン先は、どこのメーカーの何を使ってますか?
A. キャンソン紙、ウインザー&ニュートンの透明水彩、デザイナース・カラー(ポスカラ)、ペン先はゼブラだと思います。

Q.秋生くんの好きな小説家は?
A.サリンジャー、ボールドウィン、カフカ、アーサー・C・クラーク、筒井康隆・・・・その他いろいろ

Q.好きな画家は?
A. マックスフィールド・パリッシュ
(管理人注: ずいぶんコミックの表記から、マックス・フィールドとハリッシュという2人の画家だと 思っていましたが、ネットで検索した結果、この一人のことを言ってるのではないかと推測しています。)

・ P12 「PARODY CALIFORNIA」という漫画
セリフだけ抜粋。

ブッチ「イーヴのやつは? 部屋かい?」
ヒース「ああ・・・」
ブッチ「どれちょいと顔見てくっかな」
ヒース「ブッチ!」
ブッチ「・・・・・・」
ヒース「あんまりいじめるなよ」
ブッチ「・・・・・・ なんのことかわからねえな・・・」
ブッチ「むくれるなヨ 今度かわいがってやるからな・・・」

・ P13 「けんしょう付 QUIZ part1」
ファンクラブ特製プレゼントがもらえたクイズ、あなたもやってみる?

1.ホテルカリフォルニアでヒースがお金をかくしていたのはどこでしょう?
2. ホテルカリフォルニアでイーヴの持っていたマクラにかかれていたNO.は?
3.ヒースの生まれたところはカリフォルニアのどこでしょう?
4.ニューヨーク・シティ・マラソンで、ロードレースのあったアメリカの独立記念日は?
5.サークルゲームで最初に引用されていたのは何というグループの歌でしょうか?
6.サークルゲームでブッチがヒースにすすめたお酒は?
7.ヒースの義姉の名前は?

・ P14 「新スタッフおひろめ」
・ P15 「CONTENTS」「編集後記」「こじんつうしん」


NO. 3
発行日 1979年12月17日
発行部数 250部

表紙を入れて24ページ(しつこいですが、中綴じなので、4の倍数)
表紙の次のページには、サイモンとガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」の英語の詞と訳詞
・ P3〜P7 「THE INTERVIEW」
当時、吉田秋生の担当だった少女コミックの編集者、毛利さんへのインタビュー (以下、抜粋)

Q.これからの執筆予定
A.1月号に32ページ「風の歌うたい」。ファンタジーです。
3、4月号が前後編で今のところの予定ではわりとシリアスなものになりそうです。
(中略)二重人格のはなしで・・・・・・
(管理人注: 実際には「はるかな天使たちの群れ パート1、2」でした。)

Q.カリフォルニア物語は第4部で終りでしたよね?
A.そうです。
Q.イラスト集の予定は?
A.ありません。コミックスがよく売れるようだったら考えられるだろうけど・・・・・。
(管理人注: 売れたんですね。1982年7月にイラスト集「カリフォルニア・チューニング」 が出ました。)

Q.毛利さんは、秋生さんのデビュー当時からの担当さんですか?
A.そうです。彼女は最初投稿で、それが週コミの佳作かなんかに入ったんですよ。
Q.いつごろですか?
A.2、3年前かな。その後中篇を一作描いてボツになって。それは全くシリアスの暗い 作品だったんですね。その次に、そういうのはダメだから明るい話を描いてきてくれと いうことで、それが16ページの「ちょっと不思議な下宿人」で、それがデビューです。 だから、デビュー前に2作しか描いてないんです。
Q.早いですねェ。
A.ええ、きわめて早い。最短記録じゃないですか?

Q.「移動マンガ教室」には、プロの人も来るのですか?
A.連れて行ったりもするけど。ウチのマンガ家が現地にいればね。

Q.(スタッフ1)テレフォン、何とかっていうのもなくなったみたいね。
Q.(スタッフ2)やってたね、マンガ家の声を聞こう! っていうの。
Q.(毛利さん)聞いてた?
Q.(スタッフ1)聞いたことあるみたい1回・・・・。萩尾さんの・・・・・。

Q.ファンレターは、どれくらいの年齢の方からが多いんですか?
A.高校生かな。
Q.上は、どれくらいです?
A.さっき見てたのは22歳。

・ P8、P9 「ズイブンずいぶんなおたよりコーナー」
・ P10、P11 「下宿人の会の歴史」
・ P12 「しつもんコーナー」 定額小為替について
・ P13、P14 「INTRODUCTION」 会員さん達のイラスト付き自己紹介のようです。
・ P15 「INFORMATIONコーナー」 スタッフの一言や、今後の活動予定、 原稿募集、それにスタッフの一人のやってるミニコミ誌 der FlügelのCM。この der Flügel  の内容がすごい。連載はトーマのパロディ「トマトの心臓」で、
NO.5 特集 「11人いる!」「アポストロフィーS」「イヴの息子たち」の評論と映画評論
NO.6 特集 萩尾望都、竹宮恵子の評論と小説評論
NO.7 特集 森川久美、清原なつの、吉田秋生、小野弥夢
NO.8 特集 倉多江美、山岸凉子、樹村みのり、映画、小説評論
(「売ってくれえ〜〜、全部買う〜〜」←管理人の叫び)

・ P16 「パロディー カリフォルニア」Part 2
ヒース「オレのベッド あまりよごすなよ・・・・」
ブッチ「あ・・・・いや オレもその・・・夢中でそこまで気がまわらなかったんだ・・・」
ブッチ「考えてみりゃ おまえにとってオレがはじめての男だったんだな・・・」
ブッチ「オレをうらんでいるだろうな?」
ブッチ「あいつ今晩帰ってこないだろう」
ヒース「え?」
ブッチ「最近いいオトコがついたからな・・・ヒース・・・今夜はきめよう!」
ブッチ「覚悟しとけよ・・・(ムフフ)」

・ P17 「プレゼント付 QUIZ part2」
・ P18 「カリフォルニア物語・シネマガイド」
吉田秋生が「カリフォルニア物語」を描くにあたって参考にしたんじゃないかと思われる映画のシーン。
「スケアクロウ」 ホテル・カリフォルニアの冒頭、「よう、にいちゃん」とヒースに声をかける ブッチ、ヒースの所にかけよって「悪いけどさーーーちょっと火 貸してくれない?」というイーヴの 登場、ヒースがシャワーを浴びるシーン、ヒースがブーツの中に隠して持っていたお金、それで警官を 買収する。
「真夜中のカーボーイ」 第2部「聖しこの夜」の、ヒースがグラスでバッドトリップし、ブッチと 映画館に入って、洗面所でゲイに声をかけられる。
「家族の肖像」 キティ・ガールで、シャワーを浴びて、タオルを巻いて出て来たヒース、下に「ヘルムート?」 と書き込みがしてある。これは「家族の肖像」のヘルムート・バーガーのシーンにそっくり。
「ある愛の詩」 ヒースが図書館にエレインを訪ねていったところ
「ナイト・チャイルド」 キッチンでスージーの背中をツツツ・・・・と指でたどって 抱きつくヒース
「ディア・ハンター」 ヒースがエレインを誘って行ったパーティの会場のシーンが主人公達の壮行会 のパーティの感じ。
「ビッグ・ウェンズデー」 第3部、第3話、海岸で過ごすヒース
「カッコーの巣の上で」 第3部最終回、病院でぼんやりしているヒース、金網越しのヒース

・ P19 「アンケート いちぶ発表」
参加者総数40名(男性2名、女性38名、平均年齢18.38)人気投票
作品部門 1位 カリフォルニア物語、2位 楽園シリーズ、3位 マダム・ブレルの人魚
キャラクター部門 1位 ヒース・スワンソン、2位 イーヴ・ルチアーノ、 3位 筒井恭一

・ P20 「アンケート U」 前回の回収率が良くなかったので再投票
・ P21 「INFORMATION」 おたよりや原稿の募集
・ P22 「CONTENTS」「編集後記」「こじんつうしん」
・ P23 Eagles の Hotel California の歌詞


(管理人の昔話)
1979年は、年初から山岸凉子の「天人唐草」にうちのめされました。そして、少し 後に出た大島弓子の「黄昏は逢魔の時間」は、大島作品の中で一番気に入ってます。
NO.3では吉田作品に出て来る映画のシーンが挙げてあります。「ナイト・チャイルド」は、 美少年マーク・レスターが、異常な天才少年を演じました。若い継母はブリット・エクランド、 父役は「シベールの日曜日」のハーディ・クリューガー。「家族の肖像」のヘルムート・バーガー はこの映画で一躍日本で有名になったような気がします。ヴィスコンティ晩年の恋人で、この後 「ルードヴィヒ」という大作がありました。「地獄に堕ちた勇者ども」、「セックス親衛隊」も 名画座で見ました。カリフォルニアの中に「ヘルムート?」という書き込みがあるのは、「ずいぶん コミック」を読んではじめて気がつきました。大島弓子には「さよならヘルムート」という作品が あり、彼のファンのようですが、吉田秋生は、ああいう退廃的、耽美的な感じは趣味でないような 気がするんですが。
森脇真末味の「緑茶夢」にはスランというバンドが出ます。しもママさんのスクラップの 中には、この年の、多分別コミに書いた吉田秋生のカットと文の切り抜きがあります。それは ジョミー・クロスというキャラのカットで「この人、A・E・ヴァン・ヴォーグトのSF小説 スラン の主人公なんだけど 本からうける彼のイメージってのが やったらカッコいいわけなの  ウフ」と説明がついてます。「緑茶夢」のスランもたぶんこの小説からとった名前だと 思います。ジョミー、と聞くと私は竹宮恵子の「地球へ」のジョミー・マーキス・シンを 思い出します。
編集者の毛利さんとのインタビューの中に出て来る「移動マンガ教室」「テレフォン何とか」 というのは、知りません。ご存知の方いらっしゃいましたら、掲示板に書き込むか、 管理人にメールで教えていただけませんか?

 

「移動まんが教室」について、ハラさんから情報をいただきました。

「移動まんが教室」というのは、地方の漫画家志望の人のための勉強会みたいなもので はないかということです。先生がいて、漫画スクールに投稿した人かなんかを対象に描き方を教えたり、作品の 批評をするみたいな。白泉社がやっていた記憶があるそうですが、各社やっていたのかもし れません。プロの漫画家さんも、ゲストに来たりして、体験談を聞いたり、生原稿をみせ てもらえたりしたということです。
(ハラさん、ありがとうございます!)

 

「テレフォン何とか」については、ますみさんから情報をいただきました。

たぶん1976〜1977年頃、少女コミック又は別コミの企画で、 ある一定期間、週替わり?で、「貴女のあこがれの漫画家さんの声が聞ける」という テレフォンサービス企画がありました。
雑誌に、その期間とまんが家さんの名前と、電話番号が告知され 読者はその番号にかけると、その人のメッセージを聞けるというものです。 時間は3分くらいで、登場するまんが家さんは、当時少コミやら別コミやらに 掲載されていた皆様。中でも萩尾望都先生がいたのは間違いないそうです。
「自分ももーさまファンで、実際に掛けて聞いたものですから。今はもう内容は 覚えていません。声が聞き取りにくかったということぐらいしか…。 ほかには、おそらく上原きみこさん、竹宮恵子さん、大島弓子さんなどでは なかったかと類推します。」(ますみさん談)
(ますみさん、ありがとうございます!)

 
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