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弥生美術館「牧美也子・水野英子・わたなべまさこ展」
見学報告と個人的雑感




ニュース

弥生美術館の「牧美也子・水野英子・わたなべまさこ展」は12月24日に 終わりました。

あねさまの掲示板でいただいた情報では 少女マンガ家展 PARTUは、上田とし子さんと今村洋子さんで、 来年の7月5日から9月30日だそうです。

わたなべまさこ先生の最後のサイン会は23日の予定でしたが、当日わたなべ先生が 体調をくずされ、中止になりました。けれども、サイン会に来た方達の本を美術館が 預かり、サインをして送り返してくれるそうです。

わたなべまさこ先生の「ガラスの城」はホーム社から文庫が出ました。(島本さん、情報ありがとうございます)
そのため、このページに置いていた「復刊ドットコム」の投票ページへのリンクを 削除します。

水野英子先生のサイン会はもう一度、12月17日(日)午後2時〜午後4時半まで、
開催されるそうです。(あねさま、情報ありがとうございます)




期間 2000年10月1日(日)から12月24日(日)
月曜休館、 開館時間は午前10時〜午後5時、但し入館は4時半まで。
11/12(日)午後2時から学芸員による展示解説


(2000.11.18)あねさまからいただいた情報で、サイン会の予定を更新します。
水野英子のサイン会は23日と12月2日の2回残っています。2時からです。
サインは一人、3点までで、自分の本にもサイン可能ということです。

私は、11月18日のわたなべ先生と牧先生の日に行きました。この日はなんと飛び入りで 水野先生のサイン会もありました。入り口で整理券をくれます。カメラを持って行って とってもらってる方もいらっしゃいました。

弥生美術館の場所、開館時間などは ここに出ています。
東大の弥生門のすぐ近くなので、本郷三丁目から東大に行きキャンパスをつっきって弥生門から出る、 というのも1つの方法です。徒歩で20分くらいでしょうか。

10月7日、11月18日に行きました。以下はその記憶によるものです。

展示物

小さな美術館で、展示室は1階から3階です。3階は高畠華宵の展示で、「牧美也子・水野英子・わたなべまさこ展」は1、2階でした。
1階の展示室を入って左手がわたなべまさこ、右手が水野英子の展示になっています。
少女ブック掲載の「やまびこ少女」「白馬の少女」「ミミとナナ」、少女フレンド掲載の 「聖ロザリンド」等の原画が展示してあります。「高野聖」、 「金瓶梅」等最近のものまでありました。YOU掲載の「美少年」というのもあったんですね。
当時の雑誌掲載の最初のページが開いてあると、右側のページに高見エミリーちゃんがいたりして目が行きます。 (「ねむの木の子守唄」の右側)

水野英子の「赤っ毛子馬」は縦の長さが普通のページの3分の1くらいでした。昔はコマに番号が降ってあったのを思い出したり、火の鳥じゃないかと思うほど手塚治虫に似てると思ったりしました。「青い星の夜」の雑貨屋がある通りを描いてあるコマは素敵でした。飾ってある靴に見入っている主人公、頭上にたくさん光っている丸いちょうちん、まわりにいる子ども達、昔の日本家屋。「トゥオネラの白鳥」の主人公の憂いを帯びた表情にも今更ながら感動してしまいます。トビラ絵がいくつかまとめて展示されていたのは、たしか「星のたてごと」と「ファイアー!」。

中央の展示ケースの中には水野英子がU・マイヤ名で出した「くらやみの天使」、水野英子とあすなひろしの合作漫画(オンデーヌ、ミルタの森)、北島洋子との合作漫画、武田京子、細川ちえこなど同時代の漫画家の当時の作品等が展示されています。

2階の左手は明治の叙情画から絵物語、初期の漫画への変遷が展示してあります。昭和13年から戦後まで続いた「くるくるくるみちゃん」がありました。手塚治虫の「火の鳥」連載第1回の扉のページも開いています。これは昭和31年で、右側のページに「中村錦之助さん、高千穂ひづるさんのプロマイド」と書いてあるのが時代を感じさせます。

右手の牧美也子の展示では、最初に昭和32年少女掲載の「白いバレエぐつ」があって、「マキの口笛」の前にもバレエものを描いてたのだと思うと同時に、当時は本当にバレエものが多かったと思いました。中央の展示ケースにあった高橋まことの「東京・パリ」も、書いてあるあらすじを読むとバレエものでした。リカちゃん人形が牧美也子のキャラを元にしてるというのは私は初耳でした。

展示ケースの中には、田村としこの「フイチンさん」、ちばてつやの「ママのバイオリン」「1、2、3と4、5、ロク」、横山光輝、松本れいじの少女漫画もありました。「ママのバイオリン」は50年代のマンガで、絵柄を見てもちばてつやだとわかりません。

各先生の略年譜のパネルがそれぞれの展示のところに掲示されています。また、ハンカチ、ペンシルケース、色鉛筆の箱、下敷き、手鏡など、各先生方の絵のついたグッズも展示されていました。牧美也子のお弁当箱というのもありました。

先生方へのメッセージを書けるスケッチブックが2階に置いてあります。

販売物

通販もできるそうです。

「牧美也子・水野英子・わたなべまさこ展」解説書 800円
各先生の略年譜、作品リストつき。「ガラスの城」「星のたてごと」「マキの口笛」のあらすじ。カラーページは二枚ずつ。わたなべまさこ「パパは恋人」が二枚、水野英子は「星のたてごと」と「セシリア」、牧美也子は「マキの口笛」と少女フレンドの口絵。

ポスター
大判(700円)は水野英子の「セシリア」(コミックス「すてきなコーラ」所収のセシリアの扉絵です)。 小さい方は水野英子が「ハニーハニーの素敵な冒険」、牧美也子が「悪女聖書」。わたなべまさこは タイトルが書いてありませんでした。

ポストカード 一枚100円
各三種類。牧美也子はいずれも「源氏物語」から。わたなべまさこは「ガラスの城」からと、「赤いチャイナ服」「正月」というタイトルの絵。水野英子は「こんにちは先生」「ファイアー!」「ハニーハニーのすてきな冒険」(着物姿で猫といっしょ)から。

漫画
現在新刊で入手できる各先生の漫画を売ってます。わたなべまさこの「さくら子、すみれ子」もありました。
今回の特別販売は「すてきなコーラ」(2000円)と「ローヌ・ジュレエの庭」(2400円)。
両方とも自費出版で、「すてきなコーラ」の方は和田慎二が資金を出しています。大きさはワイド版(吉田秋生のPRIVATE OPINIONのサイズ)です。 「ローヌ・ジュレエの庭」の収録作品は表題作の他「黄金とキューピッド」、「アルカディア物語」「愛のおくりもの」「翔べ翔べアンダー」「ビクトール街31番」。 「すてきなコーラ」は、表題作と、「黒水仙」。「黒水仙」はマーガレット創刊時の連載で、単行本未収録です。両方とも週刊誌からのトビラ付き復刻です。巻末に和田慎二が書いてる「メイキング オブ 「この本」」も読む価値ありです。しおり付き。

来てくださった方へ

私のページは主として吉田秋生の作品を扱っています。
牧美也子・水野英子・わたなべまさこや、西谷祥子の作品について知りたい方は、下記のページをご覧ください。

少女マンガ かく 語りき
あねさまのページです。

西谷祥子ファン倶楽部
斎藤いつきさんのページです。


個人的感想

個人的には、なんと言っても「黒水仙」がもう一度読めたのが嬉しい。神様はいるのか、と思っちゃうくらい。和田慎二は神の使いです。「銀色の髪の亜里沙」を古本で買っただけだけど、恩返しに何か新本を買ってあげましょう。小学校の高学年の時、友達がこの漫画が好きで、「夏の夜に清らかに咲く黒水仙。お値段は○千円」と口にしてた、と記憶してました。今回再読して「夏の夜ひそかにさく花黒水仙」で「お値段は四千円」だったのがわかりました。ストーリーのポイントは覚えてた通りでした。ただ、この漫画が水野英子の作品だと認識したのがごく最近、「ママに青い花を」の単行本の後ろに最初のページが載ってたのを見たときです。日本を舞台にした企業もの、というのが水野英子と結びつかなかった。今読むと、別荘持ってるような超高級サラリーマンが勤めてる会社のわりには、社員が製造原価をごまかして私腹をこやせるようないい加減な経理なのか、とチャチャ入れたくなりますね。そう言えば少し前、「少女まんがかく語りき」の掲示板で「結婚式で終わる漫画が多かった」という話をしてましたが、「黒水仙」も結婚式で終わります。
「すてきなコーラ」はキスシーンがあったりしてクラスメートとキャーキャー言いながら読みました。このあたりからですね、少女漫画が色気づいて来たのは。読者が思春期を迎えたからですね。
「ファイアー!」の扉絵、かっこいいですよ。漫画家を目指す人がこぞって水野英子の絵を目指したのはよくわかります。池田理代子の初期の漫画の人物は水野英子のコピーですし青池保子も水野英子風の絵でした。

わたなべまさこの「白馬の少女」は私にとっての最初の名作です。「少女ブック」を初めて買ってもらったのが小学校の二年生くらいの時で、「白馬の少女」は連載の途中から読みました。展示されていたページも読んだ覚えがあります。金髪のたてがみの白馬、つばさが 懐かしかった。ちばてつやの「みそっかす」で「サンルーム」という言葉を覚えたという方がいらっしゃいましたが、私はこの漫画で覚えました。

記憶による「白馬の少女」のあらすじ
赤松病院の院長の娘みちるは、赤ん坊の時、海賊のルンパンに誘拐され、ルンパンの娘デイジーとして育てられる。
成長したデイジーと実の両親は出会うが、互いに実の親子とは気づかない。院長夫人は再び身ごもるが、身体が弱いため出産は望めない。ある日デイジーは病気になり輸血が必要になる。医者は「デイジー様の血は不思議な血でしてな。本当の母親の血でなければならない。でも、父親の血でもいいでしょう」と言ってルンパンから血をとろうとする。そこでルンパンはデイジーが赤松家の娘みちるであることを告白する。デイジーのためなら身体中の血をとられてもいい、という夫人に、赤松氏は「デイジーはみちるなんだよ」と告げる。祖母は喜び「デパートの子ども用品全部買い占めちゃったわよ」と言う。
デイジーは赤松家に戻るが、夫人の編みかけの赤ん坊用のくつ下をこわして、「なんてことを」と叱られたのにショックを受け、家出する。
デイジーは小さい頃、ババハイ島の島主クローに育てられた。そこを訪ねる。今ではシローが島主になっている。ババハイ島は実は火山島で、ある日爆発する。デイジーは逃げるが、ルンパンは死ぬ。デイジーは再び赤松家に戻って幸福に暮らす。デイジーは、つばさに「どんなに痛かったろう、熱かったろうね」と語りかける。
この他、使用人の娘でデイジーの友達の梅子、その姉の看護婦、その恋人の医者等が出る。


当時少女ブックにわたなべまさこが書いたものを読んでたので、昭和27年クリスマス生まれのたつひこという息子がいるはずだと思ってましたが、今回略年譜に昭和27年出産と書いてあるのを読んで、再確認しました。
作品リストを見ると、50歳くらいから精力的に活動してますね。いわゆる24年組の方々にも今後再び精力的に活動していただくことを期待していいでしょうか。

牧美也子は私にとっては「マキの口笛」に尽きます。タイトルを覚えてるバレエ漫画で最古のもので す。お姉さんと暮らしてて、マリアンヌという従姉が出た、というのを覚えてましたが、お母さんが 女優だったのは忘れてました。お母さんもバレリーナで、フランスに行くために離婚したのだと思ってました。別の話とまざってしまっています。解説書に出てるあらすじを見たら、ここにも白血病が出て来ます。今では必ずしも不治の病ではない白血病、昔の漫画にはよく出てきましたね。アラベスク第一部にも出ます。


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