初心者のための
ディベートQ&A
<第5版>

抜粋

1.1 ディベートって何?

カオリは、ケンジに聞きました。「ディベートって最近よく聞くけど、ふつうの議論とどう違うの?」ケンジは、「どう違うって言われても…」「それに、そもそも何のためにディベートってやるわけ?」「うーん」

ディベートの定義を明確に理解することは、非常に大切です。学ぼうとする対象を明確に理解することでディベートを学ぶ上でも頭の整理になりますし、ディベートに対するさまざまな誤解をとくこともできます。しかし最も大切なことは、ディベートがそもそも何を目的としたコミュニケーション技法であるかを理解する一助になることです。これによって、ディベートをすべきであるときにディベートをし、ディベートすべきでないときにディベートしない、という適切な応用ができるようになります。ただやみくもにディベートの技術を学ぶのではなく、何のための技術なのかを常に意識しながら学ぶことが大切です。

ディベートには他のコミュニケーション形態と異なる明確な特徴がいくつかあります。まずそれをみていきましょう。

カオリは、ケンジに、「ディベートって最近よく聞くけど、そもそも何なの?」ケンジは、「ディベートってもともと英語でしょ?辞書引いたらいいんじゃない?」そこでカオリは辞書を引いてみた。

“debate: a formal argument or discussion of a question, for example, at a public meeting or in Parliament or Congress, with two or more opposing speakers, and often ending in a vote.” - Oxford Advance Learner’s Dictionary, 5th ed.

(ディベート:疑問に関するフォーマルな議論又はディスカッション。例えば、公的な集会又は国会、議会において、2つ以上の対立する発言者によってなされ、しばしば、投票によって終わるもの。)

この辞書の定義では、ディベートでの代表的な特徴が例示で示されています。その特徴とは、

の3点に集約されます。ここから、そもそもディベートというものは、一定の場面-公共的な意志決定-で行われるものであることがわかります。公共的な意志決定についてもう少し詳しく見ていきましょう。

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