韓国の尹錫悦大統領は検察出身で外交(内政も?)にはズブの素人であることははじめから分かっていたことですが、初の外遊(「海外に赴いての外交」という意味においてではなく、文字通り「外国で遊ぶ」という意味に理解することが妥当)である、イギリスでのエリザベス女王葬儀出席(間に合わず欠礼.翌日に改めて赴いたとのこと)、アメリカでのバイデン大統領との「会談」(1分足らずの挨拶)、国連総会出席に合わせた岸田首相との「略式会談」(日本側は「会談」という言葉を使用せず「懇談」と表現)等で、その素人さをすっかりさらけ出した…

ロシアのラブロフ外相は9月24日に国連総会一般討論で演説するとともに、翌25日には記者会見に臨んで記者の質問に答えました。私は、9月30日にプーチン大統領が行ったウクライナ領土併合演説も読みましたが、両演説の核心部分はほぼ同じで、プーチン演説が国内聴衆を対象として感情的・扇情的であるのに対して、ラブロフ演説は国際世論を対象として理性的・説得的であるという印象を強く受けました。ロシア指導部がロシアを取り巻く国際環境をどのように捉えているかを冷静に理解・判断する上では、ラブロフ演説及び…

ロシアのプーチン大統領が9月21日に行った演説から浮かび上がってくるもっとも重要なメッセージは、ロシアがドンバス解放を目的としてウクライナに対して起こした特別軍事行動が、今や攻守ところを変えて、アメリカ以下の西側の軍事的総攻勢に対するロシアの祖国防衛戦争の性格を色濃くしているということです。すなわち、米西側は第三次世界大戦に直結する事態を回避するためにウクライナを前面に押し立て、ウクライナに兵器提供に留まらず、… 

9月18日のコラムで、上海協力機構首脳会談の際に行われた中ロ首脳会談に関する西側メディアの牽強付会的な「分析」報道を紹介した際、印ロ首脳会談についても言及しました。9月19日付けの環球時報は、「西側メディアの「モディがプーチンに挑戦」報道の誤りを指摘するインド・メディア」(中国語原題:"西方媒体炒作"莫迪挑战普京",印媒:解读错误")と題する報道で、インドのメディアも西側報道の「読み間違いだらけ」を厳しく指摘… 

9月に入ってから、アメリカの強力な軍事的テコ入れを背景にしたウクライナ軍の反転攻勢に直面したロシア軍が潰走に近い撤退に追い込まれ、ウクライナのゼレンスキー大統領は6000~8000㎢を奪回したと発表したと報道されています。こうした状況を背景に、ウズベキスタンの首都サマルカンドで開催された上海協力機構の第12回首脳会議に出席したロシアのプーチン大統領と中国の習近平主席との首脳会談(9月15日)に注目が集まりました。ちなみに、ウクライナ問題にかかわるプーチンと習近平との会談は、ロシアのウクライナ侵攻直前の… 

9月7日にウラジオストックで開催された東方経済フォーラムで基調演説を行ったプーチン大統領は、本題である極東・シベリアの経済問題について論じる前に、「国際関係のシステム全体が不可逆的で、地殻変動的な変化を経験している」と切り出してアジア太平洋地域を筆頭とする興隆中の国々・地域が国際的な役割を増していることを指摘するとともに、西側諸国は相変わらず昔ながらの世界秩序を保全して自分たちの思い通りを続けようとし、自分たちの「ルール」を世界に押しつけようとしている… 

私は、1986年8月から約1年間イギリスの国際戦略研究所(IISS)で客員研究員として過ごしましたが、もっとも印象に強く残っているのは、1985年にソ連共産党の書記長になったゴルバチョフが打ち出したペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(透明性)に代表される国内政治の新たな動き、そして、1986年10月にアイスランドの首都レイキャビックで行われた米ソ首脳会談に代表されるソ連外交の新鮮なアプローチでした。当時はゴルバチョフの打ち出す諸政策の斬新性に目が奪われ、数年後にベルリンの壁崩壊、そしてソ連邦自体の空中分解が… 

 8月30日のコラムで紹介したラブロフ外相の発言から窺えるように、ロシアは今や、「ロシア嫌い」(Russophobia)で凝り固まった米西側との関係改善・再構築の可能性はもはやないと思い極め、脱米西側の外交戦略に舵を切った観があります。ウクライナに対する特別軍事行動を開始するまでは、バイデン・アメリカはともかく、メルケル・ドイツ、マクロン・フランス等欧州諸国との関係に一縷の希望をつないでいたと思われます。しかし、メルケルが去ったドイツを含め、欧州諸国の大半は今やウクライナ支援・対ロ対決でアメリカと足並みをそろえるに… 

 ロシアのラブロフ外相は、7月23日から27日にかけてエジプト、コンゴ共和国、ウガンダ及びエチオピアの4ヵ国を訪問して各国首脳と会談したほか、24日にはアラブ連盟諸国常駐代表との会合(カイロ)で、また27日にはアフリカ連合諸国常駐代表との会合(アジスアベバ)でスピーチを行って、ウクライナ問題に関するロシア政府の立場を詳述し、あるべき国際秩序に関するロシア政府の立場を開陳しました。ウクライナ問題に関しては、… 

 8月17日に天津で日中ハイ・レベル政治対話(中国側:楊潔篪中央外事工作委員会弁公室主任、日本側:秋葉剛男国家安全保障局長)が行われました。2015年に第1回目が行われてから今回で第9回目になります。第8回目が2020年2月28日(東京)でしたから、約2年半ぶりの開催・岸田政権下では初となります。「両国間のハイ・レベルでの戦略的意思疎通を強化する重要な制度的アレンジメント」と位置づけの紹介(中国側発表文)があるということは、中国側が岸田政権になってから初めての今回の政治対話に寄せる重視の程が窺われます。約7時間に及んだという今回の対話…

近刊(三一書房)のご案内

新年のご挨拶(コラム)の中で触れましたが、年明けからほぼ4ヶ月余をかけて取り組んできた原稿がある程度形をなし、出版の目途が立ってきましたので、ご案内を始めることにしました。

新著のタイトル(まだ確定ではありません)は、『日本政治の病理診断 -丸山眞男:執拗低音と開国-』です。出版社は三一書房、刊行予定日は8月15日です。「私の考えを本にまとめてみないかというお誘い」(1月1日コラム)に即し、今のところ、以下の章立てとなっています(編集過程で変更があるかもしれません)。

一 個人的体験
(一)「執拗低音」との出会い
(二)外務省勤務時代の体験
(三)大学教員時代の体験
(四)外務省の「親米」体質
(五)歴史教科書検定と中曽根靖国公式参拝
二 執拗低音
(一)丸山眞男の問題意識
(二)石田雄の批判
三 開国
(一)丸山眞男の日本政治思想史の骨格
(二)「開国」の諸相
四 「普遍」と「個」
(一)「普遍」
(二)「個(尊厳)」
五 日本の「開国」への道のり
(一)精神的「開国」
(二)物理的「開国」
(三)強制的「開国」
六 21世紀国際社会と日本
(一)21世紀国際社会について正確な認識を持つ
(二)国際観を正す
(三)「脅威」認識を正す
(四)国家観を正す
(五)国際機関に関する見方を正す