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コラム

トランプ外交を判断する座標軸

第1期トランプ政権の足跡から十分予想がついたことですが、第二次大戦後のアメリカ対外政策の根幹に座ってきた「アメリカのリーダーシップを前提とする国際主義」に対するアンチ・テーゼとしての「アメリカ第一主義」、気候変動をはじめとする環境問題に対する軽視(というより敵視)、中東問題に関するイスラエル偏重(その裏返しとしてのアラブ諸国軽視・イラン敵視)、そして「アメリカ第一主義」を脅かす(とトランプが認識する)中国に対する警戒意識は、第2期トランプ政権においてもいささかも変わることはありません。また、ビジネスにおける成功体験に立脚する、自らの直感的判断力に対する自信・過信及びその裏返しとしてのエスタブリッシュメント・ワシントン官僚機構に対する不信感も、第2期政権になってますます自己主張を強めています。トランプ外交に対する批判的・否定的評価がアメリカ内外を問わず伝統的エスタブリッシュメントの間で主流である所以です。
 しかし、トランプ外交に関するアメリカ国内の論調がすべて批判的・否定的というわけではありません。特に、…

コラム

ハマス指導者ヤヒア・シンワルと10.7(2023)及び10.16(2024)

パレスチナ解放運動の最大組織・ハマスの指導者であるヤヒア・シンワルについては、彼が10月16日にイスラエル軍の攻撃で死(以下「10.16」)に追い込まれてから、様々な報道を通じて興味深い事実関係が明らかになっています。米西側はハマスをテロ組織と決めつけ、2023年10月7日のイスラエルに対する急襲(以下「10.7」)を組織した張本人であるシンワルを極悪非道のテロリストと決めつけています。しかし、イランのプレスTV、ロシアのロシア・トゥデイ(RT)、スプートニク通信、中東のアルジャジーラなど、いわゆるグローバル・サウスを代表する、あるいはこれと緊密に連携する通信社・報道機関の紹介・報道からは、シンワルの人物像、10.7の国際的意味、10.16の国際的影響などについて、正反対の評価が行われていることを見て取ることができます。
 私は、米西側の宣伝臭の強い報道よりも、グローバル・サウス側の報道の方がシンワル、10.7そして10.16について正しい評価を行っていると…

コラム

「中国の特色ある金融発展の道」-新自由主義金融政策の対抗軸-

10月14日付のロシア・トゥデイ(RT)は、プーチン大統領がロシア議会に対し、プーチンが6月20日の訪朝に際して金正恩国務委員長との間で署名したロ朝包括的戦略的パートナーシップ条約(以下「条約」)の批准を公式に求めたことを報じました。翌15日のスプートニク通信は、ロシア大統領府のペスコフ報道官が同日、「条約の規定については説明不要であり、曖昧な内容はない。もっとも主要なことは、安全保障を含めてあらゆる分野において真に戦略的であるということだ」("In the agreement, the wording itself, you listed them yourself, they do not need further clarification, these formulations are quite unambiguous. But at the same time, the main thing is probably that this agreement implies really strategic in-depth cooperation in all areas, including in ensuring security,")と述べたことを紹介しました。
 同じ10月15日付のスプートニク通信は、「ペンタゴンの頭を冷やすロ朝条約」(原題:'Unique' Russia-North Korea Pact Can Cool Pentagon Hotheads, Stabilize East Asia: Here's How)と題して、上記ペスコフ発言を念頭に、…

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「中国の特色ある金融発展の道」-新自由主義金融政策の対抗軸-

日本は、アメリカの強い影響・支配のもとで新自由主義金融資本主義の道を歩んでおり、その結果、様々な病理現象(不動産バブルは氷山の一角)が噴出していますが、個々の病理現象を問題視するものはあるとしても、病理現象の根本原因である新自由主義金融資本主義そのものを問題視するのはごく一部に限られます。しかし、「中国の特色ある社会主義」の道を堅持する習近平・中国は、金融政策においても「中国の特色ある金融発展の道」を模索しています。3月に出版された中共中央党史・文献研究院編纂の『習近平金融工作論述ダイジェスト』(原題:《习近平关于金融工作论述摘编》。以下『ダイジェスト』)は、中国の金融政策の本質・特徴を理解する上での必読文献と言えます。編纂元である中共中央党史・文献研究院は4月15日付人民日報で、…

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