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コラム

朝鮮戦争停戦71年国際シンポジウム発言
-朝中ロ対米日韓の構図と私たちの認識・対応-

私がもっとも言いたかったことは、顕著になる「朝中ロ対米日韓」の対決の構図に関する認識・対応を誤ってはならない、ということでした。すなわち、①この対決の構図には短期的・当面的性格と長期的・本質的性格という二面性がある。②長期的・本質的性格とは、朝鮮半島問題の平和的解決(朝中ロ)か軍事的解決(米日韓) かに関する対立であり、どちらの側が正しいかは直ちに判断できるし、したがって私たちが対応を誤る恐れは少ない。他方、③短期的・当面的性格とは、双方が軍事的に一歩も譲らないというパワー・ポリティックス的様相が前面に押し出されることを指す。この場合、パワー・ポリティックスを体質的・原理的に受け付けない私たちは…

コラム

プーチン訪朝
-首脳会談、新条約、安保理制裁決議-

ロシアのプーチン大統領は6月19日に朝鮮を訪問しました(当初は18日及び19日の2日間の予定でしたが、ピョンヤン到着は19日未明にずれ込みました)。首脳会談、包括的戦略的パートナーシップ条約及び朝鮮に対する国連安保理制裁決議の3点について、ロシア側文献(ロシア外務省ザハロワ報道官の安保理制裁決議に関する発言、プーチン訪朝の意味について論じたロシア人専門家文章を含む)の内容を重点的に紹介します(なお、朝鮮中央通信によれば、この条約のほか、豆満江国境自動車用橋の建設に関する協定と保健、医学教育及び科学分野での協力に関する協定も締結されたことが明らかになっています)。
 ロ朝関係の急速な進展を西側メディアが歓迎するはずはありませんが、…

コラム

ロシアにおける核デタランス強化論

アメリカとNATOがウクライナに対して西側供与の武器でロシア領内を攻撃することを許可したのは、この行為がロシアによる核報復を招くことはないという判断に基づくものです。しかし、この判断の底流には、"ロシアがちらつかせる核による報復はしょせん'虚仮威し'に過ぎない"とする米西側の認識が働いています(6月10日のコラム参照)。要するに、ロシアの核戦力は米西側に対する「デタランス」としての威嚇・脅迫の役割と機能を果たしていないということです。
 ロシア国内では、ロシアの核報復の意志に対する西側の軽視を根本から改めさせないと、なし崩し的な戦争のエスカレーションは最終的に核戦争に行き着かざるを得ない、という危機感・問題意識が…

コラム

バイデン政権の政策変更(武器使用条件緩和)とロシア
-核戦争への第一歩-

バイデン政権は5月31日、ウクライナがアメリカ提供の武器を使用する条件を緩和する決定を行いました。同日付のスプートニク通信は、米国務省スポークスマンが声明で同通信に対し、バイデンはロシア領土に対する反撃を目的とするアメリカ提供武器の使用を許可したこと、ただし、ATACMSを含む射程の長いミサイルの使用は許可していないことを明らかにしたと報じました。同日のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は今回の政策変更の内容を次のように紹介しています。

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