概要
「はじめに」から引用する:
本書は,「物理や数学の基本事項はそれなりにわかったつもりなのに,いつまでたっても標準的なレベルの物理学の本を読むことが難しいと感じる」という方々を対象として, 物理数学の中級者向けの解説を扱ったテキストです.(後略)
感想
物理数学の基本事項
0章は物理数学の基本事項である。
p.15 の脚注から引用する。
1/6 公式,1/12 公式は高等学校の範囲なので覚えておくべきですが,愚直に展開して積分しても構いません.
そうなのか。もう 1/6 公式や 1/12 公式は覚えておくべきものなのか。昔は飛び道具扱いだったような気がするので、現代のこどもたちは大変だと思う。
特殊関数
5章は特殊関数である。副題は‐母関数と解析接続による導入‐である。母関数で特殊関数を導入する方法は勉強したことがあったが、解析接続で特殊関数を導入する方法は覚えていない。おそらく習ったはずなのだが、 忘れてしまった。それはともかく、特殊関数と聞くとなんとなく体がうずくので、少し読んでみた。
最初の節では、数列の母関数について解説されている。これはわかる。ということは、次の節では関数列の母関数を取りあげるのだろうか。実際、5.2 節は関数列の母関数だ。 なぜか違和感が出てきた。俺は本当に、母関数で特殊関数を導入する方法を勉強してきたのだろうか。もう少し読み進めてみよう。
p.142 からはルジャンドル多項式 `P_n(x)` について説明されている。p.143 からは `P_n(x)` についての漸化式を作っている。p.142 では、ルジャンドル多項式 `P_n(x)` の母関数 `G(t,x)` は次の式で定義されている。
本書に従ってこの式から `P_n(x)` の漸化式を導こう。まず、左側の等号の式で両辺を `t` について微分する。
恥ずかしいことに、`d/(dt) f(g(x)) = g'(x) f'(g(x))` という微分の式を忘れていた。
さて、次の式も成り立つ。
私は右辺を最初 `sum_(n=0)^oo (n+1) P_(n+1)(x) t^n` のように書いていたが、本書では和を `n = 1` から始めるようにしているのでこれに従う。さて、進めていこう。 `(del G(t, x))/(del t)` が2種類の書き方で表わされるのでこれを等しいとおく。
両辺に `(1 - 2xt + t^2)` を乗じて分母を払う。
和の前にある係数を展開する。このとき、和を取る `t` の項は `t^n` に統一する。
両辺を `t` の昇ベキの順に並べる。このとき、`t^0` の項(定数項)と `t^1` の項は別扱いになる。
上記の両辺で `t^n` の係数を比べる。
第3式で `n=1` としたものが第2式だから、第2式は省略できて次のように書ける。
また、母関数の定義式に戻って、`t = 0` とすると、`G(0,x) = 1 = P_0(x)` であることがわかる。このときの無限和の式で `0^0` が出てくるので気持ち悪いが、 `sum_(n=0)^oo P_n(x)t^n = P_0(x) + P_1(x)t + P_2(x)t^2 + cdots ` の略記法だと思えば大丈夫だ。もちろん、`lim_(x rarr 0)x^x = 0` を信じるというのもありだろう。
以上の準備の上、やっと `P_n(x)` の満たす漸化式が定まった。
上の漸化式は本書の (5.36) 式の分母を払ったものである。この漸化式はボネの漸化式と言われているらしい。
参考文献
「さらに勉強するために」という項があって、参考文献がいろいろ挙げられている。その中から、既に読んだ本やこれから読む予定の本を挙げる。
第0章
- 和達三樹:物理のための数学
- 薩摩順吉:物理の数学
第1章、第2章
- 鈴木増雄:統計力学
- 千葉克裕:行列の関数とジョルダン標準形
- 吉川圭二:群と表現
第3章で挙げられた文献を読む予定は今のところない。
第4章,第5章
第6章,第7章,第8章,第9章
- 伊藤清:確率論
- 舟木直久:確率論
- 藤澤 洋徳:確率と統計
- 小西貞則,北川源四郎:情報量規準
なお、上記の藤澤氏の名前が「藤岡」になっているのは誤植だと思う。
第10章,第11章
数式記述
このページの数式は MathJax4 で記述している。
書誌情報
| 書名 | 一歩進んだ物理数学 |
| 著者 | 橋爪洋一郎 |
| 発行日 | 2025 年 11 月 25 日 第1版第1刷 |
| 発行元 | 裳華房 |
| 定価 | 3700 円(本体) |
| サイズ | A5版 287 ページ |
| ISBN | 978-4-7853-2832-0 |
| その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |