ルジャンドルの多項式

作成日:2015-06-18
最終更新日:

直交多項式の雄、ルジャンドルの多項式

アドリアン=マリ・ルジャンドル(Adrien-Marie Legendre) はフランスの数学者である。 彼の名前は整数論や楕円関数論で知られている。 これから説明するルジャンドルの多項式が、どのような経緯で彼の名が与えられたのかは今後調査したい。 さて、ルジャンドル多項式(以下、「の」は省く)には興味深い性質が多くあるので、少しずつ探っていこう。

ルジャンドル多項式の定義

ルジャンドル多項式はさまざまな定義がある。まず、微分方程式で定義する方法をみよう。

微分方程式

`n` が負でない整数のとき、下記の微分方程式の解 `P_n(x)` をルジャンドル多項式という。

`d/(dx) [(1-x^2) d/(dx) P_n(x)] + n(n+1) P_n(x) = 0` .

左辺の微分をほどいた次の式も同じである。

`(1-x^2) d^2/(dx^2) P_n(x) - 2x d/(dx) P_n(x) + n(n+1) P_n(x) = 0` .

実にあっけない。これだけでは形がよくわからない。

ロドリゲスの公式

上記の微分方程式の解は次のロドリゲスの公式で表せる。

`P_n(x) = 1 / (2^n n!) d^n/(dx^n) [(x^2 - 1)^n]`

明示的には次の通り。

`P_n(x) = 1 / (2^n) sum_(i=0)^(|__n/2__|) (-1)^i ((n),(i))((2n - 2i),(n)) x^(n-2i)`

ここで `|__x__|` は `x` を超えない最大の整数を表す。

漸化式

次に、漸化式による定義をみよう。

`P_0(x) = 1`
`P_1(x) = x`

`n >= 2` の `P_n(x)` は、次のボネの漸化式により定義される。

`(n + 1)P_(n+1)(x) = (2n + 1) x P_n(x) - n P_(n-1) (x)`

ルジャンドル多項式の具体的な形

上記の漸化式を使って、ルジャンドル多項式の具体的な形を下記に掲げる。

`P_0(x) = 1`
`P_1(x) = x`
`P_2(x) = 1/2 (3x^2 - 1)`
`P_3(x) = 1/2 (5x^3 - 3x)`
`P_4(x) = 1/8 (35x^4 - 30x^2 + 3)`
`P_5(x) = 1/8 (63x^5 - 70x^3 + 15x)`

直交性

ルジャンドル多項式は次の直交性を満たす。
`int_-1^1 P_m(x) P_n(x) dx = 2 / (2n + 1) delta_(mn)`
ここで `delta_(mn)` はディラックのδ関数である。

なお、直交性を誤って直行性と記して質問を寄せる人がいる。注意されたい。

陪関数

陪微分方程式

ルジャンドル陪微分方程式とは下記の微分方程式によって定義される多項式 `P_n^m(x)` のことをいう。

`(1-x^2)d^2/(dx^2) P_n^m(x) -2x d/(dx) P_n^m(x) + {n(n+1) - m^2/(1-x^2) }P_n^m(x) = 0` .

陪微分方程式の「陪」の意味がわかりにくいが、陪審裁判のように、主となるもの(裁判官)などに「伴う」という意味がある。 英語では associated という形容詞が使われる。

その他問題

後は問題のみ掲げる。

問題A

`f(x) = x^2 + ax + b` の形の 2 次式の中で、`int_-1^1 {f(x)}^2 dx` が最小となるものを求めよ。

問題B

次の条件を満たす `P_1(x), P_2(x), P_3(x)` を求めよ。ただし、それぞれの多項式の最高次の係数は 1 とする。


問題C

次の関数を考える。
`f_0(x) = 1, `
`f_1(x) = x + af_0(x), `
`f_2(x) = x^2 + bf_1(x) + cf_0(x), `
ただし `a, b, c` は実数の定数である。相異なる `j, k` に対して `int_-1^1 f_j(x) f_k(x) dx = 0` が成り立つとき、 次の各問に答えよ。

  1. 実数 `a, b, c` を求めよ。
  2. `j = 0, 1, 2` のそれぞれに対して、`int_-1^1 {f_j(x)}^2 dx` の値を求めよ。

問題D

3 次またはそれ以下の任意の整式 `f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d` にたいして、常に `int_-1^1 f(x) dx = u f(s) + v f(t) ` が成り立つような定数 `u, v, s, t` を求めよ。ただし、`s > t` とする。


応用1:熱伝導方程式

ルジャンドル陪微分方程式が登場する例として、3次元球体の熱伝導方程式の解を取り上げる。 半径 `a > 0` の一様な媒質の3次元球体がある。この内部で、初期温度分布 `f(x, y, z)` が与えられたときの温度変化を考える。 境界条件として、球面は時刻 t = 0 から ∞ まで温度 0 に保たれるものとする。 求める解は、位置 `(x, y, z)` における時刻 `t` での温度 `u(x, y, z; t)` である(以下続く)。

応用2:ジオイドの記述

(執筆中)

リンク

  1. ルジャンドル多項式 (ja.wikipedia.org)
  2. Legendre polynomials - Wikipedia, the free encyclopedia(en.wikipedia.org)
  3. 数研通信(1号〜50号)(www.chart.co.jp) の 46 号
  4. ルジャンドルの多項式(aozoragakuen.sakura.ne.jp)

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