QアンドA52
シンハラ語を勉強しようと思っています。
学習のアドバイスをお願いします。



 スリランカの人とお友達になりました。今度スリランカへ行ったらシンハラ語で話したいと思います。そこでシンハラ語を勉強したいのですが、シンハラ語を効率良く学ぶにはどうすればいいのでしょうか。  


No-52 2005-10-15


   シンハラ語を学習する方は最近増えています。簡単な会話を覚えてスリランカの人と話したいという方から、シンハラ語を言語として研究したいという方までその動機はさまざま。多方面からシンハラ語にアタックする人が増えています。
 それは紅茶と宝石とスパイスだけのスリランカ、仏教関連のスリランカというだけの狭義の接触が、サーフィンのスリランカ、アーユルウェーダ・ヒーリングのスリランカへと日本人の興味が移行して行ったことと関係があるのでしょう。スリランカの人が日本で働く、昨年の津波被害とその復興援助に日本からボランティアの方々が大挙してスリランカへ渡ったいう状況も関係しています。
 でも、どうしても日本人がシンハラ語を学習しようとすると文法規則とか、単語力とか、それから、これがもっともマークすべきことなのですが、恥ずかしいとか、そうした心配が勝ってしまってシンハラ語会話を始めてくれません。お上品な教養レベルでならアーユボーワン、マゲー・ナマ・××だけでいいのですが、会話というキャッチボールはそうした会話マナーとは別のところにあります。
 シンハラ語ですが、日本ではかなり新しいウェーブとして紹介されました。たしか観光文化研究所と言うところから、1980年代にガリ版擦りのようなちょっと粗末なシンハラ語の会話本が出されたのがシンハラ語の開明期でした。それからシンハラ語の教本が語学専門出版社から出されました。しかし、そうした出版物が一般的とは言い難く、2000年を迎えるまでシンハラ語はまだまだ未知のままの言語でした。
 昨年、『指差し会話』という旅行に便利な会話本が出版されました。これは重宝する本で日本在住のシンハラ人大学教授も買ったほどです。その教授からお聞きしたのですが、この本の参考文献に『熱帯語の記憶、スリランカ』(2000年刊行)が紹介されています。この『熱帯語』は言語学からシンハラ語を研究する方にも読まれていて、シンハラ語の’気持ち’を理解するには格好の本のようです。今年6月には『シンハラ語の話し方』がこの「かしゃぐら通信」が著者となって刊行されました。この『話し方』は『熱帯語』で語られたシンハラ語のウンチクと能書きを具体的に、わかりやすく、しかも実践的に表した本です。

 シンハラ語は日本人にとっては世界で一番理解しやすい、学びやすい言語。シンハラ語を学べばスリランカが見える、日本が見える、世界が見える! と、スローガンを掲げたのは「かしゃぐら通信」ですが、シンハラ語を取り巻く環境はそうした方向へ、ここにきて、やっと動き出したようです。
 シンハラ語を学ばれるなら、どうかそのことを意識しながら、臆することなく、失敗を恐れず進んでください。

 言語学では日本語とシンハラ語を比較研究の対象にして多くの論文が提出されています。すでにこのシンハラ語質問箱で扱いましたが、シンハラ語と日本語の疑問詞(疑問を表すしるし)「ダq?」と「か?」を較べる研究がなされていますし、日本語の助詞とシンハラ語のニパータ・パダを言語学的に比較検討する研究も日本語学から提出されています。

 ※もっともこの疑問詞比較論文Decomposed Questionsは2チャンネルの書き込みでは他人の論文から例文を引用しただけの粗末な論文などと、いかにも2チャンネルにありがちな文体で酷評されていました。でも、「引用しただけの粗末な論文」だとことは、引用される日本語とシンハラ語の比較論文がすでに実在するということで、特別な言語、小さな言語のシンハラ語は言語学では日本語と比較されながらぽつぽつと迎え入れられているようです。

 以上のように書くと、何だか難しく感じてしまいますが、要は日本語とシンハラ語は似ている、という訳なのです。


 スリランカでの日本語熱も相当なレベルにあります。
 今月下旬、「かしゃぐら通信」はスリランカのガンパハに新しく生まれた日本語教室を訪問します。今回は日本語を学びたいというシンハラ人が集まる場所で現場のシンハラ語を吸収しながら、「かしゃぐら通信」のシンハラ語学習法をそのまま日本語学習法に置き換えてお話してきます。日本語とシンハラ語はリバーシブル。このことがどれだけシンハラ人の日本語学習者に通じるでしょうか。
 このご報告、第一報は11月上旬、この「かしゃぐら通信」のシンハラ語質問箱に掲載致します。かなり詳細で踏み込んだ内容になると思います。『熱帯語』読者の方には「熱帯語・パート2」になると思います。