オーロラ探訪フィンランド紀行:6
◇ 極光出現編 ◇
なかなかオーロラが出てこない「オーロラ探訪フィンランド紀行」。さすがにそろそろ本題に入らないと怒られそうな気がしてきましたので今回こそ。
滞在したホテルのあるサーリセルカは、端から端まで歩いても20分くらいのこぢんまりとした町です。その町のはずれに小さなスキー場があり、本日のワイルド四人はここで日中を過ごすことに決めました。
このあたりはクロスカントリースキーの大会もよく開かれるようで、この日もコースができていて各国の選手が走っていました。初めて間近で見るクロカンにちょっと興奮。どうやら日本人選手もいるようです。

コース脇で応援。
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軽やかな滑りの選手たちを横目に着ぶくれワイルド四人衆はレンタルスキーの窓口へ。「アイム ビギナー」の一言で言葉の壁も突破し、無事にスキーも装着です。
スキー場でのわたしたちの活躍はもうあれですよ。「華麗」の一言ですよ。あんまり詳しく言うのもアレなんですけど、ここのスキー場、Tバーリフトなんですよ。

こういうの。写真は現地のガキお子様。
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腰の下あたりにバーをひっかけて、足は地面を滑りながら登っていくのです。
地元の子どもが見守るなか、華麗にリフトから転落するワイルドたち。日本人なめんじゃねーぞこら。(雪にまみれながら)
朝方は曇っており、ガイドさん曰く「今日もオーロラは難しいかも」と言われていたのですが、山頂にいた時に急に雲が切れて…

晴れてきたーー!
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Kさん「(ピキーン!)今日はオーロラ見られそうな気がする…!!」
三人「ま、マジですか!隊長!」
このワイルド隊長(※1)Kさんの野生の勘は間違いではなかった事が後に明らかに!
(※1:ワイルド度数が高いのでいつの間にか隊長に任命)
マイナス22℃という気温にも負けず久しぶりのスキーを満喫し、夕飯時。Iさんは少々お疲れで部屋で休んでいるとのことで、三人で近くのホテルのレストランまで歩いていきました。
Kさん「わたし、今日は絶対オーロラ出ると思うよー」
わたし「なんだか確信持ってますねえ」
妹(酒)「確かに空晴れてるもんね」
食事中もKさんは「おばあちゃんお願い…!」と天国にいるおばあちゃんに酒を呑みつつお祈りしたり、どんどんオーロラへの想いが高まっているようです。美味しい食事を楽しみ、あいかわらずお酒も呑んで気分良く外にでると、冷たい空気で体が一気に引き締まります。が、その瞬間、空を見上げて絶句しました。
「あれ…なに?」
「え?もしかして…」
「お、オーロラ?!」
声にならない叫びをあげつつ慌てるワイルド三人。
「すごいすごい!ほんとに出た!」
「隊長の勘、すごすぎる!」
「 はっ!そうだ、Iさんにも伝えないと!!」
「わ、わたし行ってくるよ!」 と、言うやいなやピューッと走り出すKさん。お姉ちゃんは写真撮っててー!と言い残してKさんに続く妹(酒)。あ、えーと、今デジカメしかないんだけど…。

と思いながら撮影した一枚。暗くて粗いよ。
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この旅行ではオーロラ撮影の任務が課されていたわたし。素人なりにも一眼レフでの撮影の仕方を勉強したものの、用語が分からないのと、持っていたカメラ(キヤノンEOS)のマニュアルを引っ越し荷物の中から発掘できず、結局恥を忍んでキヤノンのサービスセンターに電話して一から教えてもらったのでした。(サイト上でも色々な撮影アドバイスがありますが、結果的にこれが一番わかりやすいと思います)
<サービスセンターの人から聞いて一番驚いたアドバイス>
「一番大切なのは寒さ対策です」
はい。どうやって気を付けたらいいでしょう?
「貼り付けるタイプのカイロがございますよね」
ええ。
「それをカメラに直接貼って下さい」
はい…?ちょ、直接ですか?!
「氷点下の環境では電池の消耗が激しいので、バッテリー部分に直接貼って下さい」
はあ…。(まあキヤノンの人が言うんだから大丈夫なんだろう…)
※ちなみに実際は貼ってもすぐ冷えてしまう程だったので、その上からタオルを巻いたりしてなるべく冷えきらないようにしてみました※ |
という訳で、デジカメで撮るより部屋に帰って色々情報を仕入れた一眼レフを準備しようと決意。小走りでホテルへの道を急いだところ、なんとそこにはうずくまるKさんが。
「ど、どうしたの?Kさん?!大丈夫?」
「さ、寒くて…急に走ったら、は、肺が…」
と息も絶え絶え。ワイルド隊長、本能だけで行動しすぎです。そんなこんなでホテルに戻り、部屋で寝ていたIさんをたたき起こし無事四人でオーロラを観ることができたのでした。ちなみにIさんによると、部屋のドアを連打しながら「出た!出た!」と叫ぶ声で目覚め、酔っぱらいが部屋の外で暴れてる…と本気で思ったそうですが。
それでは付焼刃の撮影技術でのオーロラをお楽しみ下さい。

結構動きがはやいのです。
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空の端から端まで横切るオーロラ。
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カーテン状な部分も。
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北斗七星をバックに。
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下のほうのかたまりがワイルドたち。
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驚いたのは、想像していたよりも動きがはやく、見る間に形がどんどん変わっていくということ。大きく空を横切ったものも幅やゆらぎは常に変化し、小さな固まりやほうき星のようなものは、光る絵の具を含んだ筆で、空に線が描かれては消え、またちがう場所に線が引かれ、という印象でした。
オーロラはこの日と次の日の晩にも現れ、わたしたちの念願も叶うと同時に、ワイルド隊長の予言はスゴイということになったのでした。
わたしが三脚をセットして撮影中、ふと周囲を見ると他の三人の姿が見えません。あれ?と思うと暗がりの道端になにかが。
そこには死体のようにごろりと仰向けになったワイルド三人。
「よく見えるよー」
「お姉ちゃんもやりなよー」
いや…鳥葬みたいだから。あんたたち。
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