食品安全センター(CFS)
2022年2月10日 プレスリリース
活動団体が乳幼児用の調製粉乳中の新たな、
潜在的に有害なナノ材料を規制するよう FDA に請願


情報源:Center for Food Safety (CFS), Press Release, February 10, 2022
Groups Petition FDA to Regulate Novel, Potentially
Hazardous Nanomaterials in Infant Formula
https://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/6563/groups-petition-fda-to-
regulate-novel-potentially-hazardous-nanomaterials-in-infant-formula


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年3月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CFS/220210_CFS_Petition_FDA_
to_Regulate_Novel_Potentially_Hazardous_Nanomaterials_in_Infant_Formula.html

【ワシントン】昨日、食品安全センター(Center for Food Safety)と国際技術アセスメントセンター(ICTA / International Center for Technology Assessment)は、乳児用調製粉乳中のナノ材料を規制するように食品医薬品局(FDA)に請願書を提出した。両団体は、FDA がナノスケール成分を適切に規制するために必要な措置を直ちに講じ、乳児にとって安全であることが証明されるまで、調合乳中のすべての人工ナノ成分を禁止することを要求している。

 ”FDA は 5年間、米国の乳児用調製粉乳の多くに、FDA が承認していないナノ化学添加物が含まれていることを知っていた”と食品安全センターの政策責任者であるジェイディー・ハンソンは述べている。 ”FDA がこれらの有害な添加物から乳児用調製粉乳を安全にするために行動する時が来た。ヨーロッパはそれらを乳児用調製粉乳から遠ざけている(訳注1)。我々もそうすべきだ。”

 バルク材料の対応物と比較してナノ材料は、規制当局に新たな監視上の課題を生み出す根本的に異なる健康と環境への影響を及ぼす可能性がある。乳児用調製粉乳に含まれるナノ材料のリスクはまだよく理解されていないが、毒性、化学反応性、及び生体膜に浸透するナノ材料の能力に関する既存の研究に照らせば警戒を要する。

 アリゾナ州立大学が実施した調査では、ガーバー(Gerber)、エンファミル(Enfamil)、ウェルビギニング(Well Beginnings)及びシミラック(Similac)の 4社が製造した乳児用調製粉乳にナノ材料が含まれていることがわかった(訳注2)。これらの材料は主に、光沢/美白、固化防止、及び流動性を高める特性のために使用される。

 FDAは、乳児用調製粉乳が安全であり、特定の栄養要件を満たしていることを確認する必要がある。乳児用調製粉乳を販売する前に、製造業者はまず FDA に登録し、通知を提供する必要があある。調製粉乳が市場に出た後、調製粉乳の内容に変更があった場合は、FDA に報告する必要がある。

 請願書では、両団体は FDA に対し、ナノ材料の存在について乳児用調製粉乳を厳格にテストすることや、製品にナノ材料を含むものとしてラベル表示することなど、FDA によるナノ材料の監視に向けた新しい規制を制定するよう求めている。さらに、FDA は、人工ナノ粒子を含む現在入手可能なすべての乳児用調製粉乳を混ぜ物として宣言し、リコールを実施する必要がある。最後に、乳児用調製粉乳でのナノ材料の使用は、”一般に安全と認められている(Generally Recognized as Safe / GRAS)”(訳注3)の抜け穴を使用して承認されるべきではない。

 最近、欧州食品安全機関(EFSA)を含む欧州連合のさまざまな機関が、アメリカで乳児用調製粉乳に見いだされるハイドロキシアパタイトや二酸化チタンなどの特定の化学物質のナノ形態(訳注2)及びバルク形態の両方について深刻な健康問題を提起している。EFSA 委員会は最近、遺伝毒性が懸念されるため、二酸化チタンは食品添加物として安全であるとは見なされなくなったと結論付けた訳注1)。


訳注1:最近のEU及び加盟国の食品添加物 二酸化チタンへの動き
訳注2
  • 請願書に記載されているアリゾナ州立大学の調査で見つかった乳児用調製粉乳中のナノ材料
    • ナノハイドロキシアパタイト(カルシウム源)
    • ナノ二酸化チタン(光沢剤及び固化防止剤)
    • ナノ二酸化ケイ素(流動性向上)
訳注3一般に安全と認められている(Generally Recognized As Safe)
  • 米国食品医薬品庁(FDA)「GRAS」について解説(食品安全総合情報システム)
     「GRAS」はGenerally Recognized As Safe(一般に安全とみなされている)の略語。連邦食品医薬品化粧品法の201条及び409条に基づき、食品に意図的に添加する物質は食品添加物であり、販売前にFDAの審査と認可を受けなければならない。ただし、所期の条件下で使用する限り安全であることが十分示されていると有資格専門家が認めるか、その使用が食品添加物の定義から外れる場合はこの限りでない。
     上記201条及び409条に準拠して、FDAは21CFR(連邦規則:Code of Federal Regulation)170.3及び21CFR170.30を施行し、科学的手続を経るか、又は1958年よりも前から食品に使用されていた物質については、食品への一般的な使用経験を通じて、食品物質の使用をGRASとすることができると定めている。


化学物質問題市民研究会
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