HEAL, 2022年12月8日
少年ダビデ対巨人戦士ゴリアテ:
農薬被害者のフランス農民 農薬廃止を支援するために
巨大農業企業バイエル−モンサントを法廷闘争にもち込む


情報源:Health and Environment Alliance (HEAL), 8th December 2022
David vs Goliath: French farmer victim of pesticide poisoning
brings the story of his legal battle against agri-giant
Bayer-Monsanto to Brussels to support pesticides phase out


https://www.env-health.org/david-vs-goliath-french-farmer-victim-of-
pesticide-poisoning-brings-the-story-of-his-legal-battle-against-agri
-giant-bayer-monsanto-to-brussels-to-support-pesticides-phase-out/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年12月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_22/221208_HEAL_
David_vs_Goliath_French_farmer_victim_of_pesticide_poisoning_brings_
the_story_of_his_legal_battle_against_agri-giant_Bayer-Monsanto_to_Brussel.html

 今日、フランスの農民ポール・フランソワは、アグリビジネスの巨人バイエル・モンサントに対する彼の10年にわたる法廷闘争の一環として、別の国家裁判所の判決を発表した後、ブリュッセルに来ている。この最新の判決の影響を深く掘り下げることに加えて、彼の話が現在および将来に農薬中毒の犠牲者になっている他の農家を助けることができることを期待して、彼は何年にもわたる訴訟から学んだ教訓を共有しようとしている[1] 。

 2022年 11月になされたこの最新の裁判所の判決は、他の裁判所が一貫して確認したことを強調している。バイエル−モンサントは、ポール・フランソワの中毒とその後の彼の健康への影響に責任がある。 しかし、会社に命じられた損害額 (11,000 ユーロ/約 160万円のレベル) は、耐えられた苦難や、訴訟手続きの長さと困難さと比較すると、最小限に抑えられている。 この判決は、有害な製品を販売するアグリビジネス企業に強いシグナルを送るものではなく、他の被害者らが自分たちの訴訟のために戦うことを鼓舞するものでもない[2]。

 HEAL はポール・フランソワの闘争に連帯しており、その闘争は法的承認と補償を求める農薬中毒の被害者らの世界的な動きを示している[3]。

 ”HEALは、正義と補償のための戦いで有害な農薬にさらされたすべての犠牲者らと連帯し続けている。欧州および各国の意思決定者は、農民の中毒の事例によって示されるように、これらの物質への人々の暴露の実際の結果に目をつぶるのをやめ、生産を大幅に削減し、 国内外でのこれらの物質の使用を止めることに大至急注力しなければならない”と、HEAL の健康および化学物質プログラムのリーダーであるナターシャ・シンコッティ(Natacha Cingotti)はコメントした。

 ポール・フランソワは、2004 年に作業中に除草剤ラッソー〈 Lasso〉(活性物質 〈Alachlor〉を含む) の蒸気を吸い込んで中毒した。この農民は 10 年以上にわたり、昏睡状態、失神、神経障害の兆候、何カ月にもわたる入院、等の被害を認めるよう求め続けてきた(訳注1)。

 彼は 2007年に会社に対して最初の訴訟を起こし、補償を要求した。 11月に下された判決は、正義と認定を求める彼の長年の追求に加えるものである。最初に2012年に、そして再び2015年の控訴審で、フランソワを中毒にしたとして有罪とされたモンサント(現在はバイエル−モンサント)は、2019年にリヨン控訴裁判所によってフランソワの苦難に法的責任があることを確認された[4]。

 アラクロールは 2007 年に欧州連合で禁止されたが[5]、ベルギーでは欧州国境外への輸出目的でまだ生産されている。 これは、広範な問題を例示している。2018 年だけでも、EU での農業使用が禁止されている 41 種類の有害化学物質を含有する 81,000 トン以上の農薬が、欧州企業によって EU 国境外に輸出された。 先週、325 を超える市民社会組織が集まり、この有害物質の輸出の即時禁止を求めた [6]。

 ポール・フランソワを支援するには、彼のクラウドファンディング・キャンペーンへの寄付を検討してください。

原注

[1] https://www.env-health.org/wp-content/uploads/2022/12/DossierDePresse08122022.pdf (フランス語)
To support Paul Francois, please consider donating to his crowdfunding campaign: https://fr.ulule.com/condamnationmonsanto/ (フランス語)

[2] For more info, visit: [3] HEAL supports victims of pesticides in their fight for justice, including by working closely together with PhytoVictims, Generations Futures, and Pesticide Action Network Europe as organisations being a part of its membership base. HEAL is also a member of Justice Pesticides, a civil society network meant to supply victims of pesticides with information about all legal cases involving pesticides in the world.
 HEAL は、会員ベースの組織として、PhytoVictims(フランス語)、Generations Futures(フランス語)、及び Pesticide Action Network Europe(英語) と緊密に協力することを含め、正義のための戦いで農薬の被害者を支援している。 HEAL は、殺虫剤の犠牲者に世界中の殺虫剤に関連するすべての訴訟に関する情報を提供することを目的とした市民社会ネットワークである Justice Pesticides (英語)のメンバーでもある。

[4] https://www.env-health.org/french-farmer-takes-on-monsanto-and-wins-victory-for-all-victims-of-pesticides/(英語)

[5]https://ec.europa.eu/food/plant/pesticides/eu-pesticides-database/start/screen/active-substances/details/311(英語)

[6] https://www.env-health.org/european-commission-mustnt-abandon-hazardous-chemical-exports-ban-commitments-made-in-eu-green-deal/(英語)
訳注1:除草剤ラッソー
訳注(参考):アメリカでのモンサント・ラウンドアップ裁判


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る