グリーン科学政策研究所 2016年8月
過フッ素化合物への消費者ガイド

情報源:Green Science Policy Institute, August 2016
Consumers' Guide to Highly Fluorinated Chemicals
http://greensciencepolicy.org/highly-fluorinated-chemicals/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2016年8月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_16/
160800_Green_Science_Policy_Institutece_Consumers_Guide_to_PFCs.html

 書籍 『防汚、焦げ付き防止、防水、そして致死 (“Stain-resistant, nonstick, waterproof and lethal)』 で、著者のジャーナリストであるカリエール・ライオンズがC8と呼ばれる過フッ素化合物について記述している。この化学物質はウェストバージニア州とオハイオ州でその製造設備の近くの給水系に漏れ出した。数十万の人々が体内にC8を持ち、この暴露に関連した広範な健康問題を抱えていた。

 しかしそのような暴露は化学工場の近くに住む人々だけの問題ではない。我々は、衣類、絨毯、化粧品など我々が日常的に使用する様々な消費者製品からのC8のような過フッ素化合物に暴露しているので、これは我々すべてに影響を与える。

もっとよく知ろう
フッ素化合物はなぜ有害なのか?
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 過フッ素化合物は、炭素−フッ素(C-F)結合を含んでいるが、それらは自然界で最も強い分子結合を持つ化合物の一部である。そのことは、それらの化合物を極めて分解しにくくし、また非常に有用なものにもする。例えば、それらは、製品に防油性、防汚性、焦げ付き防止性、又は防水性を持たせることができる。しかしそれはコストが高くつく。

 よく研究されている過フッ素化合物は、次のような健康影響と関連する。
  • 精巣及び腎臓がん
  • 肝臓障害
  • ホルモン異常
  • 甲状腺障害
  • 高コレストロール
  • 肥満
  • 潰瘍性大腸炎
  • 出生時の低体重及び小サイズ
 他の過フッ素化合物は同じような健康問題を引き起こすことが疑われているが、テストは十分に行われていない。

 これらの化学物質は分解しにくいので、それらは我々の体内に長年、残留する。環境中には、それらは数百万年間残留することができる。このことは、我々が生きている間に放出される過フッ素化合物は環境中に蓄積し、多くの将来の世代が、我々が今日暴露しているより高いレベルで、それらに曝露するであろうことを意味する。

 世界中の科学者らが、過フッ素化学物質についての懸念を共有するためにマドリード声明に署名し、これらの化学物質の製造と使用を制限するよう求めている。詳細はここをクリック

 2015年5月1日、マドリード声明は、高い影響力のある科学誌 『Environmental Health Perspectives』 に発表された。記事を読むためにはここを、著名な科学者リンダ・バーンバウムとフィリップグランジャンによる付随する評論をよむためにはここを 、化学産業界からの回答を読むためにはここを、そして我々の反応を読むためにはここを、クリックしてください。

我々はどの様に暴露するのか
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 過フッ素化合物は、焦げ付き防止や防水・防油特性を与えるために調理用品、衣類、屋外用衣類、絨毯、及び食品容器のような消費者製品中で使用されている。それらはある種の化粧品中でも使用されている。

 我々は、これらの製品への直接接触によりそれらの化合物に曝露しているが、また呼吸する空気、飲料水、及び食物を通じても暴露する。

 それらは世界中で人間及び野生生物中に高いレベルで検出されている。

あなたにできることは何か?

 自分自身に問いただしてみよう。”私は本当に防汚、焦げ付き防止、あるいは防水製品を必要としているか? 結果を知れば、あなたはある便利さや機能をあきらめることを選択するかもしれない”。

あなたができること
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これらの衣料ブランドの製品は、表示の日付以降、過フッ素化合物を含まないであろう。
あなたは健康な製品への変更を働きかけることができる!
  • 防油又は防汚製品をさける。
  • 本当に必要なら防水性の装備だけを買う。
  • 成分リストに”PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)”又は”パーフルオロ(perfluor)”、又は”ポリフルオロ(polyfluor)が記載されている化粧品はさける。
  • あなたのテフロン焦げ付き防調理用品を鋳鉄、ガラス、又はセラミック製のものに取り替える。
  • 紙容器に入っているポップコーンや油脂食品はさける。
  • 小売り業者及び製造者にフッ素化合物を含まない製品が欲しいと伝える。
  • 例えばグリーンピースの Detox キャンペーンに参加している衣料品ブランドや EWG の活動の結果として食品容器からそれらを除いたファースト・フード・チェーンのような、過フッ素化合物を廃止することを約束した会社を支援する。


訳注:当絵研究会が紹介した主要関連記事



化学物質問題市民研究会
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