BAN Toxic Trade News 2009年3月18日
安全な作業と環境の勝利
高等裁判所 バングラデシュ海岸の死の船舶解体をとめる

情報源:BAN Toxic Trade News / 18 March 2009
Victory for Safe Jobs and the Environment
High Court Halts Deadly Shipbreaking on the Beaches of Bangladesh
http://www.ban.org/ban_news/2009/090318_victory_for_safe_jobs.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年3月19日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/shipbreaking/ban_090318_Bangladesh_safe_shipbreaking.html


 【2009年3月18日ダッカ】バングラデシュ環境法律家協会(BELA)によって起こされていた訴訟の結果として、バングラデシュ高等裁判所は環境省(Department of Environment (DoE))に対し、環境認可なしに運用している全ての船舶解体現場は二週間以内に閉鎖するよう命令した。
 チッタゴンにある36ヶ所の船舶解体現場は現在、どこも環境認可を得ていない。したがって、この決定は長年、法、人の健康、そして環境を無視して操業し、環境・人権活動家らによって厳しく非難されてきた船舶解体産業を効果的に閉鎖することになる。
 裁判所はまた、危険な船舶のリストである”グリーンピース・リスト”に記載のない船だけが同国に入ることが許されると命じた。バングラデシュ環境法律家協会(BELA)とグリーンピースは、安全で環境的に健全な船舶リサイクルを推進するために活動している世界的な連合である”船舶解体に関するNGOプラット・フォーム”のメンバーである。
 裁判所はさらに、バングラデシュの船舶解体業者は、アスベスト、PCB類、重金属類及び残渣油のような有害物質がバングラデシュに到着する前に事前浄化(pre-cleaning)されていない廃船をバングラデシュに輸入してはならないと命じた。
 この”事前浄化(pre-cleaning)”要求はバングラデシュの有害廃棄物禁止法とともに、バーゼル条約加盟国としての責任--どのような理由があっても有害廃棄物を途上国に輸出することを禁止する1995年に決定された国連の条約(訳注:Basel Ban Ammendment)にしたがっている。事前浄化は、世界の船舶産業から有害船舶廃棄物の全くひどい不公平な負担を途上国が押し付けられることを回避するために船舶解体に関するNGOプラット・フォームの掲げた要求のひとつである。

 ”この非常に危険で有害な船舶解体産業に関する既存の国際法及びバングラデシュの国内法を最終的に守らせるためのこの決定は非常に長らく待ち望まれていた”とバングラデシュ環境法律家協会(BELA)のリズワナ・ハッサンは述べた。”我々の繊細な海岸をはなはだしく汚染させたり、あるいは我々の多くの若者を殺してきた搾取と極端に危険な作業を受け入れることなく、廃船を輸入して鋼材をリサイクルする方法はある”とBELAのリズワナ・ハッサンは述べた。

 裁判所の決定は、2008年11月11日にバングラデシュ環境省(DoE)によって提出されたバングラデシュのチッタゴンの近くの海岸で操業している36ヶ所の船舶解体現場のどれひとつとして要求されている環境認可を得ていないという驚くべき報告書に基づいている。
 裁判所は、海運省が有毒船舶の輸入を不法に推進しており、環境省に対してバーゼル条約、環境保護法、及び環境保護規則の下にバングラデシュの義務に基づく船舶解体に関する必要な規則を3ヶ月以内に作るよう命令したことを知って驚愕したと述べた。海運省はまた、実施プロセスを監視するための委員会を設立するよう要求した。

 現在、労働者最低年令、労働組合の権利、及び安全規制は現場では完全に無視されている。船舶解体のための新たな規則は、バングラデシュが批准しているにもかかわらず今日まで無視されている国際労働条約を考慮に入れなくてはならない。

 この決定は、国際海事機関(IMO)で交渉されており、南アジアの海岸での有毒船舶の解体を防ぐことにほとんどならない新たなシップリサイクル条約の採択(訳注:本年5月と言われている)の数ヶ月前になされている。

 ”この決定は、干満のある海岸で有害廃棄物を含む船舶を安全に解体することは不可能であるということを認めることを拒絶する狭量な産業の利益のためにバングラデシュは最貧の労働者の福祉と環境をもはや犠牲にすることはしないという明白なシグナルを送っている”とバーゼル条約の監視団体であり、NGOプラットフォームのメンバーであるバーゼル・アクション・ネットワークの代表ジム・パケットは述べた。”同様にそれは世界の他の国や特に国際海事機関はこれ以上譲れない要求であり、今はまさに世界の最貧国の海岸に有毒船を投棄するのをやめるべき時である”と彼は述べた。

更なる情報
Rizwana Hassan of BELA, for legal situation in Bangladesh:
+88 02 8612957, bela@bangla.net

Jim Puckett, Basel Action Network, in Seattle:
+1 206.652.5555, jpuckett@ban.org

Ingvild Jennsen of the NGO Platform on Shipbreaking: +32 2 6094 419 / +32 485 190 920, ingvild@shipbreakingplatform.org


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