PIL 2008年9月
公益弁護士団(PIL)
有毒フランス船のイギリスへの持ち込みを
止めさせるために高裁に提訴


情報源:PIL, Sep 3, 2008
PIL launch High Court challenge
to stop toxic French ship being brought to the UK
http://www.publicinterestlawyers.co.uk/general/news.php?id=88

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年9月5日


 イギリスの公益弁護士団(PIL)は、”ハートレプールの友(Friends of Hartlepool)”グループのジーン・ケネディ氏の代理として、有毒なフランス航空母艦が解体のためにイギリスに入港することを阻止するために、イギリス安全衛生局(Health and Safety Executive (HSE))を提訴した。

 推定760トンのアスベストと330トンのPCBで汚染されたクレマンソー号はヨーロッパで最大のそして最も不名誉な有毒船のひとつであり、長らくフランス政府のお荷物であった。2005〜2006年、フランスはその有毒船をインドで解体するために違法な輸出を行おうとして、国際的な非難を浴びた。世界的な抗議キャンペーンの広がり後、フランスは国境を越える廃棄物投棄計画をあきらめ、かつて同船の母港であったフランスのブレスト港にもどることをることを余儀なくされた(訳注)。

 2008年6月、安全衛生局(HSE)は、ハートルプールにある有毒船解体会社であるエーブルUK社に対してその有毒船をイギリスに輸入することを許すために、アスベスト規正法(2006年)の対象とすることを免除した。同社は、ハートルプール地域にアスベストを不法に投棄したことで2007年に環境庁に起訴されており、また2003年には必要な計画許可書無しにアメリカの有毒戦艦を輸入していたことが発覚していた。同社にはPILが訴訟手続きに対して利害関係者として関わっていた。同社の契約相手であるフランス国防省もまたこの訴訟について情報を与えられていた。

 この訴訟の原告であるジーン・ケネディは本日、次のように述べた。
 ”安全衛生局はこの有毒幽霊船と猛毒な積荷が我々の地域共同体に入ることを許すために特別の免除を与えた。我々はそれはこの小さな町−すでに不均衡に産業汚染の有害影響を被っており、イギリスで最も高いがん発症率のひとつを持つ−に、フランスの有害廃棄物を押し付けようとしている”。

 PILの創設者であり、UK Solicitor of the Yearであるフィル・シナーは本日、次のように述べた。
 ”この訴訟は、重要な公益環境問題を提起しており、安全衛生局は法の適用免除に関する方針を明らかに遵守しなかった。フランスは国内にクレマンソー号内にある有害廃棄物を処理するための施設があるのだから、安全衛生局はこの船と発がん性物質の積荷を輸入し、北西イングランドの共同体内で処理することを許可する前に、これらの代替を検討する義務を持っている”。

 ハートレプールの友(Friends of Hartlepool)のアイリス・ライダーは、本日次のように述べた。  ”本日の訴訟は、我々の共同体が政府と汚染産業によるが国際的な有害廃棄物投棄場所になることを阻止するためにハートレプールの住民による新たな戦いの始まりである。クレマンソー号は、インドとトルコでは非常に有毒なので解体し投棄することはできないと見なされた。またフランスへの恥ずべき帰還の航路でスエズ運河通行の許可を拒否すらされた。有害廃棄物はそれが発生した場所の近くで処理されるべきであり、世界中を放浪した末に我々の共同体で処理されるということがあってはならない。

 エーブルUKは、同船はフランスからこの夏の後半には到着することが予測されると述べていた。したがってPILは、法廷に対しこの訴訟の緊急性を考慮するよう要求しており、2008年9月22日の週に王立裁判所で審問が行われることを期待している。

本件に関する連絡先:
Gavin Sullivan, Public Interest Lawyers: 0121 515 5069
Jean Kennedy, Friends of Hartlepool: 01429 295 039

PIL について http://www.publicinterestlawyers.co.uk


訳注:クレマンソー号関連記事


化学物質問題市民研究会
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