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(2003年7月17日発行)



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講演「桶川事件を考える」
について


事務局長 山田 泰




 5月16日の定例会に、国家賠償請求事件弁護団の中山福二弁護士をお招きして、桶川事件における警察の問題点などを語っていただいた。
               ◆
1 事案の概要
 99年10月26日、女子大生である被害者がJR桶川駅前で刺殺された。
 事件後、メディアによって、この殺人事件の4か月ほど前から、被害者やその父母が埼玉県警上尾署に対し、繰り返しストーカーによる被害を申告し、身の危険を訴えて捜査を要請していたこと、更には被害者からの告訴もなかったことにしようと画策していたことなどが報道された。これが大きな社会問題となった。

 その後上尾署の関係者は懲戒処分を受け、また担当刑事ら3名は虚偽公文書作成罪等により起訴され有罪判決を受けた。またこの事件を契機としてストーカー規制法が成立した。
 なお加害者関係者4名が逮捕されたのは被害者刺殺後約2か月後で、元交際相手はその後死体となって発見された。自殺とみられている。

2 警察の対応
《捜査怠慢》
 脅迫や被害者への中傷チラシ多数が電柱に貼られたり道路にまかれたりしたが、まともにとりあわず、1か月半ほどたってようやく告訴を受理し、被害者調書を作成した。
 その後被害者の父の勤務先にも中傷文書が多数郵送されるが、怠慢は続く。
《告訴取消工作》
 生活安全次長は、告訴だと未処理件数が増えてしまい上尾署の成績が悪くなると考え、告訴ではなく、被害届で捜査すればよいと注意し、被害届に署名捺印させるとともに調書を改竄。捜査怠慢は続く。
 被害者が刺殺され加害者関係が逮捕された後、不手際を隠そうと虚偽の捜査文書を作成した。

3 懲りない警察
 その後県警本部長は謝罪するとともに内部調査を行ったが、今年3月警察署協議会代表者会議の席上、この内部調査報告書につき、警察庁から「こんな報告書では世論は持たないぞ。警察にもっと非があったのだろう。非を書け」と言われて、不確かなことまで書いてしまった。」などと開き直りの発言を行ったことが報じられた。

4 国家賠償請求民事訴訟
 遺族が埼玉県を被告として、警察の怠慢による責任追及のため訴訟を提起した。
今年2月さいたま地方裁判所は判決を下した。
 しかし、この判決は名誉棄損とストーカー犯罪とを分断し、名誉棄損関係で警察の責任を認めたものの、肝心のストーカー犯罪については警察を免責するものであった。現在高等裁判所に舞台を移し責任追及が続いている。

5 この事件を掘り下げた書籍として
  「桶川女子大生ストーカー殺人事件」
     (鳥越俊太郎アンド取材班著)
  「遺言桶川ストーカー殺人事件の深層」
     (清水潔著)

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