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(2003年2月27日発行)



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大内 顕氏の講演を聴いて




その@         集会一般参加者 星川 勝

 警視庁の「裏金」づくりを直接担当した方の具体的な手口におよぶ話で、分かり易く興味深い内容でした。多くの納税者にぜひ聴いて欲しいと思いました。会員外の参加者が少なく残念でした。インターネットや新聞でPRをなさったのでしょうか。
(はい、ネット上でもお知らせをしていました。チラシもくばりました。月曜日の夕方という理由もあるかもしれません。――編集子)
  
 大内さんが、内部告発を決意する経緯も伺えて、大変考えさせられました。病気で死線をさまよいながら、「(職務を通して体験した秘密を)このままあの世に持っていって闇に葬ってよいものか・・・?」と悩んだことを伺い、いわば一種の回心(conversion)に至ったのかと、私は解釈しました。内部告発者の保護法の整備が急がれます。

 さすがの大内さんも、外務省の裏金づくりについては信じられない、と言われたことが気になりました。警視庁以上のウルトラ手法があったのでしょうか。防衛庁には、裏金づくりはなかったのでしょうか。それよりも、今はなくなったのでしょうか。労働組合でさえも裏金スキャンダルがありました。これ以上述べると、「警察見張番」の枠を超えてしまいそうなので、ここで終わりにします。「警察見張番」としては神奈川県警の裏金に目を光らせてください。


そのA   やまと市民オンブズマン代表幹事 杉内 一成

 まず、最初に申しあげたいことは、「公金(=国民が汗水垂らして稼いだ貴重な財価から、国家・社会を維持するために拠出している税金だ)という認識が全く欠如している」ことに驚きました。自分達(=警察官)は、「社会の安寧を護るために国民から委託を受けているのだから」という意識が過剰にありすぎるためなのか、また「警察権という権力を誰もチェック出来ないだろう」という自惚れからか、「事務処理面で取り繕ってさえいれば、何をしてもお咎めはないだろう」という過信に支えられて常軌を逸した処理を平気でしていることに唖然としました。ただ一つ言えることは、「こういう処理の仕方」は、警視庁に限ったことではなく、他の官庁でも底に流れる考え方や処理方法は、大同小異で、戦後50数年の間に、政治家・官僚に溜まった澱のようなもので、我々がオンブズマン活動を通して徹底的に糺して行かなければならない当面の課題であると再認識しました。


そのB         事務局 生田 典子

「私は、元警官ではなく、警視庁の元一般職員でした。事務屋でした」と、大内 顕さんは静かに話し始めました。1月20日、今年最初の「警察見張番」定例会に、ゲストスピーカーとしてお願いした日のことです。けれども、話がだんだん具体的になるにつれて、その口調は強く激しくなっていきました。

 大内さんは、会計事務に関わる中で裏ガネの存在を知り、やがて極秘任務の特別プロジェクトチームに入ってからは、実際に裏ガネを作っていく作業に参加していきます。しかも、このことは、外部に漏れないようにするため、家族にも友人にも決して仕事の内容を話してはならないという「保秘」が義務づけられたそうです。その「仕事内容」とは、機動隊の個人に支払われるべき旅費を、プールして裏ガネにするというものです。特別プロジェクトが出来る前から裏ガネ作りは行われていたそうですが、大蔵省からの支払い方法が、小切手から口座振り込みに変更するということから、機動隊員にそのことがバレるのを防ぐための「仕事」であったそうです。「こうしてプールされる金額は、一カ月に約1億円、年間約12億円にもなった」と、その裏ガネの金額の大きさに最初は驚きながらも、やがてそうした大きなプロジェクトに関わっていることが「妙に自分のプライドをくすぐった」と、率直に述べていらっしゃいました。

「やがて、上納金との関係もあるのか、大蔵省からくる国費旅費は、個人の口座に振り込まれなくて済むようになった」「それでも、この秘密がもれるのを一番恐れたのは情報公開請求だった」そうです。「そこで、考え出されたのは、ニセ領収書を作ることだった」「様々な方法で領収書を作り、その受取人氏名は電話帳から選んで書いた。印鑑はいろいろ準備してあった」などと、新たなノウハウを披露されました。監査にも、事前監査と本番監査があるということで、バレないためのあらゆる方法を考えたそうです。

「現在、これらの裏ガネを告発し批判しているが、実際の警察官の活動を考えると、同情すべきところがある。上司は、部下を慰労したり励ましたりするために飲食代を使う場合が多く、必要悪とも言えなくもない」と述べるあたりは、実際に現場を知っている人間の言葉だと感じましたが、この「必要悪」という表現が、あとの質疑応答の時間に、会場から厳しい質問となりました。裏ガネ作りのノウハウを聞いているうちに、会場の人々は、だんだん腹がたってきてしまったのです。そのため、現在、大内さんが裏ガネを作っているかのような錯覚に陥ってしまって、するどい質問が続出しました。

 講演の後の「なぜ告発する気になったのか」という会場からの質問に対して、大内さんは「脳出血で入院し自分の死を考えたとき、このまま何事もなかったように闇に葬っていいのか」という疑問が生じたからだと述べられていました。

 最後に、「裏ガネは、なんらかの形で警察内部のみんなに渡されているため、内部告発は難しく、組織ぐるみであるので内部自浄はムリだ。やはり市民が情報公開請求をしていくのが一番だと思う」と、締めくくられました。

(なお、もっと詳しくお知りになりたい方は、大内 顕氏著書「警視庁裏ガネ担当」講談社刊 \1500を読んでください。) 

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