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劇団四季のウェストサイド物語


 1957年にブロードウェイで初演されたレナード・バーンスタイン作曲のミュージカル「ウェストサイド物語West Side Story」は、1961年には映画化され、多くのファン層を獲得することとなりました。しかし、この映画化にあたっては、多くの曲がカットされたり、順番が入れ替わったりしています。
 その概要は、次の図の通りです。


 オリジナルバージョンである舞台版では、11の「The Rumble」と12の「I Feel Pretty」との間に幕間があります。したがって、前半は「第1幕」、後半は「第2幕」となります。映画化の際の最大の相違は、第1幕にあった「Cool」と、第2幕にあった「Gee, Officer Krupke」とを入れ替えたことでしょう。それによって、これらのナンバーが歌われるシチュエーションがガラリと変わってしまい、曲自体の性格も微妙に異なることになりました。「I Feel Pretty」も、決闘以前に歌われるために、ただのハッピーな歌になっています。
 もう1点、重要な違いは、「Somewhere」の扱いです。このナンバーは舞台版では「Dance Sequence」という、トニーとマリアが悪夢の中をさまよう一連のシーンの中で、ステージ裏の女声によって歌われるものなのですが、映画版ではトニーとマリアのデュエットとなり、悪夢のシーンはカットされています。確かに、このシーンはステージならではのもの、リアリズムを追求した映画では違和感があります。

 映画版については、CDではオリジナルサウンドトラックが、そしてDVDやブルーレイ・ディスクでは映画そのものがリリースされていますから、いつでも鑑賞することが出来ます。
 しかし、舞台版は、長い間オリジナルキャスト盤のLP(もちろんCD化されています)しかありませんでした。それが、作曲者バーンスタイン自身の指揮によるCDが1984年に録音されて以来、続々とリリースされるようになり、現在(2018年3月)では7種類の録音が入手可能となっています。(ジャケットから、レビューがリンクしています。)
SONY/OL 5320(LP),CK32603(CD)(57/9):Broadway Original Cast
Max Goberman/ Orchestra Maria/Carol Lawrence Tony/Lary Kert
DG/415 253-2(84/9)
Leonard Bernstein/ Orchestra Maria/Kiri Te Kanawa Tony/José Carreras
WARNER/2564 60423-2(93/1)
Barry Wordsworth/ Royal PO Maria/Barbara Bonny Tony/Michael Bell
NAXOS/8.559126(01/9)
Kenneth Schermerhorn/ Nashville SO Maria/Besti Morrison Tony/Mike Eldred
DECCA/476 6269(07)
Nick Ingman/ Royal Liverpool PO   Maria/Hayley Westerna   Tony/Vittorio Grigolo  
MASTERWORKS BROADWAY/88697-52391-2(09/4)
Patrick Vaccariello/ Orchestra   Maria/Josefina Scablione Tony/Matt Cavenaugh
SFS/821936-0059-2(13/6)
Michael Tilson Thomas/ San Francisco Symphony   Maria/Alexandra Silber Tony/Cheyenne Jackson

 このように、「音」としての舞台版は充実してきましたが、未だにDVDなどは出ていませんから、全体のストーリーはなかなか体験できません。劇団四季の他にも、外国のカンパニーによる来日公演も珍しくなくなってきましたから、ぜひご覧になって、映画とはひと味違うプロットを味わってみて下さい。


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